それは管理職社員が上役の言っていることを聞いているようで聞いていないということです。「どうせ指示が変わる」と見透かすように動こうとしないのです。この状態に陥ると赤字は止まらないし、改善も止まります。あの手この手で動かそうと努力するのですが、場合によっては半年以上もこの状態が続くこともあります。資金の事を考えると経営者ともども、胃がキリキリ痛むときです。
◇リーダーを育てる会社もあれば、人を潰す・使い捨てにする会社もありますね。経営管理層に向かい昇進・昇格する人は、そのステップ(転換期)に期待され必要とされる@スキル(経営管理技術)A管理業務と現場業務の時間配分B職務意識(使命感)を新に修得し、それまでの古いやり方を捨てなくてはなりません。本人の自己改善、自己成長が強く望まれます。一方トップは人事権を行使して昇進・昇格させた人に対し、成長の成果の判定基準を明確に示しているでしょうか?あいまいになっているケースが中小企業では多いものです。経営者は少なくとも年1回は社員に対し、大変であっても短期と長期両方の観点から「期待以上」「期待通り」「期待はずれ」の判断をして欲しいものです。
◆「人間関係が良ければ、働きやすい職場ができ、そこでは人々は良く働いてくれる。」という表現は本当ですか? 「満足な従業員は生産性も高い」とは、あなたの会社当てはまりますか? 「職務満足と業績の相関」を測ったことがありますか? 職場環境の働きやすさは大切です。働く人個々人の「働く意欲=働きたさ」「働く意味」「働く価値」を社員に問う前に、経営者自身が熱く語れるものを持っていますか?
◇ 平成16年8月19日ミック研究所佐藤茂則先生(埼玉在住)の講演が、苫小牧で行なわれました。JC開発委員会の例会です。JC役員の皆様のご配慮もあり、私も聴講させていただくだけでなく懇親会にまで同席させていただき、ここに感謝申し上げる次第です。佐藤先生と知り合えてもう20年、私の独立の際は随分心の支えとなって下さいました。佐藤先生の専門は組織開発とカウンセリング。今回の講演をお聴きしても、毎回新しい切り口や表現方法を工夫され、ご自分の専門を絶えず追求される姿勢には頭が下がります。今回のテーマは『“今”求められるリーダーシップ』。今の社会はゼロ社会(関わりをあえて持とうしない無関心社会)であるがゆえに、若きJCメンバーに「出てこいリーダー!」と語り掛けました。「時代は変わっても、“人”は最も貴重な資源であり、その資源開発の元に人の心の働きがある。この心の開発が資源開発の要となる。これを開発するリーダーの役割は大きい。」と話しは進んでいきました。各種心理療法の基本的な考え方は『過去と他人は変わらない! 自分の考えと行動は変えられる』と、コミュニケーションの重要性へと説かれていきました。資料も8ページの分量があり、ここで講演の全てをお知らせできませんが、次回は皆様を交えて一緒に学べる場を設けることができるよう努めたいと考えています。
◆人が自分の所属する企業や地域社会に、仕事通じて貢献していくには、独自の知識や技術を生み出していかなくてはならない時代に入ったような気がしています。「共に生き、共に生きがいを感じられる企業(社会)づくり」に整合性を保つことも求められています。その基本は、各人が一生懸命働き、真の関わりを実現し、御互いに支えあうことと思いませんか。私が受けた戦後教育は、教育を知識の量ととらえ、知識の量が広がればあたかも人格が出来上がるかのような錯覚を抱かせたようにも思います。尾形典男前立教大学総長は、「教育の機会均等という旗印に沿って、平均的偏差値人間をつくってきた。皆が同じような顔になり、感動もしない、お互いに無意識無関心でいられる“なぞらえ人間”を生んだ。」とし、「お上や利益のためのみ生きることを潔しとしない、個性ある人間教育が重要。」と述べられ、今の世相を思うにまさに同感という心境です。
貝原益軒「和俗童子訓」より
21歳までに基礎学習得を行い、21歳から耕作、開拓(独学で)していくと、ドンドン学識が豊かになる。 子供は好奇心の強い生き物であるから、自分の周囲の事象を素早く取り入れる。まず親を見習うものであるから、親は社会にあっても、家庭にあっても、その姿勢に神経を使わなくてはいけない。親たるものは、人間関係の上下左右に対して愛情を注ぐだけの余裕を持っていなければ親の資格はない。他人の悪口を言ってはいけない。愚痴を言ってはいけない。感謝と謝罪をはっきり示さなければいけない。 親は、子供に親自身が学び、親自身が真剣に物事に対していく姿勢を示せば、教育の基礎を子供に植え付けることが可能である。
◇中小企業家新聞 北海道版 第169号より
同友会型の人間重視経営は、市場原理型(利益至上主義)の経営と対峙する関係にある。企業の目的は社会貢献(良い仕事をし、人々から支持される事)と考え、社員一人一人が自主性を持ち、能力が大いに発揮され、皆が燃えるように仕事に取組む集団つくりを目指す。
社員が仕事を通じてやりがいを感じるには、@社員一人一人が豊かな目標を持ち、A社内で共感・応答というお互いがあてにし、あてにされる関係ができ、Bお互いが学びあう中で高めあう関係ができていることが必要。
役職ごとに役割があり、会社という組織の中で経営者と従業員は、それぞれの役回りを果たし、支え合うパートナーなのだ。
ワンポイント・・・ベンチマークとは? 『良い所をまねること』
まず他人や他社の良い所に気づきましょう。そしてその良い所をまねます。そして仕事の効率や成果を上げていきましょう。例えば営業の場合、成績の良い営業マンの日々の行動を日報などから分析し、又顧客対応の仕方、業務の進め方、新規顧客の対応の仕方等々を整理しまとめます。これを他の営業マンにも説明し、良いことはまねてもらいます。それぞれにベストなことをお互いに公開し、共有することができるとさらに良い組織となります。新人教育ではベテランのセールスマンとの同行も有効な方法です。私もトヨタの新人セールスマンの頃、先輩との同行訪問で学ぶ所は多々ありました。
★ 王子製紙 鈴木社長 ★
投資の目的はもはや増収ではない。目的は、工場管理の省力化であり、製品の付加価値を高めることへと切り替えた。それにより競争に勝ち抜く。しかし技能伝承の観点から人を増やす。
★神戸製鋼所ラグビー部ゼネラルマネージャー 平尾 誠二氏 ★
大抵は若い人の方が変化に対する躊躇や抵抗感が少ない。組織や社会の中で今後も長く生きていかなければならないからだ。自分よりも年長者を上手に処遇し、彼らの知識や経験を生かす事が若いリーダーに求められる重要な資質となる。年長者の経験は非常に役立つことが多い。体系的に話してもらえれば、貴重な情報源になる。
コミュニケーションの上で根回しが不可欠とは言わないが、小さな気遣いをすることでむしろスピーディに物事が運ぶこともある。「適材適所」という言葉があるが、大事なのは個々の社員に「自分がやりたいこと」「やれること」「やるべきこと」の3つを明確にさせることだ。人間というのは納得した上でないと具体的な行動に移りにくい。
★ ローソン社長 新浪 剛史氏★
成功した経営者に体育会系が多いということは、根性がつくというような単純なことではなく、スポーツなら最終的に勝ち負け、経営なら業績とゴールが非常にハッキリしている。そのゴールのために何をしたらいいのか、そうした(目標と手段を考える)トレーニングを積んでいることは経営に役立つ。そして前向きに考えることを覚える。
★振興財団バイオ研究所所長 村上 和雄氏 ★
好きな仕事をしているときは疲れない。嫌な仕事をしている時はものすごく疲れる。つまり心が体に与える影響は大きい。ポジティブな感情は、いい遺伝子のスイッチをONにして悪い遺伝子のスイッチをOFFにする。逆に悪い感情は、いい遺伝子のスイッチをOFFにして悪い遺伝子のスイッチをONにする。
私は病気になった時に、それは何かのシグナルだと考えるようにしている。自分の命の大切さに気づくチャンスと捉える。本当に病気に打ち勝つには、気に病まない心が大切である。“病”を“気”にするから “病気”になるので、気に病まなかったら病気とは言わない。
企業が存続し競争力をつける「経営者五戒」
1.短期の利益底上げを狙うリストラはしない
2.適正な人員配置を考慮し事業を再構築する・・・適性人員の考え方は人材の偏りを回避する。
3.社員の誇りを尊重し、満足度を高める・・・雇用流動性の高い米国でも、社員の満足度を高めることは重視され、これがなくして顧客満足度の向上はないと考えている。
4.雇用不安という恐怖心を社員から取り除く・・・デミング氏は品質管理の大前提として従業員から雇用不安を取り除き、働く者の会社への満足度を高めることを説いた。
5.流動化する雇用の功罪を再検討する(日経ビジネス 2004.7.19号)
★ 協和発酵会長 平田 正氏 ★
単なるリストラクチュアリング(事業の再構築)で利益を出しても、次の成長の仕掛けを施した改革をしないと選択と集中の後に大きな差がつく。まず大事なのは社員が改革を必要なものと理解して主体的に取組むかどうかである。押し付けられてやるだけでは本物にならない。
企業の合理化は絞るだけでなく、ヒトや技術を含めた保有する資産が機敏に動けるようになるかどうかである。
★ ファーストリテイリング会長兼CEO 柳井 正氏 ★
商売では、全く新しい取り組みはほとんどない。必ず誰かが既にやっている。その情報を知り、ひょっとして自分にも関係あるのではないか、自分もできるのではないか、と考える姿勢が大事だ。
単に努力するだけではそこそこの所までも行けない。目標を決めて、到達する方法を考えるのが経営である。最終目標があって、それを実現するのだという意思がないと、一生かかっても実現はできない。失敗したらその理由を考えて、同じミスを繰り返さないようにして目標に近づくようにする。毎日の経営を通じ、失敗に対する具体的な回答を見出せたか見出せなかったのか、この違いと考えている。問題を一つずつ潰していく。誰もやらなければ自分が飛び込まなくてはならない。ある人に「やれ」と命令し、他の人には「よくやっているね」と褒める・・・。
社員が事業に共鳴して一緒にやろうというのが事業には欠かせない。
★ 早稲田大学教授 寺本 義也氏 ★
生産管理とは、高品質・低コスト・短納期を実現する現場管理手法である。技術経営の基本は、@科学的論理性を重視した分析や判断という理系的思考と、Aそのための前提となる哲学やビジョンといった経営者が持つべき人間性である。
「他人のせいにしない」という基本的な姿勢を確立した強い個人の協働によって、技術的要素と非技術的要素を融合させ、継続的に新たな価値を創造していく。
★ユニデンファウンダー 藤本 秀明氏 ★
義理・人情・浪花節・法令順守・財務経営の透明性・謙虚な気持が大切。生き方そのものが企業文化である。決断を下すまでは緻密に戦略を立て、決断したら大胆に動く。ゆっくりとした変化なんて変化のうちに入らない。
好業績なら思い切った決断をしても従業員の動揺は少ない。各担当者の作業を徹底的に短時間・単純化することで生産性向上と品質維持に努めている。
★ トヨタ自動車社長 張 富士夫氏 ★
人間は誰でも仕事の中に、「やりにくい」「分りにくい」「「危ない」等々の問題意識や不満という部分を持っているものである。心理学的に言えば、これらの不満は“直したい”という欲求に変わり、上手く直したときにはモチベーションが高まる。従って、改善を自ら進めることができる職場をつくることは、働く人々のモラル向上にとって、とても大切なことであり、勿論実作業面でも改善が進めば大きな効果が出て、働く人も企業もその恩恵を受けるのである。
「改善」の目的は、一般的には「より楽に」「より安全に」「より早く」等々と言われており、これらを阻害しているのが、作業の中にあるムダ、ムリ、ムラである。言い換えれば、改善とはこの三つを排除する活動である。
改善活動を皆で協力して進めるには、まず職場のすべてが見て分かるようになっていなければならない。トヨタの現場ではこれを「目で見る管理」として現場のいたるところに導入し、近年では、事務・技術の職場にまでこの考えを広げ、「見える化」と称している。
倉本 聦氏富良野塾塾生数十人に、生活必需品を十ずつ挙げよと問い、出てきた答えを集計して並べた結果である。
1位 水、2位 火、3位 ナイフ、4位 食物、5位 着る物。この話に興味を持ったテレビ局のプロデューサーが都会の若者に同じアンケートを問うてみた結果は、1位 金、2位 ケイタイ、3位 テレビ、4位 車、5位 家。原点に近い暮らしをしていると、自分の暮らしを支えている根源を常に見据えて立つ癖がつく。豊かと言われる都会の暮らしでは、根源が豊かさに埋没し、座標軸自体がゆらいでくる。
【日経ビジネス他の印象記事・言葉】
* 政治における最悪の態度は、決定を行い得ない態度であり、さらに悪いのは相矛盾する決定を行うことである。(ロベルト・シューマン)
* 将来に関する預言者の最善なるものは過去である。(バイロン)
* 在庫は罪庫
* 小事は情を持って処し、大事は意を持って決す。
* 心配はするな、工夫だけせよ。
* 不易流行
* モノが充足した現代社会では、品質や機能だけでは消費者は満足しない。身に付けて楽しいとか、おしゃれといった、より情緒的な満足を求める。