食べ物の好き嫌いはありますか? 何でもおいしく食べられますか?
住む土地に恵まれ、常に新鮮な食材が簡単に手に入る生活環境にいることは素晴らしいことです。このような環境で育った人は、新しがりや(新しいもの好き)になりやすいとか。こういうタイプの人は、異国の料理も自宅の食卓に乗せるし、新しい家電品などももすぐに買い求め、嬉々として使いこなしていくことでしょう。
人は栄養状態が落ちていくと、だんだん未来に対して希望が持てなくなり、今やっている仕事も面倒になり、適当に切り上げるなりごまかしてでも帳尻を合わせようとするそうです。このような人の仕事は信用できませんね。
「衣食足りて礼節を知る」という格言も、こういう経験を踏まえたもののようです。
交通刑務に入る人の80%近くが偏食化、偏食を強いられた食習慣があるそうです。偏食を強いられた食習慣とは、例えば長距離トラックの運転手さんの場合、決まった路線を走り、決まった所の決まった店でいつも決まったものを食べるサイクルが出来上がり、結果的に偏食となってしまうとのことです。
インスタント食品やファーストフードの普及で、いつも同じ刺激的な味のものを食べる人は、味覚が不満足の状態になり、無意識のうちに精神的にも不満を募らせやすくなるそうです。そうなると、考え方が短絡的になり、相手の立場を考えずに自分勝手になっていくので、排他的にもなるし、人間関係で問題を起こしやすくなると言います。
一方、味覚の幅の広い人は、他人に対し余裕を持って接することができると言います。なぜなら、相手の好む味が理解できるからだそうです。偏食ではそうなりようもないとのことです。
嗜好に差があることが理解できる人は、人には自分と違う面があることを自然に理解できるから、結果的に寛容になれる。
海の幸、山の幸、山海の珍味という表現(ことば)を持っている国は少ないそうです。
新鮮な海産物や山から採れるものがあり、それも比較的簡単に手に入るという、とても恵まれた国に住む私たちは、かなり恵まれているのです。
参考文献:河野友美著「たべもの嗜好学入門」「たべものと日本人」
[ 更新:2022-04-11 14:22:53 ]