組織は個々人の集まりだから、個々人が理解と納得をして自分の意思で動いてくれるのが望ましい。トップや上司は次の点を意識して部下と接していただきたい。
(1)部下個々人に関心を持つ
部下に関心を持つということは、部下一人ひとりに興味を持って、もっとよく知ろうということ。知ることは、部下の長所と好きなこと、元気になれること。適度にグループで、あるいは個人を誘って飲んだり食べたりする必要はあるが、頻繁に飲んだり食べたりする必要もない。
毎日の仕事の場で、部下一人ひとりに気配り、目配りし、向き合って自分の言葉で褒める、叱る、なだめるなど関わりあって折り合っていく。かける言葉が大事だ。「いま何している?」「あの仕事うまくいっている?」「最近悩んでいない?」「なんか困っていない?」「どうしてうまくいかないと思う?」言葉のキャッチボールを欠かさないこと。お金をかけずに出来ることもたくさんある。
(2)目標はシンプルに
部下の立場(役職・キャリア)に応じて、個別に投げかける目標はシンプルに絞る。部下はたくさんあると迷うし、自分の立場とレベルで優先順位をつけるもの。上司が欲しい結果の優先順位と異なるものを部下が選ぶと、目指すものも得られるものも違ってくる。部下は自分と同じ能力と経験ではない。部下の成長を期待し、部下の能力の少し高めを指示したい。目標は共有されてこそ意義がある。
(3)スタートとゴールを明確に
目標の設定も仕事の指示・命令も、スタート(着手時)とゴール(締切日=**月**日**時まで)は明確に伝える。締切日があいまいだと多くは後送りになるし、普通の人は締切日から逆算して着手日を決めるもの。加えて、差し込みの仕事や急ぎの仕事が入ると、「いつでもいい…」という仕事は忘れ去れてしまうのが私の経験である。
(4)やる気のある人、できる人を使う
新しい仕事やプロジェクト、緊急の仕事、部署の一体感を高めて進めたい仕事は、やる気(ガッツ)と行動力のある人(血気盛んな人)を選ぶ。やる気のない人、行動力のない人、過去5年成果を出せない人に期待してもしょせん無理がある。任せた後は自由度を高めて任せ、上司は応援団に徹する。人は自分が当事者となると真剣になるもの。見られていると思うと緊張感もあるし、上司のサポートが得られると思うと安心感もある。
上司は、任せた部下たちが、いま何を、どのようにやっているのか、関心を持って欲しいし、頻繁に少しオーバーに励まし、刺激を与えるために善し悪しの評価もして欲しい。組織は一体感があると強い。