現場で働く者が、他人事ではなく当事者意識を持ち、問題を発見し、自分の頭で考え、相談しつつ決断し、努力を継続する、ということが当たり前になっています。当たり前のことを当たり前にやる組織であって初めて、軌道修正を行いつつP−D−C−Aが遂行されるのではないでしょうか。そのためには、トップの強いリーダーシップ(求心力)と、トップの心が分かる補完者を5人に1人の割合で育成することがポイントとなります。
◇ゴーイングコンサーン、永続する企業創りが求められています。大きな流れは、大量生産型工業社会から個々人の生活文化、多様性のある地域コミュニティの尊重とも言われています。コミュニティの中身の豊かさに、企業としてどのように関われるのか、考える時期かもしれません。その前提として、働く人たちにとって「我社は魅力があるか」が問われます。勤務し続けたくなる企業には、多様な才能をもった人たちが集まり、人のネットワークが創造的なアイデアやシナジー効果を産み、企業としても発展、成長するという循環ができるのではないでしょうか。企業力は組織力、企業風土や企業文化に魅力がないと社員の定着は望めません。
◆ 経営者は社員とよく話し合って下さい、議論して下さい、コミュニケーションを取って下さい。社員が「会社をもっと良くする」という情熱を引き出して下さい。皆で決めた経営計画やルールは、経営者といえども従って下さい。時折ルールを1番守らないのが経営者というケースを見かけます。管理責任者(部課長)の担当部署の、生産と支出を克明に記録させ、計画と照らし修正しながら進めてみると必ず部門採算は良くなります。
ワンポイント・・・コアコンピタンスとは?
『選択と集中』自社の得意な点、強みをよく把握する。強みは技術的なことだけではなく、営業力、信用力、顧客との親密な関係、流通システム、メンテナンスサービスなど多々考えられると思います。それを益々強くするように考え行動することです。どうしても中小企業の資金や人材は有限です。将来を考え重要なポイントに集中的に人や金を投入し、より強くしていくことが結果として会社の力を高めます。苦手な点は、思い切って他の企業に外注(アウトソーシング)することも考えられます。
★日本マクドナルド副会長兼CEO 原田 永幸氏 ★
・ビジネスは軋轢があっても、理想の形に近づけないと収益につながらない。
・弱点の克服は横並び競争にしかならない。強さを発展させるのが重要だ。
・日本人は変化することを一貫性がないと嫌う。しかし自ら変化しないとチャンスを先取りできない。業績なくしてブランドなし。
・20代はがむしゃらにいろいろなことを吸収する。30代で方向性を見つけて、40代で成し遂げる。50代は後継者を作って締めくくる。
★ アイワイバンク銀行社長 安斎 隆氏 ★
問題が起こらないことを前提にシステムを作るのではなく、起こった時に即座に対応できるようにすることが危機管理である。
★TAC社長 斎藤 博明氏 ★
・小さな沼の大きな雑魚になる。いわゆるオンリーワン戦略である。
・自分で問題を立てて、自分の頭で答えを考えて出すことが大事。
・親の言うことを信じてはいけない。人生の大事は自分で決める。人生はリスクがあるから面白い。自分なりに体験を積んで考えて、初めて自分のことが分かる。
・苦しいときも神様に試されていると思っている。人知を超えた何か、神様にいつも見守られているような気がする。すると感謝の気持が自然に出てくる。
★ 江坂 彰氏 ★
・ヘッドワーク、ハートワーク、フットワーク、の3要素をトータルに持つのが優秀な人。
・商品ニーズには、実質的価値、感覚的価値、意味的価値がある。
・工業化社会からソフト化社会になると生産と消費は融合化する。人々が欲しがるものは「遊び」となる。尚高いポテンシャル(潜在力、可能性)を持つのは、日本の風流。成熟した社会で産業の付加価値を左右するのは文化の力なる。
★ ザ・ビジョン(ケン・グランチャード、ジェシー・ストーニー) ★
ビジョンを生み出すためには、@有意義な目的、A明確な価値観、B未来のイメージという3つの要素が必要。ビジョンを現実に移し替えるには、@ビジョンを創造するプロセス、Aビジョンを伝えるプロセス、Bビジョンを実践するプロセスが重要なポイントなる。
★ 経営者の劣化 ★
企業が活力を失い、業積低迷に陥る原因は、突き詰めると経営者の劣化にある。経営者として市場価値が高いのは、@本質的問題を捉える論理的思考、A異質な企業文化を超えて発揮できる実力、B実務に精通した専門能力、の保持者である。
★ 野中ともよ氏と日本ユニシス椛纒\取締役島田精一氏のトークセッションからの11の示唆〜「勝ち組」から「価値組」へ
@ 創造した価値が地球規模で瞬時に伝達されることを前提とした経営が不可欠。
A ニーズからウォンツを創出するためには、テクノロジーで実現して顧客に見せることが重要。
B 価値創造には「知恵」と「魂」が鍵であり、企業が成功するためには「魂」、即ち「生命の目盛り」に基づいた価値提供が重要。
C 価値尺度としての「お金」のパワーは限界に達し、根源的な人の価値観である「生命」に立ち戻ることが重要。
D 顧客は企業が提供した商品やサービスのプラットフォーム上で、意図せぬ新たな価値の連鎖を創出する。
E 顧客の求めるものを捉えるためには、対象顧客のインサイダー(内部の人、消息通)としての目線や感性で価値の変化を思考することが重要。
F ゆでガエル状態では人は変わらない。会社経営の危機を社員一人ひとりのバランスシートに反映して見せることで、危機感を醸成するのも有効。
G 優秀な社員を「高給」で集めるのではなく、自社での価値創造を意気に感じて集まる人材で構成することが企業の長期的成功の鍵である。
H トレーサビリティも企業利益優先の場合には消費者はネガティブ(否定、拒否)だが、「生命の目盛り」に関わる相互利益のある状態で、さらにOFFの主導権を顧客に持たせれば受容される。
I 人材登用は常にグローバルな視野(宇宙〜地球〜国〜都市〜村)を持って考え、個々のケースに対しベストなリソース(供給源)で対応する以外に無い。
J女性の要職登用は当然であり、人口の半分の「心」や「お財布」を捉えるためにも企業の成功にとっては不可欠である。
★ 新卒就職特集に見る各社の人事担当者が求める人材 ★
・JTB・・・急速に変化する時代にあり、相手の立場に立ち、柔軟に自ら考え、スピーディーな行動が取れる創造型の人材を求める。
・サントリー・・・既成概念や前例にとらわれることなく、常に新しいステージを切り開こうとするチャレンジ精神と行動力を持った人。
・ダイワボウ情報システム・・・「何が出来るか」「やるべきことを実現するにはどうするか」を考え行動することが大切。「対人折衝能力」があり、「説得力」「上昇志向」「決断力」のある人。
・アビームコンサルティング・・・荒波を乗り切る意欲のある人。
・サニックス・・・礼儀正しさ、さわやかさ、誠意さでお客様の心を開いていく人、そんな人を「人財」であると考える。
・小森コーポーレーション・・・違いを見つけ、違いを作り出し、良いものを追及したい人。
・沖電気工業・・・自分のやりたいことが明確な方。
・荻島商事・・・当社は少数精鋭で高付加価値を追求するビジネス。多少粗削りでも早いうちから戦力になるバイタリティーある学生。
・アクセンチュア・・・新しいことを自発的に吸収していく意志とスピード感。
・三菱商事プラスチック・・・既に個を確立している人材、又は将来的に個を確立できる資質を持った人材。
・ステップ・・・ヤンチャにノビノビ生きてきた人、サービス精神旺盛な人、勉強が大好きな人、自分でどんどん仕切りたい人、とにかく活躍したい人。
【大学生のためのビジネスカレッジより】
・与えられた仕事をこなすのは当然。自ら考え、問題を発見し、解決していく能力(解決策を考え、組織の中で実践していく)が必要。・リーダーシップは、周囲によい影響を与え、一つの方向に向かわせていく力であり、マネジメント能力である。・現在スペシャリストであることは前提に過ぎず、加えてリーダーとしてのマネジメント能力が不可欠となった。・「他人に無い強さを持つ」「ひたむきさがある」「最後までやりぬく」・これまでは「言われたことをしっかり実行する」「コツコツ取組む」「正確にこなす」ことを重視した。今は「健全な欲求不満を持つ」「現状に満足せず、能動的に動いて打破していく人材」即ち「自ら仕事を創造し、自ら実行する人材」を求めている。
◇ サロー教授 ◇
@ やるべき事が分かっているなら実行せよ。分かっていることをしなければ停滞する。苦しくても実行せよ。
A 収支を均衡させよ。
B 知識ベース経済で、知的資源を買うのか、売るのか、創造するのかの戦略が求められている。
【日経ビジネス他の印象記事・言葉】
* ひとつひとつの積み重ね 一日一日の積み重ね 一人一人の笑顔が集まって ふふふ
* 生命は遺伝子のコピー。
* 「かけた情けを忘れるが本当の情け」恩は忘れず・・・
* 一番大切なのは人のために汗をかいているかどうか・・・
* 同業者、消費者を尊敬し、頭を下げて学ぶ。
* シーズ(種まき)がニーズ(必要)を産み、ニーズがシーズ(種子)を作り出すようにする。
* 右手に「ロマン」、左手に「ソロバン」、心に「ジョーダン」を・・・(くらた まなぶ氏)
* 君が笑えばみんなが笑う。君が泣けば君一人で泣くのだ。(ヴァージニア・ウルフ氏)
* 人間として最後まで生きる。「救われる」ということは、自分の人生に納得し、充実感を持つこと。(永 忠順氏)
*「無理をしない」「静かに生きる」「借りたら返す」
生きているということは 誰かに借りを作ること生きてゆくということは その借りを返してゆくこと誰かに借りたら 誰かに返そう誰かにそうしてもらったように 誰かにそうしてあげよう(永 六輔氏)
山本七平著 「常識」の非常識から
あなたは、『何を権威としてそれに従い、それに従って現実の生活を律して』いるか?
『かつて日本では、年号(元号)を変えるとき、変えることによって人身一新を図りよき時代とすることを願った』と言う。あなたは、何を変え、そのことにより何を一新し、良き企業となるよう、何を願ったか?
『過去の惰性に基づく積弊を一つ一つ順次排除し、より合理的な制度を立てる』と言う、しんどい作業をしているか?
『固定観念や希望的観測がどれだけ危険か』分かっているか?・・・情報が自分の予想する方向と違うほうを指し示している時、人間は往々にして自分の好む方に情報を取捨したりあるいは判断したりする。
『人間に最も強く教えるものは「経験」である。誤りを犯しつつそれによって「知恵」を獲得していく。』あなたは社員に「経験」を積ませ、その経験を「知恵」に転化させる機会を与えているか?
『役割分担が明確でないと責任の所在も不明確となる。』あなたの企業では、社員個々人の役割(権限)と結果責任は明確にしているか?
『社会の変化は専門家の意識の転換より早い。この変化は、専門家ではない第三者の常識人の方が早く察知する。』あなたの企業の現場での気づきの感度、現場での変化対応力は今のままで問題はないか?
『本当の自己脱皮は余程の覚悟を決めないと出来ない。』あなたは、企業の改善を本気で行う覚悟が出来ているのか?
『忍耐の基本は自己抑制である。「恐れ」即ち「恐怖」が知識の始まりである。』あなたの感情制御力、自律力は及第点か? 社員に「恐怖」(危険)事項を知らせ、それを回避する手法を教育しているか?・
『量の変化が問題の質を変える。』あなたは、従業員の数の変化により、発生する問題も、対処する管理法(マネジメント)も異なることを理解しているか?
『かつての父親は、「生活者としての信念」、それによって自らが生きていけるだけに誠に断固たるものを有していた。』あなたは、そのような「信念」を持っているか?
『反抗するよりもグレるというのは弱者の抵抗である。』あなたは、反抗する社員やグレる社員に対し逃避せずに対抗しているか?
『「何を学ぶか」でなく、「学ぶとはどのようにすることなのか」を徹底的に叩き込んでいる。』
あなたの企業では、「学ぶこと」を徹底的に叩き込んでいるか?
『「指導者」とは、欧米では目標を示し、その目標に到達できる方法論を明示し、その方法論に適合するよう組織を立て直し、これを実行に移せる人。』あなたは、欧米型の指導者に当てはまるか?『欧米の指導者に求められるのは「能力」であり、日本は「徳」である。』
『レジャー本位、家族本位、働くことはカネのための生き方をさらに進めれば、日本はアメリカよりはるかに不健全な社会となる。』あなたは、バブル後の、今の日本の『人』の様相をどう見ているか?
『かつて日本の保守党は、現実に即して、イデオロギー抜きで効率的に政策を実施した。』経営も、理論よりも効果的な環境対応力が求められるが、あなたはどうか?
『「時代の要請」に正しく対応しないものは、その人間の「主観的な善意」など無視して、社会は遠慮なく忘れて置き去りにしてしまう。この経験されてきた歴史の事実を忘れてはいけない。』顧客満足(CS)や、顧客ニーズ・ウォンツ対応もこの教えの一つの表現ではないか?
経営戦略があるならその重要性と、経営方針・施策に基づく各部署の役割を、経営者は明確に従業員に伝える努力が要請されている。
『問題が二者択一のように見えてきたら、そのいずれでもない第三の道があるのではないか、と、もう一度探索してみる必要がある。』
『民主主義とは国会の議決によって法と制度を変え得るという体制である。進歩が早く、変化の激しい現代の社会には当然に要請される制度である。』企業においては、幹部会議で、戦略・戦術・施策・方針等の整合性をとりながら変更していくことではないだろうか。
『問題は能力ではなく、むしろ意志である。』
『衰退産業はいずれの時代にも存在する。生き残って発展するか、衰退するかは、一にその経営者の識見と能力による。』『消費の絶対量が頭打ちで増加しない場合、その中の1社が合理化と新技術の導入で大量生産を始めると、これを行わなかった伝統的小規模零細業者は太刀打ちできずに、倒産・廃業へと追い込まれる。』もやし製造業の業界が、今まさにこの様そうにある。
『残ったものは、近代技術の採用で合理的製造、合理的販売、あらゆる方法で新規需要の開拓を行ったものだけになる。』
『「宿命論」を無視したように延々と続いている企業の特徴の一つに、実によく行き届いた「家法」があった。』二代目が経験知・暗黙知を顕在化・明文化させて、後継者自ら「家法」に従い、能力主義の抜擢を行い、全体のモラールを高め、改訂には使用人代表を加えた。
(昭和61年日本経済新聞社より発行されたものを引用)