今日の札幌は雪、私の入社式(昭和52年4月1日)の札幌も雪だった。「社会人となる」ということは、経済的に自立すること、それは稼いだお金で生計を成り立たせることと私は思うが、皆さんはどのように定義しているのだろうか。
少し前の経済新聞の特集に、「学生が社会人となる上で身につけておくもの」のアンケート結果が掲載されていた。それは次のようなものだ。@基本的ビジネスマナー、A豊かな一般知識・教養、Bコミュニケーション能力、C問題解決能力、Dビジネス文書・メールにためのPC活用スキル、E分析力・情報処理能力、F情報感度・情報収集能力、Gプレゼンテーション能力、H企画力・創造力、I政治・経済・法律などの専門知識。これらの内容は、今の中堅社員に期待すること、中小企業経営者が必要とすることと言っても通じるのではないだろうか。今社内にないものを、社会経験のない新入社員に求めていると言っては言い過ぎだろうが、それだけ不足しているものは急いで補いたいという採用側の心理なのだろう。
会社のスタートは、経営者が元手(資本)を集め、人を雇い、働いてもらう仕事を提供することから始まる。働く対価は賃金(給与)であることは当然で、特に20歳代は私もその意識が強かった。30代になり、前職ではトップに期待され、費用をかけて学びの場をたくさん与えられ、単にお金だけではなく期待され、認められる喜び、名誉を持って働けることの嬉しさを実感させいただいた。開業後、50歳前後からは、仕事をさせていただく相手がいること、一緒に仕事をする仲間のいることの楽しさ、有難さが身にしみるようになっている。個々人の価値観や経験により、喜びや満足するものの順番や重みは違うだろうが、これらが会社側と働く側がうまくマッチすると、社員は全力を尽くし働くから、おのずと業績や成果となって現れる。
社員のやる気と成長を促すには、ほめることがまず大事だし、気にかける、聞いてあげる、受け容れる、公私にわたる付き合いなど、中小企業ではいろいろな場面がある。それらがトップの個性と社員のつぼにはまると、実にいい動機づけとなる。本当に頑張って働いてくれるものだ。
人材流動化という時代ではあるが、中小企業の採用時のポイントは、我社の社風に合うかどうか、言いかえるとトップとの相性であり、続いて共に働く先輩や上司と気心が通じるかどうかだろう。だから採用面接はトップと廃属先の上司が一緒に行うべきとお願いしている。上司となる人が、自分も一緒に面接をし、相手を見込んだのなら、何とか一人前にしよう、早く仲間となろうとするだろう。無責任にはならないのが、役職を持つ常識人だろう。
私が創業から30年以上の中小企業を見て感ずることだが、仕事には終身雇用に適した仕事と成果主義に適した仕事がある。ただし今の時代は、終身雇用と年功序列賃金はセットとして運用はできない。中小企業の現場での印象だが、終身雇用と年功序列賃金のセット運用は10年前で終わったのではないだろうか。形は残っていても、実質的には運用ができず、中高年が既得権を守り、そのしわ寄せが若年層に及ぶか、建設業では年功加算が停止していたのが実際だった。
現在は「能力序列型賃金」が主流となる。ある程度の生活保障給部分は必要だが、社内比較・社外比較で、その人の働き(貢献度)よりも高い給与を払い続けては、会社は維持できない。社員間の公平感覚も維持できない。
仕事はプロフィットセンターにいるかコストセンターにいるかの違いはあるが、自分の仕事を通じて関わる人に貢献し、それが信頼され、感謝され、波及して外部より売上や収益として実現し、資金として還流する循環の中にいる。これらにしっかり関わることで人は評価されるものと思う。