◆経営改善の仕事の中に「赤字を黒字に!」というものがあります。

 私は常に全力で取組みますが、ここ1〜2年改善効果を速やかに出すことが非常に難しくなってきています。中小企業の競争レベルがかなり高くなってきていること、何事にもかなりのスピードが求められることが大きな原因です。変化が速く人間の対応力、適応能力を超えつつあるように感じるときもあります。赤字の会社は「変わらなければ」赤字が続き、いつかは倒産です。「借金があるから止められない!」といっても、黒字化の見込みや借金返済の見込みがなければ、いつかは強制退場処分となり倒産します。多くの人たちに迷惑が掛かります。経営改善が進まないとき、「なぜ変わらないか?」真剣に突き詰めて考えなくていけませんが、この事実を冷徹に見る努力を避ける、見ようとしない、目をそむける、目をつぶる経営者のもとでは赤字は止まりません。

◇もう一つ「働く人のいい所を生かしきる」ということも重要な手段です。赤字会社の経営者の多くは、自社の長所と短所を質問すると、短所ばかりをあげます。「うちの会社にいい所なんて何もない。」と言われるときもあります。いい所が全くない会社であるなら、社会に存在価値が無い訳ですから、延命や再生は不要ではないでしょうか。確かに応急的処置として、赤字箇所(出血部分)を急いで見つけ、赤字(出血)を止める作業は最優先で行ないます。このときに「どうして赤字となったのですか?」という質問にしっかり答えられる経営者はまだ良いのですが、「全く分からない」「何となく赤字が続いている」との回答のときは実に困ります。赤字原因は、理詰めに分析作業を行なうと必ず解明されます。黒字化には、商品・店舗・顧客・社員等々の「いい所を生かしきる」ことが必要になります。スポーツでも守りだけでは勝ちはありません。赤字は点をとられている状態です。攻めて同点にすることがトントンの状態です。逆転することで勝ち(黒字)となります。そんなに簡単なものではないのですが、組織力を引き出せる会社もあれば、誰がトップか責任者か分からなくなる会社もあります。経営はトップ一人でやっているわけではありません。トップの苦労や悲しみを知る社員の協力や、社員の潜在能力をどう引き出すかが鍵です。ただし、黒字を目指すとき、トップが先頭で頑張るのは当たり前です。

◆3年前に仕事をさせていただいた会社の社長は「中小企業は小さくとも光るものがなくてはいけない。光るものがない企業は生き残るのは難しい。」とよくおっしゃいました。どんな中小企業も、それなりの期間経営をされていると、必ず『光るもの』を持っています。確かに企業によって、きらきら光り輝いている所もあれば、ほこりにまみれたため光が見えない場合もあります。この場合は丁寧に磨きなおすと、素晴らしい輝きを放ちます。でもあまりに永い間磨くことを怠ると、輝きを取り戻せない場合もあります。我社の『光るもの』をいつも磨き続けましょう。これが長所であり、強みではないでしょうか。

★ 日本創造経営協会 専務理事 山口 脩氏 ★
 長崎県で起きた小学6年生の同級生殺人事件、更に毎日のように新聞・テレビで報道される青少年犯罪は、豊かな日本における「心の荒廃」を物語っている。日本人の心の荒廃は、@敗戦後の家族制度の廃止、A新渡戸稲造氏の名著である「武士道」の精神を忘れ、物質生活中心に走ってきたこと、B欧米文化の科学的合理性を追求し、日本神話における生命観を見失ってきたことに要因がある。
 神話は、この世の開闢における宇宙・自然・民族・文化の起源を語り伝え、民族の規範を語り伝えてきたものである。したがって、民話は民族文化差異の根源である。フランスの神学者デュメジルは「神話をなくした民族は命をなくす」とさえ述べている。

償却済み社員 安土 敏氏
 企業が早期退職制度を断行する背景には、社員は年齢を経るごとに経験を積み、生産性を上げて会社に貢献するという前提が崩れていることがある。逆に年を取れば取るほど新しい技術に適応できずに、社員としての価値が下がるという反対の現象が起こるようになった。時間の経過につれて価値が下がる「償却」という考えは、人材にも適用できる。 大切なのは会社以外の社会や常識を常に持つということ。例えば、社内に不祥事が発生した場合、その会社にだけ頼りきった人生を送っていれば、不祥事を何とか隠そうとして会社ぐるみの犯罪に加担しやすい。しかし別の人生があれば、考え方や対応は変わると思う。

ワンポイント・・・品質管理の基本とは? 
 同じ材料で同じ機械を使って同じように作れば、必ず同じ製品ができるという考え方。しかし現実には、同じ機械や工具だと思っても使うと多少磨耗するし、供給される材料も完全に同じとはいかない。機械を始動させたばかりの朝方と、止める夕方とでは、全く同一に加工できるとも限らない。それゆえ現場で生ずる小さな変化をよく考える必要がある。(唐津一東海大教授)

★三洋電機 元社長 高野 泰明氏 ★
 三洋電機創業者の井上歳男さんの言葉「部下は苦境に立つと必ず上司の顔色をうかがうようになる。上に立つものは苦しいときこそ笑顔を見せろ。」創業者は口に出して言うだけではなく、その言葉を身をもって我々に教えてくれました。
 永遠に降り続ける雨はありません。人生と同じように、会社にだって良い時があれば悪い時もある。一喜一憂しないで現場の力を信じられるのも、経営者の条件なのでしょう。

★ アリババ・ドット・コム会長件CEO 馬 雲氏★
 初来日前に日本の企業やビジネスマンに対して抱いていたイメージは、規律や礼儀を重んじ、完璧主義で、非常に勤勉というものだった。実際に日本に来て、決断に時間がかかりすぎ、意思決定の遅さは致命的だと感じた。経営者が高齢であることにも驚いた。一般論であるが、高齢の経営者がやりたくないことに、過去に自分が経験したことのないこと、過去に自分が失敗したことがある。
 日本に来るたびに印象が良くなっているものに、日本の製品やサービスの優れた品質である。あらゆる製品やサービスの水準がこれほど高い国は見当たらない。日本の若いビジネスマンにこう助言したい。両親の世代や教科書に書かれている常識を全て疑って見ること、新しい時代に何をすべきか自らの頭で考えること、そして今すぐ行動しよう。

★小説家 中上 紀氏(故中上健二氏の長女) ★
 父が生きていた頃は反発もしたし反抗もした。(中略)酒の匂いをさせて帰ってくると、又か、とあきれた。家中が本だらけだったから、本を見ただけでうんざりした。なのに父不在の今、欠点としか思えなかったそれらが、じわりと私に移行してきている。

★アダックス・グループ代表パートナー 西浦 道明氏 ★
 企業が生き残るには、規模の大小に関わらず顧客中心の企業文化を築かなければならない。企業の持てる力を最大限に発揮させ、企業価値を極大化させる経営の仕組みを作る。本当に顧客が大事なら、取引のある顧客は「信頼」という無形資産を「顧客資本」として企業に出資していると考える。人財は企業に「知恵」という無形資産を出資してくれる存在である。社員には、「何故こうしなければならないのか」飲み込めるようにする。ここが分からないと、危機感も改革の知恵も生まれない。


中同協 会長 赤石 義博氏 (第21回中小企業労使問題全国交流会 富山より)
 「労使見解」の精神とは、労使が納得し、心から信頼協力し合って、まず社内から、そして並行して全ての人が真に「生きる、暮らしを守る、人間らしく生きる」を実現できるよう努力していこう、ということにある。 「労使」とは、基本的には利害が相反する関係にあることを認識すること、そのことを前提にして初めてより密度の濃い労使の信頼関係を作っていける。 「一生懸命やることと効率的に成果を出すことは違う」「心の名誉」こそ大切と感じる。 社員を教育するとは、自社だけで役立つ人間を育てるということではない。定年後、世間一般で通用する力を持ち、どこでも働けるような人を育てることである。それができないのであれば、経営者を辞めたほうがいい。 「別な会社のほうが給料は良かっただろう。でも、今の会社でかけがえのない人生を送れたと胸を張って言える」ことが大切である。 「自立的人間」とは、自分の人生を充実させたいと思っている人間であり、やりがいとは、その自立観から生まれるものである。自分の意志で働き、かけがえのない自分の人生の価値に気づくことだと思う。八嶋社長 八嶋 祐太郎氏 当社は1932年に祖父が創業し、倉庫業を中心にした運送・物流業の会社である。「経営指針を創る会」で学び始める中で、まず自分が変わった。一つは自分の生き方が、「自分のため」から「人のために」へと変わり、社員に対する見方も「経営にとって必要な人」から、「かけがえのないパートナーであり大切な仲間」と思えるようになった。「利益が会社の目的」と思っていたが、今は「利益は会社の目的を実現させるための手段」であり、「会社の目的」とは「社員満足であり、社会貢献であり、顧客満足である」と考えが変わった。 「理念を浸透するためにどうするか」とよく聞かれるが、社員とは時間をかけて話をするしかないと思う。 私が考える「理想の会社」とは、「社員が生き生き働く会社であり、一人一人が経営者と同じ感覚で行動する社員のいる会社」である。その実現には「一番大事なことを一番大事にする事」であり、「一番大事なこと」とは「価値観の統一」である。 私の会社は1次元から2次元に移ろうとしている。1次元の会社とは命令一下社員が動く会社、2次元は社員が自発的に動く会社、3次元は自分で考えて行動する社員のいる会社である。

★ ヤンキース トーリ監督 ★
 企業の経営者や管理職は、補佐してくれる優秀なマネジメントチームがいなければ、仕事はまず全うできない。マネジメントチームは換言すると「統率者を支える人たちの集団」となる。
毎日顔を出すだけのコーチは要らない。欲しいのは、自分のいる場所が好きで、自分の仕事に情熱を持っているコーチだ。周りにいる人間は陽気であって欲しい。自分自身の意見をきちんと持っているコーチが欲しい。私を喜ばせるためだけの意見では困る。
 監督や経営者というものは、しばしば孤立無援の状況に立たされる。だから、決してマネジメントチームの大切さを軽視してはならない。仕事は一人ではできない。できると思うのは間違いのもとだ。

★ アサヒビール社長兼COO 池田 弘一氏 ★
 強いブランドを維持するには、変える勇気と変えない勇気と両方が必要なんです。変わることを意識すればするほど、本当に変えては行けないコアの部分は何かということを再確認できる。

★ ソニー生命保険 前会長 岩城 賢氏 ★
あえて活字にまとめたのは、私たちが目指す理想像をはっきりさせるためです。そうすれば現状を認識し、理想との差はどこにあるかも分りやすくなります。理想と現実の距離が分かれば、そこに努力が生まれるのです。理想を目指して切磋琢磨する組織には独立心と連帯感が同居しているのです。

★ 神戸製鋼所ラグビー部ゼネラルマネージャー 平尾 誠二氏 ★
 今回のオリンピックは、選手自身の活躍は勿論、コーチや情報収集・分析担当者、トレーナーなど、周囲の専門スタッフ全員でつかんだ勝利だ。「個人競技のチーム化」の背景には、スポーツそのものが戦略的に高度化してきたことがある。対戦相手の強みや弱みから、試合会場のコンディション、審判のジャッジの特徴に至るまで、多様なデータを集めて分析し、それをコーチが練習メニューや試合の組み立てに落としこむことが要求される。しかも限られた時間内にこれらをやらなければならない。情報を集めること以上に、選択し、捨てることも必要だ。消化しきれない情報は選手にとって「迷い」を生む原因にしかならないからだ。

★ スタッフサービスホールディングス 社長 岡野 保次郎氏 ★
@行動に移す前に現状を分析し、仮説を立て、実験・検証する。
A組織の果たす機能に着目し、必要な機能だけを発揮できるように組織を組替えて磨き上げ、個人でなく組織の力で必要な機能と不必要な機能を明確にし、その効果を発揮しやすい組織に変えた。
数字を見る場合も、営業マンの熱心さと受注の相関を見る、接待と受注の相関を見る、業界事情に通じることと受注の相関を見る。

【日経ビジネス他の印象記事・言葉】
*自分で苦しんでこそ、企業は力をつけていく(ナムコ会長 中村 雅哉氏)
*「教える立場」になることは簡単だが、「教える資格がある」ことは別。進み行く者のみが教える資格がある。進み行く者とは、素直で柔軟な者、今までの自己を否定できるものである。(ワタミフード社長 渡邉 美樹氏)
* 一人の子供が成長していくには親だけでは足りない。色々な人との出会いやコミュニティが必要だ。(小説家 モブ・ノリオ氏)
* 優れた研究者は「それまで見えなかったものを見る」事に全力を注ぐ。未知への探究心を支えているのは、研究者自身の境遇や信念、つまり極めてパーソナルな動機である。(瀬名 秀明氏)
* 自分の価値に見合った給与をきちんともらおう。(作家 梅森 浩一氏)
* 他人に対し厳格な秩序を求めながら、自分に対しては責任の無い無秩序を求める人がいる。
* 精神障害による一ヶ月以上の疾病休業人口は47万4千人と推定され、逸失利益は賃金ベースで年間9,469億円にのぼるとされる。
* 「職業的な知恵」とは、スキル、センス、テクニック、ノウハウと呼ばれる「技術」とその奥にあるマインド、ハート、スピリット、パーソナリティと呼ばれる「心得」が一つになったものである。
* 「自然」とは、オノヅカラ シカルコト、人為を加えないあるがままの状態の意味である。

[ 2006-05-29 08:40:43 ]


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