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過労自殺を考える

河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学 2016年10月18日(火)を参考に

河合薫氏の連載は、とても参考になるので、かなり長く読ませていただいている。
今回の内容は、時事的な話題性だけではなく、共に働く人への尊重という意味で、いろいろ考えさせられる。
>引用開始
長時間労働、休日労働、深夜労働などの過重な労働による肉体的負荷、重い責任、過重なノルマ、達成困難な目標設定などによる精神的負荷など、過労性の脳や心臓疾患(=過労死)と共通した要因が自殺の背後にあることがわかった。
その上で、川人弁護士は次の点を強調した。
「過労自殺の場合には、目標の達成ができないなどの行き詰まりから来る精神的なストレスの比重が高い。どの事例も、自殺の半年から1年前は長時間残業、休日出勤が繰り返されたことに加え、納期の切迫やトラブルの発生などにより精神的に追いつめられていた」と。
そこで「仕事による過労・ストレスが原因となって自殺に至ること」を、過労自殺と定義。
過労自殺は、多くの場合、うつ病などの精神障害に陥った末の自殺であるとしたのである。
私の大学院での指導教官だった山崎喜比古先生は、厚生労働省などが主導するさまざまな職場ストレス研究のメンバーを務めていたので、川人弁護士のお話をよくされていた。
 「過労自殺」という言葉を作ったのは、すごいと。実例を追い、原因究明した川人弁護士しかできなかったことだ、と。
 それまでの研究が、
・職場の心理社会的要因や長時間労働とストレス症状の関係(心臓疾患、脳疾患、精神障害)
・精神障害と自殺との関係
と分けられていたのを、「過労」という言葉で職場と自殺を結びつけた。
つまり、「過労自殺」は、単に「労働時間を短くすればいい」というものではない。
本人を追いつめる「仕事上のストレス」も同じように考慮すべき問題なのだ。
実際、長時間労働と精神障害との直接的な関係は「ない」とする研究結果も、少なくない(量的調査による統計的な分析)。
ただし、“overwork”、すなわち「自分の能力的、精神的許容量を超えた業務がある」という自覚との関係性は一致して報告されている(「労働時間と精神的負担との関連についての体系的文献レビュー」藤野善久ら)。
また、overworkには、実際の「長時間労働」が影響を与えることがわかっている。
つまり、「長時間労働」⇒「overwork」⇒「精神障害」⇒「過労自殺」という具合に、長時間労働は「過労自殺」のトリガーになる絶対的に悪しき要因なのだ。<引用終了
私の関わりでは、過労自殺された方はいないのだけれど、本人を追いつめる「仕事上のストレス」に追い詰められつつある人が出てきてる。
困ったことは、本人を追いつめる「仕事上のストレス」の原因となっている上司やトップにその自覚が一切なく、本人のひ弱さが問題と頭越しに一喝することである。色々防衛策を考え、手を打ってはいるが、変わらぬ上司やトップを前に、間に入る管理者は苦労を重ねている。

[ 更新:2016-10-22 15:40:06 ]

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