私も満51歳となり、40歳になったとき以上に「もう、今まで生きてきた分と同じだけ、生きることはできない。」と強く思っている。お客様に接するたび願い、行っていることは、「蓄積した経験や知恵を、次の世代に伝える」ことである。
お客様の企業規模は数名から20名前後、50名前後、100名以上と、その時々の仕事により様々であるが、企業の構成員の年齢層が広がると意見や見方は多様化する。学生のサークルのように「価値観が同質化した組織」は、外部環境がそれに適しているときは大変良い。しかし今の時代のように、一旦環境が変わると対応は遅れがちとなりやすいようだ。それに対し、中高年がしっかりし、職務面でも人格面でも幅広い人間が集まる組織には、様々な経験と感性がある。それだけ変化への対応力が高まる。「多様化を受け容れられる組織」がこれからの時代に適しているように感じている。
◇作詞家の阿久悠氏は、かつてこう書いたそうだ。「政治は言葉だといいながら、その言葉に魂を込めた人も、命をかけた人も見たことがない」(「リーダは言葉と心中する覚悟で」産経新聞)企業経営に置き換えるとどうだろう。中小企業経営者の中には、言葉に魂を込めた人も、命をかけている人もいる。迫力もあるし、お会いしていて私自身教えられることが多い。その経営者を補完する幹部はどうだろう。自分の言葉で話さない人、話せない人がいる。逃げる人がいる。「自分の言葉に責任を持とう。約束は守る、借りたものは返すのがルール」と会議の場で自覚を促した。あるとき、「昔日本では『言霊』と言う表現があり、今もその意味を重視している人がいる」と発言したら、「宗教がかっていてコンサルタントとして役立たぬ!」と30歳台の管理者に反論された経験がある。言葉を大切にする、自分の言動に責任を持つことは、一定年齢以上の人間にとって当り前のことではないだろうか。表現を変えるなら、「人は自分の言ったことは忘れがちだが、自分が人に言われたことは覚えている」ものだ。信用も信頼も相手があっての事と改めて思う。
★ 『愛に生きる』鈴木 慎一氏 ★
・どの子もうまく育てれば、みんな高くよく育つ。その可能性を備えている限り。
・生命は行動するものにおいてのみその能力を発揮し、実行を怠る者には備わることはありえません。
・立派になっていく原則は、身に付けた力を、ぎりぎりの高さにまで築き上げていくことです。
・誰でも決心することはできる。しかし、本当にやり抜く人は実に少ない。
・決心して始めたら、まず、しばらくの間忍耐することです。
・わずかでも能力ができてくると、それだけ、ことがやりやすくなります。
・“勘”とは、合理的な経験を土台に瞬間的に働く確実性でした。訓練無くしてその“勘”は育たない。
・繰り返し繰り返すことによって何事も身に付く、能力となる。この鉄則をここでも生かし、どんな小さなことでも、気付いた事はすぐ実行に移す。自分を鞭打ち鞭打ち、へこたれないでやり抜く。・・・これが身につき習慣になれば、私たちは、不可能と考えられたことも可能になり、閉ざされた道も開けてくることを、私は色々な場合に発見します。
『仕事で本当にしたいこと』 大竹 美喜氏
内外の情勢は変動しているのに、変化を直視しない経営者が案外多い。企業が一つの価値観の下、社員を同じ方向に走らせがちなのもいかがなものか。本当は、日本人一人ひとりが本領を発揮すべきなのです。何が本領かは、「自分探し」がきちんとできていないと分からない。それをハッキリさせることで自分が見えてきます。本当に幸せな人生とは、自分に素直に、自分に忠実に生きることです。ビジネスで成功するには、構想力、コミュニケーション能力、問題解決能力、そして大局観をつかむ能力といったスキルが必用です。特にコミュニケーション応力が日本人には欠けています。これを身に付けるには自分で考えること、独時の考えを持つ事が基本です。失敗は成功の母です。物事は成功からより、失敗から学ぶことの方が多い。大きな成功を収めた人は度重なる失敗を乗り越えています。ビジネスはタイミングが大事です。時代の変化とうまく向き合い、変化を先取りしてきました。こうした天の利、地の利、人の利が複合的に絡み合って成功をもたらしたのです。
★ 京セラ名誉会長 稲盛 和夫氏 ★
経営者の精神面が弱いと、利益をあげようとするあまりルールを逸脱してしまう。企業は、社会が必要性を認めてくれる行動をとるしかない。社会が存続を求める企業になることが、永続のための絶対条件だ。日本は精密なものづくりがお家芸。勤勉さを再度取り戻すことで、日本のものづくりも復興するのではないか。ものづくりの世界では、技術革新、新製品開発などに力を入れていくべきだ。
確かに中小企業の経営は難しい。経営には会計と経理が非常に大事だ。税理士ら他人任せにするもではなく、経理や数値がわかれば利益が上らない理由が分かる。
社員の心を再生 日本電産社長 永守 重信氏
企業再生には漢方療法と西洋療法がある。病は気からと言うが、企業もおかしくなるのは社員の心や経営者の心情からだ。まず心を直さないと会社は良くならない。事業を止めれば社員の士気が落ちる。リストラを伴う西洋療法には副作用がある。企業が病むとなぜ赤字が出るのか。23社の再建で感じるのは社員お心が病んでいること。社員の心が病むのは経営者の人心掌握力と実行力が欠如しているからだ。地位で人を動かし、業績が悪化しても責任を取らない。使いやすい人間を後継者に選ぶ。社員の士気はどんどん落ち、品質やサービスの質が低下する。経営者への不満と不安の繰り返しで業績はさらに落ちていく。では社員がやる気を無くすとなにがおきるのか。遅刻や欠勤が増えていく。次に整理、整頓、清潔、清掃、作法、躾の6Sが悪化して職場が汚れていく。6Sは良い社員、良い会社、良い製品3Qにつながる。社員の士気はこの二つに収斂する。個人の能力とは全く別の世界だ。日本企業の再生に必要なのは社員の心の再生。社員お能力差はせいぜい2、3倍。しかし絶対に売って見せると言う意識の差は百倍から千倍の差がある。社員を心をつかんで変えるのがトップの役割だ。
★信越化学工業社長 金川 千尋氏 ★
原油高への対処や熾烈な技術開発競争、中国の台頭等それぞれの企業の「経営力」がありのままに業績に表れる時代になった。経営者は従来にも増して、「正確な現状分析」「高度な判断」「明確な業務の執行」が求められている。企業が安定して成長していくには継続して利益をあげることが最低条件だ。利益をあげることで、初めて税金を納めることができる。大きな利益をあげて税金を払い、その貴重な税金を政府が有効に使えれば、企業にとって最大の社会貢献だ。
また、持続的に企業を発展させるには「経営情報の開示」「従業員の働きやすさ」「環境問題」にて企画に対処しなければならない。特に我々のような化学メーカーでは環境への対応なしでは、企業活動自体が成り立たない。製品や環境に対する正しい情報の発信も、企業の社会的責任の一つと考えている。
変化の激しい社会での舵取りでは、トップが状況を正しく把握し、自ら戦うことが求められる。経営者が日夜懸案解決のために努力することが企業の持続的発展に欠かせない条件だ。
人が育つ社風が、生き生き企業の条件〜
社員のやる気の源泉はどこにあるのか~(中小企業家同友会 帯広支部)
一人ひとりと向きあって〜人が育つマニュアルはない〜潟タカ商会(札幌)社長 本郷 利武氏
「人が育つ」ということには残念ながらマニュアルがありません。人それぞれ違うものを持って生まれてきているからです。だからこそありのままの自分を認め、自分と違う他人を認める。そこで協力体制が出来上がるのです。「ひとりひとりと向きあって対話をする」のです。廻り道ですが、一番原則かなと思います。 第一に考えられることは「経営理念を掘り下げる」ということです。私共の会社の経営理念は先代が作ったものを継承していますが、それをもう少し掘り下げていこうということになりました。当社の仕事は家に関係していますので、その作業の中から世界の生活文化を見直すということができました。自分の仕事が生活に密着し、色々なことに繋がっていることが分かる、つまり経営理念を自分のものにすることができれば、人間は積極的・創造的に仕事に取組めるようになるのです。経営理念を社員の中に浸透させていくことが大事だということです。 第二に、@「どこへ行っても通用する社会人として育てる」A「一人ひとりの技術・技能を高める」B「豊かな人間性を育てる=他人の喜び・悲しみ・怒りを自分のものとして共感できる」」という三つの共通認識を幹部と持っています。同友会でよく言う「共に学び、共に育み、共に生きる」ことを土台とし、「共に感じる=共感」が非常に大事だと思います。 第三は、「可能性を引き出し、大きく育てる」ということです。よく「人は何のために生まれてきたのだ?」と質問されますが、これに対しズバッと「人は幸せになるために生まれてきたのだ」と答えていく責任が大人にはあります。「幸せのために貢献できる」ということが社長は勿論のこと社員も実感できれば、やる気はいくらでも起きます。 人が「育つ」「成長する」ということは、どれだけ深く感謝できたのか、ということではないか、それが人間の人生ではないかと思う。自主的に育つ仕組つくり東洋農機梶i帯広)社長 渡辺 純夫氏 どんなに能力があっても、努力に達成度が伴わないと業績に結びつかない。成長期と成熟期は違う。命令管理ではダメで、自主管理以外に社員を満足させる方法はない。自主管理に持っていくには、人を育てる、一人ひとりのレベルを上げること。人間として大事なことは、素直であること、勉強好き、プラス思考。皆が共通してそう思えないといけない。どうやって方向を合わせるのか、一人ひとりの心の問題、努力の問題が伴わなければならない。経営者も社員も一致した考え方を持たなければいけない。経営者が考える以上に社員は経営者と同じレベルにある。結局教育とは[OJT]以外にない。実際に仕事をしながら、仕事の現場で覚えていく。継続は力なり。
★ ファーストリテイリング会長 柳井 正氏 ★
良い人材は社会のためになる活動をする良い会社に集まる。そして良い会社は、以下に大きな規模になろうとも、急成長し高収益を上げ続けられる。海外では弱い部分がはっきり表れ、本当に強い部分しか評価されない。強いところをより強くして、独自のポジションを取る。
★興膳 宏氏 ★
「気象」の「気」とは、この世の世界のあらゆるものを構成する元素であり、「象」は人の目に見えない「気」が具体的に形を取って現れる様をいう。「平人気象論」(中国最古の医学書「黄帝内経」)で、「気象」は、人体における「気」のあり方を示し、「気」のあり方が異常であれば、それが病気を引き起こすもととなる、とある。
★ 横浜国大名誉教授(植物学) 宮脇 昭氏 ★
「混ぜる、混ぜる、混ぜる」自然界は特定の種類だけで存在するものではなく、植物は「混植」されて初めてたくましく生きることができる。
「我慢、我慢、我慢」だから人間も植物も、好きなもの嫌いなものが互いに我慢しあって共生していくことが大切だ。
★ 映画監督 小津 安二郎氏 ★
不動とは動じないこと。この世は無秩序。何でもないことは流行に従う。重大なことは道徳に従う。芸術のことは自分に従う。
【日経ビジネス他の印象記事・言葉】
*所有(株主)は権利であり、経営は権限と責任である。(ドラッカー)
*職業は天から与えられた使命(マックス・ウェーバー)
*大事をなさんと欲せば、小なる事を怠らず勤むべし。小つもりて大となればなり。(二宮尊徳)
*教育は弱いように見えるが、これくらい強いものはない。お金や資産は一旦不況になると食い潰してしまうが、人間は苦しくなるほど発奮して打開の道を見つけていく。ここに人間育成の意義がある。褐合金製作所 創業者 井上 良次氏
*人々の善良な心の中には天性の崇高な感情が秘められている。それは自分だけが幸福であることを許さない。自分の幸福を他の人々の幸福の中に求めてやまないのである。人間は気高く、思いやりをもって人を助けよ。それだけが、人間を他の万物から区別する。(ゲーテ)
*かなり前の記事ですが、厚生省の2002年の調査で「我が国の上位25%の層の所得が全体の75%を占める」とありました。もう一億総中流でもなく、所得格差は広がる一方です。社会(国民)年金・保険料も負担増が続き、所得税も地方税も増税傾向です。税金の使われ方にもっと興味を持ち、発言の機会(チャンス)を活かし、選挙権はしかり行使すべき時と思いませんか?自助努力は当然であり大切ですが、不必要な搾取からは免れたいものです。