【吉見の10月】【マーケティング:営業成果を高めるには…】【社員教育で必要なことの第一は我が社の企業理念】【マーケティング:教育で必要なことの第二は商品知識】【組織管理:指示・命令】
【吉見の10月】
10月上旬に本家の菩提寺である上ノ国(江差の隣町)上国寺へ墓参に行った。長年の風雨雪の影響で墓石の文字の判読にも苦労するのだけれど、天保15年(1844年)5月20日と刻まれている。明治30年代(1897年頃か)に鰊を追いかけて(?)上ノ国を離れ増毛郡阿分に移るまで、私の先祖はここで長く生活をしていた。吉見総本家の家系図資料から、寛文6年(1666年)に亡くなっている初冬貞山居士という戒名の人が福井県小浜より北前船で北海道と行き来し、私達の先祖となっていることまでは分かった。それからしばらく後の文政11年(1828年)生まれの吉見三之丞から今の私たちに至るまでのつながりは、創造経営大学校履修時代(今から20年前)に確認できたのだけれど、小浜から分家して北海道に定住し、さらに分家をし、菩提寺のお墓に至るまでの約150年の経緯がつかめないでいる。今後もコツコツと追い求めていきたい。
10月中旬は年1度の札幌定期公演の文楽(人形浄瑠璃)を楽しみ、お客様の御配慮で予定外のクラッシックと吹奏楽のコンサートも加わり、まさに芸術の秋を堪能できた。多数のプロ達が精魂を込めて織りなす舞台は実に素晴らしいと思う。凛とした緊張感と感動がある。
10月下旬はぎくしゃくした。自己肯定・他者否定をすると気持ちは楽だけれど、仕事がスムーズに進まないのは自分に非があるとして、他者肯定のスタンスに立つなら、私はまだまだ修行が足りないから、相手に対する思いが足りないから、努力(投入する時間の質と量)が足りないから、努力の方向が誤っているから、相手の理解も信頼も満足も得られないものと潔く反省し、この11月霜月をスタートすることとしたい。
【マーケティング:営業成果を高めるには…】
現在はモノがあふれている飽和市場に加えて、スタグフレーション(経済活動の停滞=不況と物価の持続的な上昇が共存する状態)に入った。となると、要らないものは買わない、手元にお金がなければ借金してまで買わない、無理はしないというのが消費者心理だろうし、実際私もそのように行動している。
営業成果が出る、受注が取れる背景には、当然営業担当者の努力はあるだろうし、個々人のセールスマンの人柄と経験に即したやり方もあるだろう。時代に合った商品であること、担当する地域(市場)に恵まれること、社内関連部署との連携が良いこと、何かとタイミングが良いこと、運に恵まれることなども良い成果の背景にはある。表現を変えるなら、時流に乗らない商品は売れないし、市場と販売政策(選択と集中)と身の丈(営業マンの実力)のバランスが悪いと売れないし、営業マンの属する会社の人の和が乱れていても継続しては売れない。
最近お客様と「売れる、売れない」という話題となったとき、その商品のライフサイクルを一緒に考える。商品は誕生から、成長期・成熟期を経て徐々に衰退して行き、この場面で時代に適合したモデルチェンジができると再度成長できるが(現実には再度成長ができない時も失速する時もある)、何もしないと消滅する(商品寿命が尽きる)。だから、我社の商品がライフサイクルのどの位置に現在あるのか当てはめてみる。社内に販売統計(データ)があればそれを使うが、ない時は経験をたどってライフサイクルの位置を推測で当てはめてみる。その上で、どのような相手にどのような商品をすすめると効果的かを具体的に考え、営業方針を決めていく作業を行う。この営業方針を実現する具体的な行動目標として、顧客との接点の増やし方(訪問の質と量)、顧客にとって必要で価値のある情報提供のツールとその使い方、販促の手順は自分たちで立案してもらっている。自分で問題意識を持って、自分で考えて、自分で必要性を感じて学んで(教えられ、聞かされて)動かないと、自分の意識は変わらないし、本気にもならないし、上司の目の届かないところでの持続的な顧客満足を与える行動力にならないからだ。
管理監督する立場の人はビジネスとしての合理性や採算も考え、第一線で顧客と関わる営業マンは人間として顧客との心の触れ合いを意識して欲しいと願っている。
【社員教育で必要なことの第一は我が社の企業理念】
営業マンに限らず社内教育で必要なことの第一は我が社の企業理念と存在意義の共有だ。創造経営システムでは次のように経営理念をとらえている。経営者は、社員の入社の時に始まり、折にふれ、いろいろな場で、繰り返し、繰り返し、我社の経営理念を訴え続けていただきたい。組織にくまなく浸透するには長い歳月がかかるからだ。
(以下引用:宮本嘉興著 「経営体質転換法」より 発行:ぎょうせい)
1.経営理念は経営の基本要素(企業経営の原点)
経営の第一要素は経営理念であり、第二要素が経営環境、第三の要素として経営資源と考える。この三つの要素は、例えるなら正三角形の構造を形成している。正三角形をイメージしていただき、その底辺が経営理念といえる。
経営システムを考えると、投入(インプット)するものとしての人・物・金という資源があり、結果(アウトプット)としての業績・利益がある。この結果としての業績・利益は、その年度、その時代の経営環境にいかに適応したかの度合いを示す結果変数である。
この投入と結果を適切に適合するのがトップ(経営者)であり、経営の機能(システム)であり、これらを統合するのが各社の経営理念である。
具体的には、①個人と組織の統合、②自他共通利益の達成、③短期的利益と長期的利益の均衡、④製品別基準と得意先別基準の統合などが上げられる。
トップの掲げる高い経営理念に導かれながら、自社の経営資源を有効に組み合わせて、その結果としてきめ細かく環境適合していくこと、これらが今後の組織設計の枠組みとなる。
2.経営理念~何のために事業を行うか~
表現を変えると、現実の経営の最高責任者自身が、自分の信念として述べたものが経営理念である。経営理念のあり方を最も強く規定しているのは、経営者自身の人格や価値観や心情などの文化的側面である。
企業に働く人々は時として自己中心でもある。そこで、自己利益を中心におく人々に意思決定をゆだねては私益が優先し、企業としての組織凝集の努力が帳消しとなってしまう。だからといって権力的に彼らを束縛すれば、個人の努力を支えている精神的エネルギー、意欲を抹殺してしまう。このジレンマを解決するものとして重要な役割を果たすのが経営理念だ。経営理念は経営者の信念の表明であり、その信念を例示すると①共通理解の信念であり、②成功するだろうという信念であり、③個人的動機が結局満たされるだろうという信念であり、④客観的権威が確立しているという信念であり、⑤組織に参加する個人の目的よりも共通目的が優先するという信念などである。
経営活動に流れる一切の物、金、人を総合し、統一し、企業行動そのものとして現実化している生きた行動見本が何と言っても経営者である。
通常私たちがエネルギーの集中、統合ができるのは、何らかの希望や目的の追求をしている時である。人間は自己の願望や欲求の対象に精神を集中している間は、その目的・目標をきっちり達成してしまい、目的を持たない人間よりはるかに精神的エネルギーが充実し、高度に統合された状態にある。ゆえに、組織を構成しているメンバーに対して、経営者が何らかの目的や価値を注入したとき、組織構成員は、自分の帰属している組織目的は何か、その中で自分がどのような思考・行動様式をとることが望ましいかについて、大方の理解と方向性、準拠性を持つことができ、このようなときに組織の統一性が保たれる。
【マーケティング:教育で必要なことの第二は商品知識】
顧客が営業マンに求める条件の一つに、取り扱う商品の専門性がある。顧客の知りたい商品知識を持っていることは、信頼関係を築く基本となる。扱う商品の知識がなければ、商品を説明できないし、そのようなレベルの店では安定して商品は売れない。だが私のトヨタのセールスマン時代を思い出すと、新車をカタログや実物で細かい部分まで調べて、競合他社商品と比較し、優劣をしっかり把握したからと言って新車は必ずしも売れなかった。
となると「商品の知識を持つ」とは、「お客様の立場になって商品を知る」と言う事になる。すると、その商品の良いところだけでなく、客観的に競合商品と比較して、短所も知る必要がある。今のお客様は良い点ばかり並べられても、事前にインターネットを利用して商品の良い点と悪い点と価格を確認した上で、何かを確認する目的や意思を持って来店する人が増えている。特にオタク族のように買いたい商品に強いこだわりがある場合、商品知識はお客様の方がはるかに上を行くことも普通にある。これも私のトヨタのセールスマン時代の経験だ。今の方がもっと情報は豊富だから、この傾向は一層強まっているだろう。
加えて今の店舗では、数え切れないくらいの商品数を扱っている。商品ではなく日進月歩の技術を提供しているような業界では、営業マンの習得すべき商品・技術知識の質と量は膨大なものになってしまう。個人の記憶力がそれに耐えられるのかも疑問だ。だから、営業マンにとって商品知識はどのくらい必要なのか、妥当な質は何かというのは経営管理上悩ましいところだ。
専門誌で時々マーケティングの専門家が、商品知識の習得度と好業績営業マンの関係を調査・分析している。その結果を見ると、商品知識が豊富だからといって、必ずしも営業マンの業績が良いとはいえないことが分かるし、逆に商品知識が少ないからといって、業績が悪いとも言えない。これも私のトヨタのセールスマン時代の経験と同じだ。営業マンにとって商品知識の量と販売実績とは、無相関とは言わないが、絶対的な相関はないということだ。となると、自分らしい顧客との関わり方(信用・信頼関係)を磨くことが、中小企業では極めて重要ということが分かる。
【組織管理:指示・命令】
適切な指示・命令と、タイムリーな報告・連絡・相談の好循環環境をつくろうと会議でいう。言葉では簡単だが、現実の場でこれを相互に満足させることはかなり難しい。自分自身もその時々の年齢、知識、経験の質と量と、担当する部下の個性と能力と人数により、良い時もあれば全く機能しなかった経験もある。優秀な部下や感性のいい部下、ヒントで動ける部下、行動力のある部下は自由度が高い方がいいだろう。そうではない部下に対しては(今の私の年齢と経験になったから思えることだが)、上司は余計な感情を捨てて、命令は命令として出すべきだ。これは居丈高に、高圧的に部下に接しなさいということではない。お願いするような、ソフトな表現もあるだろう。部下の受け止め方としては、威圧的に感じ、何を偉そうにと思い、不愉快さを感じることはあるだろう。企業の目的と組織の分業の仕組みとしては、指示・命令により部下を動かすのが上司の役割であり、トップはそれを期待している。
私自身経験したことだが、ソフトな指示・命令には次の困ったことが起きやすい。①部下に上司の命令に対し安易な拒否が起きやすい、②部下が自分のレベルで上司の指示・命令を軽く受け取り、上司の指示・命令を忠実に実行せず自分流に対処する、③結果としてミスが起きクレームとなる。
トップの目から見ると、部下は真剣に仕事をせず、自分で問題の解決ができず、上司に解決(尻拭い)をゆだね、上司は部下をかばって、部下に嫌われまいとして上司の立場で穏便に対処する姿となる。これでは部下はなかなか一人前に育たない。一人前にならぬ集団が、競争相手に継続して勝てるわけもないし、顧客満足を持続的に提供できることもないだろう。トップは歯がゆい思いでこの上司と部下を見ている。
[ 更新:2008-11-03 17:22:19 ]