【創造経営吉見ゼミ:苫小牧で半年経過】【前向きに】【東京女子医大医学部長 大澤真木子氏:日本経済新聞6月8日のコラムから要約】【フロイト:日本経済新聞2008.7.12文化部中野稔氏】【組織づくり】【組織の質を上げよう】【自主性】【権利意識】
【創造経営吉見ゼミ:苫小牧で半年経過】
今年の4月から少数の経営者と創造経営吉見ゼミを苫小牧で始めた。お陰様でこの半年間で計6回を行うことができた。厳しい環境に生き残るには、さあ頑張ろうという「場」が必要と考え、最初のご案内は次のように出した。
地元の老舗企業の倒産、身近な企業の破綻、もう頼れない行政と、先が見えない混沌とした現在の北海道を見ると、今年の中小企業の経営環境は、まさに正念場となっています。トップも社員も一体となり、各々のポジションで自分の力で乗り切る、自力で克服するというパワーが求められます。
その自力を高めるには、メンタル面の強化、多くの経営場面の実経験(修羅場体験)、経営管理スキル・知識が融合されて行かねばなりませんが、独力で強化するには限界もあります。
ここに、価値観や志が近い人が集い、お互いの経験とスキルを持ちよって、自己成長と企業の成長を目指す「場」として、創造経営吉見ゼミをスタートします。
経営コンサルタントの吉見は、平成12年の開業から今日までの成功と失敗の経営コンサルタント実務体験と、3年前から通う創造経営コンサルタント実務・経営事例研究会(MSC-NET:東京開催)のノウハウを提供致します。参加される皆様からは、経営現場の現状とこれまでの実践経験をオープンにぶつけていただき、お互いが刺激し合ってこの困難を乗り切って行こうと参加を呼びかけるものです。
「自分の問題は、他人の力を上手に借りながらも、甘えず、依存せず、やるべきことをやりぬこう!!」を目標とします。是非ご参加ください。お待ちいたします。
参加者は毎回5名から10名くらい。身近に顔が見えるし、見知った者同士でもあり、学びと実践の質は高いと感じる。会場もメンバーの御好意から提供されているので、参加費も1人千円としている。おかげさまで、参加メンバーの企業の経営は健闘している。興味のある方は是非メンバーに加わっていただきたい。そして持続する経営をしていただきたい。次回は10月24日(金)を予定している。興味ある方はご連絡をいただきたい。一緒に成長しよう。札幌でもこのような「場」を持ちたいとも考えている。興味のある方は是非ご一報いただきたい。
【前向きに】
社交性のある人はいいですね。初対面の人とのやり取りを楽しめる人は、すんなり新しい人間関係をつくり、どんどん拡げていけることでしょう。なお、私は時間をかけて作り上げ、持続し、広げて行くタイプ。お客様企業の経営者や社員さんを見ると、次のことを感じる。
好奇心が旺盛な人は、新しいことを楽しみながらチャレンジする。
集中力のある人は、業績にスピーディに貢献する。
負けん気が強い人は、本番に強い。
このような人柄に育てた親の力は偉大だなと思ってしまう。親御さんの成功体験だけではなく、人生の失敗や逆境で忍耐する経験が、辛抱強い子育てとなり、会社で有用な人づくりになっているのだろう。一般には、幼い時から親や学校の指示するままに過ごしてくると、自分で選択をし、責任を取ることがないまま社会に出ることになる。仕事は結果と責任を求められる世界だから、適応するのに苦労するだろう。子供と接するときにこの現実を忘れぬようにしたい。
【東京女子医大医学部長 大澤真木子氏:日本経済新聞6月8日のコラムから要約】
小児期の発育、発達はめざましいが、子供の変化は環境に大きく依存している。特に保護者の役割は大事だ。子供は、大人のような振る舞いを要求され、常に評価され、注意されると極度の緊張状態に陥る。世の中のできごとも、育児も、近時の文明社会であっても制御できるものではない。しかし向上心が強く、切磋琢磨する親は子供を制御しようとする傾向が強く出る。
慈しみは励ましの愛で父性性、悲は慰めの愛で母性性と表現し、男性や女性を問わない。母性は無言の愛、そのまま受け入れる愛である。一方父性は一歩前に踏み出す勇気づけ、高い所に一緒に歩もうとする呼びかけの愛である。母性が十分与えられることで建築の土台ができ、初めて外の世界と安心して関われる。子供には両親の影響が大である。
【フロイト:日本経済新聞2008.7.12文化部中野稔氏】
「心の大部分は無意識であり、この無意識の中にこそ個々人が見つめるべき現実があり、それに気づくと安らぎがある。人間は親子関係を軸とした社会関係の中で文化的につくられていく。いかに生きるのか、働くのかを考える上で、自己を制御して現実と向き合うことは、即効性はないがじわりと効く。」
血縁という事実は、はるかな祖先とはるかな子孫をつなぐ長い時間軸としての事実であり、無視できないものだ。だからこそ家系調査を続けると、たくさんの気づきが得られる。これは自分が体感するもので、頭の中だけの理解とは別のものと私は感じている。ここから生きるエネルギーがわいてくる。
【組織づくり】
新しく関わる企業に共通するのは、中間管理者が管理機能をこなしていないこと。管理職の役割が果たせず、トップが下に降りる、一般社員が上司のカバーをする光景が見える。「次はこれをやっておけ、後は任せた!」という丸投げ上司、現場で起きていることに理解も判断もできない、決めない(決められない?)上司もいる。確かに最近のミドル層(管理者)には、短期的な成果+法令遵守+人材育成等々役割(債務)が積み重なっているから気の毒ではある。しかし、それはトップも同じこと。かなりのミドルが、徐々に身動きが取れなくなり、自分の役割を見失い、無力感に陥り、機能不全となるようだ。となると、このような管理者がいなくとも仕事が回るようにしたい。とすると、中小零細企業は、身の丈に合った質の高い労働力を長期間雇用したい。そうなると退職率は下がる→補充の求人費・採用費が少なく済む→人員不足による販売チャンスを逃さない→繁忙期に慣れた仕事を何役もこなせる人が増える→作業効率が上がる→残業時間が減る、という好循環で仕事ができる。柔軟に組織規模に合わせて人材育成の仕組み(モデル)を変化させよう。
現在問題もなく、うまく仕事が進んでいるのなら、あえて変えないことも選択肢だ。人には能力があるのだから、順調な時は無意識ながら頭の中であれこれ考えを巡らし、工夫を凝らしている社員はいる。ただ、経営管理上の注意点は、順調が当たり前になると、手を抜く輩が出て事態の悪化を招くことだ。信用することは大事だが、仕事のチェックは手抜きの無いようにしよう。
【組織の質を上げよう】
居丈高な上司やいじめが好きな上司はいる。陰湿な上司もいる。そのような組織では、コミュニケーションが減る。自分の意見が通らないのだから当たりまえだ。言うだけ空しくなる。上司が指導力に欠けているわけだ。営業職の現場では、営業成績が良いことを理由に、仲間を侮辱し、悪意を振りまく人もいる。このような職場では、人間関係が希薄化し、協力関係が乏しくなり、モチベーションも下がる。結果として品質やサービスに問題が出て、不機嫌な人の多い職場となる。こうなると悪循環だ。
日本人の良さは一人ひとりの人間のモラルの高さであり、そのような人への信頼だ。だからこそ、当たり前のことが当たり前にできることを目標にしよう。自律的に自分のやりがいや生きがいを求めて働こう。会社は組織なのだから、職場の仲間とは協調して働こう、仲良くしよう。自分らしく生き、働きがいのある職場で楽しく働こう。そのためには自分の価値観をただ主張するのではなく、関わるメンバーの価値観も分かってあげよう。人はそれぞれだからだ。違いがあるのが人間だ。お互いが分かるには、話し合うしかない。違いを認めて、折り合って、譲り合って本当の共生ができる。全体と調和して、その中で自分を活かすのが自己実現だろう。
【自主性】
私たちが働くということは、人としての自分を活かすことだ。教科書的になるけれど、仕事において自主性があるとは、自らの問題を、自分で解決すべき問題と認識し、自分から進んで解決しようと行動することだ。問題は日々の現実の中に現れる。どうか解決して欲しいと顔を出す。問題を解決しようと目標設定をし、一生懸命知恵を絞ると、解決の方法や手段はだんだん具体的になってくる。いろいろな厳しさに当たり、それを乗り越える経験により私たちは鍛えられる。
仕事の場面ではいろいろな計画を立てる。計画を立てるということは、一つの意思決定だ。この決定は、期限を決めて実施されるものだ。担当者はその計画達成の義務を負う。仕事は組織(複数)で行うのだから、部下にも計画は知らせる。その一つが指示だ。予算実績検討会議では、会計資料で計画と実績の差異をとらえる。不足の差がある場合は縮めるのが仕事(責務)だ。これらが全部できて自主性のある管理が行き届いていることとなる。
【権利意識】
最近聞かれなくなった国家独占資本だが、最近の金融資本の動きからも、巨大資本は国家や民族を搾取の対象にしていると感じる。それゆえ、正しい権利意識は必要だ。正しい権利意識と、正しい権利の行使がないと、権利を認める法律があったところで、その法律が現実に機能することはない。国民個々人が、意識の中で権利を認識し、権利を生かし、権利を役だてることではじめて権利が機能する。
だから、すぐあきらめる、すぐ忘れるということは自分の思考を止めて、自分の意識を放棄し、他人に委ねることだ。すぐ忘れ、すぐあきらめ、対策を講じないから何度も同じことが繰り返される。経営の現場も同じことが現れているだけだと私は感ずる時がある。
[ 更新:2008-10-01 05:49:41 ]