労働者と経営者が一体になっている点です。個人会社は一人の人間が非常に手際良く、上手に会社全体を、システムを把握しています。何事も納得づくで進めます。車や機械を買うにも、人を採用するにも「こう使おう」「こう働いてもらおう」という具体的イメージがあります。又小さい企業は、全般に経営者にゆとりがありません。しかし非常に理想を持っている人はいます。加えて人間味を持っている人もいます。いつも自分自身の企業のやり方を「これで良いか、今のままでよいか、何かいい方法はないか?」と思案しています。こうなると気づきの感度は抜群です。
◆自分がやっている仕事に自信を持ちましょう。そして学び続けましょう。中小企業とはいえ、企業経営に携わるには幅広い経験が求められます。自分で情報収集をしましょう。自分には何が必要か考えましょう。そして勉強しましょう、知識を増やしましょう、トレーニングをしましょう。自ら考え、行動しましょう。その上で仕事に挑むことを習慣化すると、必ず体質化善が成されます。
★ 一橋大学大学院商学研究科長 伊藤 邦雄氏 ★
企業経営には様々な資本が必要である。その代表は有形資産や資金などの事業資本だ。加えて最近では知識資本の活用・蓄積が叫ばれている。ただ知識資本の蓄積は社員一人一人の専門能力を高めることには貢献するものの、社員間の協働やチームワークを高めることには必ずしもつながらない。今日本企業に必要なのは、1990年代に失ってしまった社員の情的資本(エモーショナル・キャピタル)を高める経営である。「社員が沸き立つ組織」を構築していくことが急務である。
戦略と戦術 作家 藤本 義一氏戦略と戦術は違う。戦略を冷静に立てた時は目的に達することができるが、戦術一本で押し切っていこうとすれば敗北することが多い。これは誰にでも、企業体にも当てはまることではないだろうか。いずれの場合もまず戦略を立てることこそ必要である。それがえてして戦略を抜かして戦術から入ってしまうから混乱を生じる。過去の戦争の記録を見ても、戦略を十分に立てた側が勝っているのが分る。戦術一本の側は、内部分裂を起こし、あるいは最後に敗北してしまうことが多い。国語辞典では、「戦略」は「各種の戦術を総合的に運用する方策」とある。どちらから攻めれば有利かを常に計算しているほうが勝つということではないか。「戦術」は「単に戦闘、闘争のやり方、方法」としかない。何の余裕もないということではないか。 ある大企業の社長が「景気のいい時には、常に倒産する場合のことを考えてみる。そして不景気な時には、どのようにして儲かるかをあれこれ考えてみる。」と言ったものだ。つまり、いつも『戦略』を先ず持てということだろう、その後に『戦術』を行使して行けばいいということであろう。が、人間、戦略をともすれば見失ってしまうものである。
★ 国際エコノミスト 長谷川 慶太郎氏 ★
大企業と中小企業の違いは次の点にある。大企業の経営者は、いくらでも代替があるのに対し、中小企業はオーナー経営者が多いため交代要員がないことにある。大企業なら経営戦略の変更に伴い経営者を交代させるだけの人材がいくらでもある。こういう人材の余裕が中小企業にあるだろうか。
経営戦略の変更とは、発想の転換を意味する。それには本来経営者の交代が欠かせないのだが、中小企業にはこういう大企業の取る手段が許されない。それだけ中小企業の経営者は、より厳しい自己改革を求められていると思い知らなければならない。自己改革は決して容易ではない。それは厳しい自己点検を意味するだけではない。新しい情勢の展開、その方向についての正確な判断を立てることは勿論のこと、それが経営戦略にどう影響してくるかについても、明確に見通しを立てて、それにしたがって発想を切り替えていかなければならない。
中小企業の経営者は、身軽さを特徴としている。だが大きい状況の変化に対応できるか、それは単なる身軽さでは解決できるものではないといってよい。今ほど中小企業の経営者に厳しい勉強が求められている時期はない。しかもその勉強には、企業の運命ひいては自分自身の運命がかかっているのである。
CSに派手も地味もないマーケティングでは、お客が発するサインに関心を持ち、その問題に真摯に対応した結果であれば、どんなにありふれた内容であっても顧客満足度(CS)は急上昇するという事実がある。ニーズの細分化が進む近年、ニーズに正対する大切さと難しさを感じる。以前なら、価値のある商品を安く提供していれば、全来店客から支持を得られた。今は違う。若者の一部は価格に対してある意味「鈍感」になり、最重要項目に「店舗空間」を挙げる。しかも「商品力×空間×接客」の合計点で店の評価を行なうとすれば、3要素の係数が同じ消費者でも利用機会により変わる。つまり、店側が立地や客層にピンポイントで正対していないと「いい店」として認めてもらえない。マス市場の焼失する中で人口減少が進み、今後は「ピンポイント市場の集合体」しか存在しなくなるのは自明の理。それなら、当社はトコトン正対して行こうと思う。価格や内装などを細分化し、顧客ニーズを細かく汲み取っていく。これは少しでも早く行動を起こした方が勝ちだと確信している。(ワタミフードサービス社長 渡邉 美樹氏)
★作家 利根川 裕氏 ★
敵は対立者である。が、この対立者があるからこそこちらが生きる、という弁証法の基本には、自分と対立者とが同じ平面、同じ次元にいるという認識がある。だからこの敵は、はじめから許しがたい存在なのではない。対立者を承認し、尊重している。強い敵ほど自分をも生かすことができ、大きな仕事ができる。むしろ大きな仕事を成し遂げるには、強力な敵の存在がぜひとも必要なのである。
御互い元気を出そうではないか。誰にしてもきっとひそかに応援してくれる贔屓はいるし、敵もいるけど味方もいる。そして敵がいるほど張り合いがあるというものだ。自分からダメ人間と思い込んだときが、世間から見限られるときである。
★ テルモ会長件CEO 和地 孝氏 ★
企業風土が悪ければ、どんな施策を打っても刺さらない。「人はコストでなく資産である。」
企業風土改革に奇策はない。その過程では当然、失敗もひずみも出る。それでも一つひとつ乗り越えながら、社員が挑戦し続けられる環境をいかに担保していくか、それがトップの役割と認識している。
★パイオニア会長 松本 冠也氏 ★
経営とは、世の中にとって何か新しい価値を生み出すことであり、管理の目的は現状を維持することです。経営が管理に動きだした時に企業の輝きは急速に色褪せていくのだと思います。
★国立長寿医療センター疫学研究部長 下方 浩史氏 ★
人の心の成長は生涯にわたって続くと言われる。実際、年を取ることで初めて分ってくることも多い。経験を積むことで、人の苦しみ、悲しみ、喜びなど、若いときには決して分らなかったようなことが見えてくる。
人には年齢に応じた美しさや能力が備わっている。人生のステージごとにそれらを十分に発揮することができるかどうかが重要だと思う。
東京スイミングセンター・シニアコーチ 平井 伯昌氏
(北島康介選手を育てた男)
頭脳を鍛えて強くする*問題が起きた時は、すぐに決断することが大事だと思っている。例えば故障したら練習を遅らせる。「これまで投資してきたんだから」と言って続けて泥沼にはまってはいけない。
*目標があって、それを達成する過程がある。過程が思い通りに行かないと、つい目標を下げたくなる。やっぱり目標は変えちゃいけない。過程はいくら変えてもいいけど、目標は下げちゃいけないと思うようになった。問題が起きたら、方法を変えて目標を達成させることを考えるべきである。
*自分が何をしたいのか、なぜ強くなったのかということを意識しないといけない。親やコーチが言ったからというのではなく、自分が将来こうなりたいから、そのために今こういう練習をするんだということを。*選手が小さい頃は「一生懸命頑張りなさい」とか初歩的なことを言いますが、そのうち頑張ることは当たり前になります。そういう「当たり前」のレベルを上げていくことが大事だと思うんです。
*一人だけ突出した選手がいて、周りは全くダメということはあり得ない。集団のレベルを上げていくには、やはり規律が必要なんです。その中からら突出した選手も育つ。一人の選手の才能が本当に突き抜けてしまうと、周りも不満を言わなくなり、全体的にレベルが上るんです。ただひたすら全体のレベルを上げようとすると、みんな横を見ます。でも、一人突き出た人間が出ると、横なんて見ていられなくなる。人を引き摺り下ろして自分が上るというような醜い競争もなくなる。
*いい選手がいると、そこに力が集中してしまって、次の選手発掘を忘れがちですが、それでは強い選手を出し続けられません。
★ 日下 公人氏 ★
世の中には、よく自分の職場、職業とかけ離れた天下国家のことを論ずることが好きな人がいる。日本経済の置かれたマクロな経済状況についてはとうとう弁ずるくせに、現実に自分の日常業務となるとからきしダメというビジネスマンもいる。一流のビジネスマンとしては、確かに目先のことだけでなく、広い視野、長いスパンでの問題のとらえ方が必要である。しかし目先のビジネス、明日の儲けに貢献する情報もたらさないビジネスマンは、もはやビジネスマンではない。企業としては、難しい経済記事を読みこなせる人間よりは、即戦力となる現実的な情報力のある人間を選ぶのは当然である。
★ トヨタ自動車 前社長 張 富士夫氏 ★
企業というものは常に成長し続けることが大事なんだ。成長が止まって毎日同じことを繰り返すようになると、官僚化が進むという怖さがある。常に新しいものに挑戦している時は、あんまりそうならない。心配なのは言っている事とやっている事がどんどん離れてしまう現象が出てきていないかどうか。
権限委譲するためには人材育成が必要になる。・・・その国や地域に貢献できるようにならなくては、決し温かく迎え入れてはくれません。・・・いいクルマを開発するにはお客さんの声をよく聞かなければいけない。
★ シチズン時計相談役 春田 博氏 ★
「失敗してもいいから新しいことに挑戦せよ。結果的に大損を出さなければいい」という奔放さが当社にありました。「景気に大きく左右される事業の経営は難しい。不況になると一気に地獄に落ちる」リストラには経営者が覚悟を決めて徹底的にやらなくてはいけない厳しさがありますが、取るべき選択肢は少ないんです。逆に言えば、好況の時の方が経営判断としては高度なものが要求されると思います。
★ 吉野家ディー・アンド・シー社長 安部 修仁氏 ★
人間は追い込まれると何だってやれるんだと感じた。当社には悪しき状況で頑張れる奴が良い人材であるという「美学」があるし、どんな時でもお客様に喜んでもらうのが真の事業活動であるという哲学が浸透している。人間は利口だから、暇になると余計なことを考える。余計なことは大概ネガティブなことだ。
【日経ビジネス他の印象記事・言葉】
* 工業先進諸国にとっては「明日」と「昨日」だけが機能していて「今」が欠落している。「今」だけを生きる、「永遠」だけを感じる文明だけが、ぼくらを超工業社会から解放してくれるかもしれない。(詩人 田村 隆一氏)
* 今は平和を願う人たちが、誰でも、どこでも、いつでも行動に示すことが大事で、こうした盛り上がりがあればこそ“草の根運動”といえよう。(作家 早乙女 勝元氏)
* 釣は小さいことを大事にしなければならない。小さなことから大きな問題が生ずるものだ。(作家 井伏 鱒二氏)
*若い時分には、人より半時間早く出社し、人より半時間遅く退社せよ。金の使い方に注意し「死に金」を使わず「生き金」を使え。(三井物産 山本 条太郎氏)
*善悪不二。 宇宙も地球も生命体。
*人は自分の持っていないものを何時も欲しがる。持っているものの貴重さはしばしば忘れる。(大庭 みな子氏)