創造経営コンサルタント吉見 - head

経営コンサルタント吉見からのお知らせ

12月3日の雑感(石川達三作品を読んで)

「三代の矜持」と「交通機関に就いての私見」

作品の内容については横に置きます。
まず「三代の矜持」。今は「矜持」という言葉は見聞きすることが少なくなりました。
国語辞書では「矜持」とは、「自分の能力を信じて持つ誇り」とあります。プライドといった方が分かりやすいですね。
私には次の文章が強く印象に残りました。
〇彼の家の古風な習慣ではいったいに女性に対しては愛情を示さないことになっているようであった。そういう仕来りはやがていつか会場を感じないようにまで習練されていたのかもしれない。
〇行きすぎた矜持とはそれ自身が保守的なものであった。誇りを保つためには常に現状維持が必要な条件であったのだ。
→今から見ると古い時代の旧家には、このような夫婦関係や生活があって、世代を継いだ家もあったのでしょうね・・・

短編作品の「交通機関に就いての私見」は、今も起きていることと思って読みました。
以下ほんの一部の抜粋です。
「鉄道がついて町はどうですか?」
「人口が減りましたよ! 青年も娘たちも労働者も、都会の風にさそわれてどんどん出ていくのである。伯備(ほうび)線の開通は、その沿線一帯に都会の風を吹き送り、資本主義の侵略コースを造り、駅ごとに色情文化をばら撒いて歩き、人情を軽薄にし、地方の労働力を都会に集中し、都会の流行を地方に侵入せしめたのであった」
→これは現在でも起きていることではないでしょうか。新幹線然り、高速道路然り、バイパス道然りと思います。
自分の若いころを思い返しても、都会風にあこがれて、そちらになびく気持ちは分かります。
地方には地方の良さ、ローカルにはローカルの詩情の良さがあると思えるには歳月がかかるのでしょうし、失って気づくものも多いのでしょうね。

[ 更新:2017-12-03 08:53:39 ]

その他の記事
記事のインデックスに戻る
ページのトップへ
創造経営コンサルタント吉見 - foot