吉見事務所通信に掲載したものです
もう10年近く仕事で関わった所の倒産がないので有難いのですが、全社が黒字転換をしても、そのまま黒字をずっと続けられるほど、世の中は甘くもないし、商売は楽でもないですね。本当に経営者も幹部も大変ですが、それだけにやりがいもある時代と受け止めるのが良いようです。
吉見の経験から、赤字に苦しむところは、次のような傾向があります。
開業から年次が浅く、想定通りの売上に届かずにご苦労されているところは、設備投資と採算の計画がまさに夢物語・・・現実的な需要予測ではなく、あまりに楽観的な売上予測というのが多かったように思います。特におしゃれな飲食店はこの傾向が強いですね。開業準備段階で、顧客つくりをしないで、商品にばかり集中!
お客様があっての商売で、売上はお客様がもたらすことを失念している創業者がいました。脱サラで初めてご商売をされる方に、この傾向が強いです。
最近は一年でつくった赤字を、翌年度以降の黒字で埋めるのに、三年も五年もかかることが珍しくありません。赤字は罪悪で、一円でも黒字にこだわって欲しいと繰り返すのですが、赤字に危機感を持たない、財務分析の得点の低さに無反応、目標数字に執着心が見られない人は、簡単に黒字転換ができません。自分で赤字の補填責任を負わない人、自腹での資金責任を全うできない人は、経営に不向きです。
過去に、何度も黒字転換に成功し、「俺が本気になれば、何とかなるもんだ!」という過去の成功体験が強い方も、最近の市場が読めず、顧客維持(守りの経営)や新規客創造(攻めの経営)にご苦労されています。顧客ニーズと自社商品のマッチングにずれが起きていたり、顧客と自社商品をつなぐ営業担当者の非力も目立つようになっていませんか。
後は、環境変化に総論では評論がお上手ですが、各論レベルの実行計画に具体性というか、攻め手に戦略性がない人も、黒字化には時間がかなりかかります。一年目の赤字を翌年で埋められないとか、二年連続赤字となったら、強烈な危機感で商売をしないと、後々本当に苦しみます。
顧客との人間関係を良くしようとし、社内の人間関係を良くしようとし、家族との人間関係に心配りをしていると、助けられる場面が増えていきますよ。
[ 更新:2019-02-09 14:30:53 ]