新しく一緒に働く若い人には、これから40年という長期の職業人生がある。早く戦力となり、自立し、長期の能力開発を心から願っている。部下の成長を支援する管理者または上司の成長支援のポイントを考えてみる。
(1)数字
企業の成果は数時によって記録され、集計され、分類され、測定され、評価される。上司や管理者は自分が担当する部分でよいのだが、経営数字を読むことができる、経営数値の意味が分かるというのは必要条件だ。実務で本当に大事なのは、数字の背後にある人の行動(働き)を読む力だが、数字と人の働きの相関をリアルにイメージできるのは上級編となる。認識して欲しいのは、数字は人の働き方次第で良くも悪くもなるものであることだ。だから数字の表す意味を知ることは、数字に強くなる第一歩となる。
(2)学ぶ
中高年で仕事に精彩がない人の共通項は、パズルの穴埋めを解くような回答を欲しがる人、理由やプロセスはどうでもいいから、今この場の答えだけが欲しい人だ。「ハウツー的対処、場当たり対処で仕事が済んだ」とする人は、何も考えていない人だから、仕事の応用がまったくできない。よって同じ問題を何度も起こし、周りに迷惑をかけるが、本人はそれに気づかない。若手をこのような中高年にしたくはない。
本当に仕事を学ぶことは、「知識として記憶する→その内容を理解する→意識的に実践する→無意識にできるように習慣づける→スキルアップする(磨き上げる)」というように階段を上ることだ。「教えられることを覚える(記憶する)」という受動的学習から、「学んだことは仕事に活かす(実践する)」という能動的学習に進化させる繰り返しができて人は成長が持続する。
(3)意思疎通
会社の中でも外でも、私たちは年代の違い、雇用形態の違い、趣味の違い、ライフスタイルの違いのある多くの人の中で働いている。人の価値観、人生観、労働観はいろいろで、実に多様多彩なものだ。同質化できるものではなく、認め合い、折り合って、共有する目標をもとに関わっている。その中で私たちは「自分らしい表現力」を修得しよう。特に上司や管理者は、部下を受け止め、部下の稚拙な表現から何が言いたいのか理解し、部下が何を分からないかも理解した上で、自分の伝えたいことを相手のレベルに合わせて伝える言葉を持つよう試行錯誤を続ける。実に面倒なのだが、意識して、工夫して、配慮して気持ちはじわじわと伝わるものだ。
(4)正解は複数
試験の答案や、大赤字を黒字にする時と違い、企業の現場での問題解決の答えや、改善のプロセスはいつも一つとは限らない。特に前提条件が異なると、対処方法も、その結果も異なることが多い。だから、やってだめなら期待する結果が得られるまで、何度も次を試すのが現場の実務だ。特に最近は前提条件が早く変化している。面倒がらずに、いろいろなケースを想定し、対処結果をビジュアルにイメージする能力・スキルが必要だ。それには年の功(知識と経験の質と量)がモノをいう。
(5)気づきは実践する
気づく感性を磨き続けよう。私たちは関心がないものは見えないし、聞こえないし、記憶に残らない。仕事では、常に何かに興味を持ち、関心を持ちながらモノを見て、読んで、記録(メモ)して、整理してというインプットをし、関わる相手に話すことでアウトプット(具体化され構造化され現実化)していく。このインプットとアウトプットのバランスをしっかり取ろう。
(6)イメージ力
画像もいいのだが、私はどうしてもイメージは見た画像に固定化される。変化への対応力を考えるなら、読書や対話などもビジュアルなものと同様に摂取して、自分の想像力を高めていきたい。過去の経験が通じない大きな流れに入っているだけに、柔軟な構想力は一層重要になっている。