*以下は、日本経済新聞・北海道新聞・中小企業家新聞・日経ビジネス・知研フォーラム等に掲載された中から、中小企業経営に応用できそうな部分をピックアップしてお知らせするものです。
★ 日産自動車 最高経営責任者 カルロス・ゴーン氏 ★
経営はと言うのは科学ではなく職人芸です。職人は矛盾した2つの要素を融合するのが仕事です。経営はいかにして矛盾を実現するかです。過去から現在、未来へとつながるストーリーを持つことは大切ですが、ただストーリーを作っても理解されなければ意味はありませんが、社員がそのビジョンと同じ方向に向き、共通の目的を達成する事を望めば、モチベーションは高まります。
しかし、どんなに頑張ってベストを尽くしても結果が出ないことはあります。そうした社員やチームを無視しておけば事態は悪化するだけです。目標が高すぎたのか、社員の適性と役職がマッチしていなかったのか、教育やコーチングが足りないのか、原因は当事者のせいとは限らないのです。だからこそ、なぜ目標に届かなかったのか、失敗したのかを分析しなければなりません。経営のせいで失敗するしかない状況に追い込まれた上、支援もなければ、社員は自信を失うだけです。
モチベーションは命令できないものです。「モチベーションを高めろ。」と言っても意味はありません。自発的で、自ら選んでいかなくてはならないものです。人間には、働く意味、目的意識が必要なのです。
「エモーショナルな資産」を増やせ 一橋大学副学長 伊藤 邦雄氏
企業には3つの資産がある。1つは資金や設備などの事業資産(ビジネスキャピタル)。2つ目は、社員の知識(ナレッジ)に代表される知的資産(インテレクチュアルキャピタル)。この2つはよく指摘されるが、私はさらに「情的資産(エモーショナルキャピタル)」という重要な資産があると思う。社員の活力、結力のことだ。この3つの資産が揃わなければ、企業に「骨太の競争力」は生まれない。逆にいうと良い会社は、必ず高い情的資産(エモーショナルキャピタル)を有する。
★ ミシガン大学教授 ジェフリー・ライカー氏 ★
トヨタの部品メーカーは、トヨタの意図を理解して幅広い提案をする。その結果、トヨタは多くの選択肢の中から、最も競争力のある部品を選択できた。トヨタはそれぞれの機能や組織が有機的に結びついている。車を作り、消費者に届けるまでの過程が、見事に同期化している。トヨタで注目すべきは、システムやツールではなく、経営思想や文化だ。トヨタには絶え間ない改善を繰り返す学習する組織があり、リーダーを育てる土壌がある。
★ 東京大学教授 藤本 隆宏氏 ★
モノ造りの現場にすべて存在する「設計」を軸に見直しを図り、打開策を見出せ。製品とは設計者による基本情報がモノ(媒体)と結びついたカタチである。マーケティングから生産、販売に至る道筋は「設計情報が循環する過程」だ。顧客が消費しているのは設計情報だ。良い製品とは、然るべき設計思想を内包するモノだ。企業には設計情報を上手に創造し、さらに媒体とベストの状態で結合させる技量が求められる。これが「モノ造りの組織能力」だ。
★ オリックス会長 宮内 義彦氏 ★
スピードとチャレンジ精神、知識と情報の共有化、助け合いが大切だ。収益を伸ばそうと思ったら、人と違うことをやらねばならない。新しいものにチャレンジし、専門知識を深めている限りは安泰だ。
儲からないものはいらない。どんな事にも理想像はあるが、達成できなければ、現実的に次善の策、三善の策で満足しなければならない。やる気があっても、知識がなければ十分なコスト管理はできない。生産量・生産性・利益の伸びにも目を向けるべきだ。強さがシステムやツールにあるとするなら、一人の人物が去るだけで成果が出なくなるのはおかしい。
★ ヘッドハンター 古田 英明氏 ★
人が入れ替わらない組織はやがて腐ってくるものだが、組織や人に馴染む努力をあまりせずに、嫌になったらすぐ辞めるという転職が増えては、人も組織も成長しない。全労働費用に占める教育訓練費の割合を見ると、1988年には2.4%あったものが、2002年には1.5%に低下している。一方米国や欧州は研修費を増やしている。
転職市場で高く評価されるリーダーを「傍楽人(はたらくひと)」と呼ぶ。企業内教育を荒廃させる成果主義は「親の敵」だ。横文字の経営手法を取り入れるより、日本的経営に戻って社員をしつけよ!
★ 神戸製鋼所ラグビー部ゼネラルマネージャー 平尾 誠二氏 ★
スポーツでは、自ら行動し、それが勝敗と言う結果につながり、次はどうすればよいかを考える。これを繰り返す経験は、スポーツ以外の人生の場面で必ず役立つはずだ。狂うしいだけで人間が磨かれる事は決してないと思う。
予定実行が自信の源 イー・ウーマン社長 佐々木かおり氏
私は「ウィン・ウィン」とか「ギブ・アンド・ギブン」とよく言います。つまり自分が成功するには相手も成功できるようにする。その方が早道だからです。メールも相手が半分読んだらすぐ答えられるように書く工夫をしています。 時間管理と時間を効率よく使うことは別だと私は思います。前者はどの時間に何をするかという選択の問題で、後者は同じ時間にどれだけ効率よく成果を出すか、つまり生産性の問題です。忙しいと不平を言う人は自分で予定を管理できていないから。自分で決めた通りに行動できれば満足なはずです。そして同じ内容なら、次はもっと早くやれるようにする。スポーツ選手が絶えず自己ベストを更新に励むように、ビジネスパーソンも挑戦したらいい。 ビジネスで相手との約束を守れば、信頼が増します。自分の予定は自分との約束だから、それを実行すれば自分への信頼、すなわち自信が増します。私はそう思って日々の仕事をしています。(日本経済新聞掲載コラム 時間術より)
【日経ビジネス他の印象記事・言葉】
*物事は、良いか、悪いかシンプルに考えよ。良ければそのまま前進、悪ければ直す! では、何を、どう直すのか?
*大切なのはABC! 当たり前のことを、ボーッとせずに、ちゃんとやれ!
*波に逆らおうとするからさらわれるのであって、波に乗ってしまえば問題はない。それは人生も同じではないか。(福聚寺住職 玄侑 宗久氏)
*社会を一口に定義すると、がっかりする事が多い所だ。だからがっかりから如何に早く立ち直るかが大事だ。(評論家 轡田 隆史氏)