リーダーは企業の競争力を維持し、強化し、経営や組織の効率を常に意識している事でしょう。その答えや手法が分からないときは、聞く(質問する)、社の内外に答えを求め、それを社内に持ち帰り徹底する事ですが、分からない事をそのままにし、分かったふりをし、できない事を人のせいにするリーダーのもとでは改善は進みません。「部下が言う事を聞かない。」と反論されますが、何かを変えようとするとき、変化を嫌う、経験が邪魔をすると言う事はごく普通にあることではないでしょうか。それをどう乗り越えるかの問題と思いませんか。改善の成功には、上位者の強いリーダーシップが必要なのは、そのためではないでしょうか。
◆若手の育成のために「抜擢し任せる」ということは有効な手段です。この場合初めて任された人は、分業の意識が強くなりすぎ(自部門しか見えなくなり)全体が見えなくなる事が普通です。ですからトップが意識して部門間の利害調整に関わらないとバランスが悪くなる事が見られますのでご注意下さい。
◆製造業の場合、受注した製品の生産性や品質を管理できる技能を持つ人材の確保、育成が大事です。改善が進まない企業は、ほぼ共通してこの管理者層が不在です。発注する側は、「製品の品質や生産性を上げるための提案をドンドン出して欲しい」、という要求があります。顧客満足を上げていく場合、社内の働き(仕事)の質、管理(マネジメント)の質を継続的に上げていかなければいけないと言う事ですね。人の成長が持続できる仕組みをどのように企業内に組み込むか、経営者の意思決定の質が問われていると言っても良いでしょう。取引先のパートナーとなる、共に生きていくためには避けては通れない課題と思います。
*以下は、日本経済新聞・北海道新聞・中小企業家新聞・日経ビジネス・知研フォーラム等に掲載された中から、中小企業経営に応用できそうな部分をピックアップしてお知らせするものです。
ハーバード大教授 マイケル・ポーター氏 (日経ビジネス2005.3.28号)
経営は技術だけでなく、マーケティングやサービス、戦略立案などにも幅広く及ぶ。経営の成否を見る場合、@何よりROE、そしてA他社との「区別化」を判断指標とする。「プライドとか面子のために事業を行なう」のではなく、「他社にはない私達の強み」「我々の独自性」に経営の焦点を定め、「他社より優れている点は何か」を考える事から自社を強くする戦略が始まる。常に他にはない強さを探し続けましょう。 日本企業の良さは、組織がしっかりし、規律正しく、手続きをきちんと踏んで物事を進める事にある。品質の重視と顧客満足の追求という視点から、時にはアイデアを探しに周囲を見渡し、優秀な人が専門的な研究を続けられるかが勝負となる。もう過去の経験則だけでは通じない。時代が刻々と変わる中で、それに対応し自社の競争力を高めるために、社員を励まし能力開発をし、組織を活性化するのも経営者の大きな仕事です。良い経営者とは、正確な情報を得て問題をすぐ見つけられる人です。顧客を定期的に訪問し意見を聞く、社員と積極的に話す、社内の小さなミスを知る事で大きなミスを防ぐことです。
★症状の背後に人間関係 岐阜市民病院副院長(小児科医) 鷹尾 昭氏 ★
小児科医は好むと好まざるに関わらず、子供の躾や教育、家庭環境といった生活面にも配慮しなければならない。外来には、朝起きると頭が痛い、お腹が痛い、よく下痢をする、微熱が続くといった症状で学校にも行けないという、不定愁訴で受信する子供達がおり、臓器的検査をしても全く異常がない。心身的要因が大きく関わるケースも目立ち、治療はむしろ困難で長期間要することの方が多くなっている。
その一因は、親と子、教師と児童・生徒、さらには子供同士の思いのすれ違い、コミュニケーション不全にあると考えられる。子供たちはその対処法が分からないでいる。(この状態は大人の社会でも同様ではないだろうか・・・吉見記)
家庭における躾、学校・地域社会における教育とは、本来その術を身につけさせることにあるはずだが、現代社会は情報技術が発達し便利になったこともあり、かえってその機能を失いかけているように見える。
インターネットが普及し、自分の存在を明かすことなく傍観者的に仮想現実の社会に生きていけると錯覚している。そして教育現場は、子供は皆平等である、皆仲良くしなければならない、褒めて育てることが良く、感情的に叱ってはいけない・・・が絶対的価値であるかのように受け取られている。
本当にそうだろうか。むしろ、人は感情の動物であり、必ずしも皆と仲良くできるわけではないことを教えるべきだ。生きていく上では不条理なことが多く、叱られること、傷つくことも多い。それに耐える力を、今こそ大人がそれぞれ自信を持って子供に教え育てるべきではないだろうか。 (日本経済新聞 コラム「医師の目」より)。
「お客様(ご縁)つくりのチェックリスト」
@人との出会いを大切にしていますか? あなたは出会った一人一人に、自分の提供する商品やサービスを通じ、幸福になって(満足感を持って)欲しいと心から思っていますか?
A自社の商品・サービスに対する初心の感動を忘れ、理屈で説明して買ってもらおうと思っていませんか?
B人との出会いの楽しさ、素晴らしさを忘れていませんか? 損得を求めて人を利用していませんか?
C努力や負担なしで成功しようと思っていませんか? 本当に自分自身で努力をしていますか? 人に会う努力、自分を成長させる努力、顧客の満足を得る努力、相手のために何をしてあげたら良いか考える努力、行動する努力、時間を作る努力、これらの努力の積み重ねがビジネスの成功の入り口ではないでしょうか。
Dあなたは現状の仕事、生活に妥協していませんか? お客様はあなた自身が少しづつでも成長するか、努力をしなければ集まってきません。人が集まらなければビジネスは成功しませんし楽しくもありません。
*この出典の企業は、現在産業再生機構の支援を受け、再生のために大なたを振るわれ、解体整理されながら生き残りの事業部門を集約しています。きっと言動不一致、行動見本がなっていなかったのでしょうね。
しかしここに表現されている事(1993年のもの)は、業種に関係ないエッセンスと思い、私なりに表現を変更し掲載しました。
名経営者がなぜ失敗するのか?
シドニー・フィンケルシュタイン教授が日経BP社からこのようなタイトルの本を出版されたようです。この本では、企業が失敗する典型的な4つの局面は、「新規事業に進出する時」「イノベーションの導入や変化に対応する時」「M&Aに乗り出す時」「競争相手に反撃する時」である、と指摘。そして企業が失敗するパターンの一つは、経営者が現状認識を誤り、間違った戦略を採用したことである、と喝破します。判断を誤らないために、次のように自問すると良い、とされたものをご紹介します。ご自身に当てはめてみて下さい。
@たった一つの原則を成功の秘訣だ(魔法の解)と思い込んでいませんか?
A達成不可能な戦略を立て、それを追っている可能性はありませんか?
B成功の指標を誤っていませんか?(誤った評価基準を用いていないか)
C過去には有効だったが、もはや通用しないということはありませんか?(消費期限切れの答え)
D他では有効だったやり方を、別のやり方が必用な市場に持ち込もうとしていませんか?(例えば、スポーツは競技が違うとルールは違う)
E自分の相対的な競争力を見誤っていませんか?(誤った自己認識はいけない、冷静な自己客観化は済んでいるか)
F自社や他社の勝因を見誤っていませんか?(映画プロデュ―サーの失敗の例)
G顧客ニーズについての認識は、限られたモデルや経験に基づいていませんか?(井の中の蛙になっていないか)
Hその市場にまつわる暗黙の前提を知らないで事業を行なおうとしていませんか?(素人、アマチュアレベルでプロの土俵に上がろうとしていないか)
I現実的な収益性を無視して、急速な拡大策に走っていませんか?(拡大熱にかかっていないか)
*チャーチルは多くの偉人の伝記から「難問に直面したとき、その時点の事実、状況をありのまま検討することを学んだ」そうだ。リーダーシップは冷徹な事実認識から生まれる一例であろう。
【日経ビジネス他の印象記事・言葉】
*まともな学問、真の哲学は、必ずオープンマインドとオープンハートを軸に持つ、開かれた体系でなければならない。(真下 真一氏)
*警備のため捕り物道具を学校に置くのが日常となった社会は狂っている。学校の先生がそんな道具を使うのが当たり前とする政治はもっと常軌を逸している。数値目標は、人間を鬼にする。(作家 野口 武彦氏)
*全員賛成、全社一丸ほどウソくさいものはない。(吉村 克巳氏)
*努力する事は動いている事、生きることは考えを果たす事!