社会人となってからの人としての成長とは何だろう。今でもビジネス誌を読むと、苦労を体験された経営者の言葉に「仕事を通じて己を磨く」という表現がたくさんある。
私もトヨタの新人セールスマン時代に、当時の支店長や上司に、「仕事を通じて己を磨くのに、セールスマンという仕事は最高の仕事だ」とよく言われた記憶があります。
しかし、当時の私は若さゆえ、「そのように信じ切れる人は幸せだな・・・」と思って聞いておりました。
自分を振り返ると、若手の時代からから中堅ベテランとなる年代まで、
「お陰さまで良い苦労をさせていただきました」「お陰さまでいい経験になりました」
とは、ほとんど言葉に出せませんでした。
この言葉が自然に謙虚に口からでる人は、人並み+αのスピードで人間として成長されていると思います。
私が本音で素直に「お陰さまで良い苦労をさせていただきました」「お陰さまでいい経験になりました」と言えるようになったのは、サラリーマンを卒業し、人生を折り返した50歳を過ぎてからですから、本当に遅い気づきです。
自分で自分の成長を実感できるのはとても良いことです。
ある意味自己成長は、金銭という対価とは別に、働いてきたことの最高の報酬といえます。
本当のプロフェッショナルとしての力量は、スキルやテクニックなどの技術に加えて、心や人間性とも表裏一体です。
真摯に良い仕事を残そうと腕を磨き続けると、人間を磨く道につながっていくことは、職人の世界では普遍の経験則です。
どのような職種であっても、人格能力と職務能力の両方を、結果としてバランスよく伸ばすという自分の職業人生でありたいものです。
[ 更新:2015-09-26 14:29:30 ]