私たちの日々の仕事は、タイムラグがあっても中長期的に業績の向上に結び付くようにならないと企業は維持継続できない。今の働き方が妥当かどうか各社の基準で定期的にチェックされているはずだ。
予算統制を行うとは、目標を立て、立てた目標の達成度を定量的に測定する指標(業績管理指標)を設定し、戦略実行の進捗度を検証することだ。業績の向上に結び付いているとか、結び付いていないというだけではなく、なぜそのような業績になったのかという事実を明らかにしてこそ本物だ。
中小企業は絞り込み、重点化するしかないのだから、今やっていることが業績にマイナスに働くということは、現在のやり方が今の環境にマッチしていないのだから、取引先に深く関わって今後の環境変化をしっかり見極めて、方針を修正すべきだ。私の契約先ではないが、相談に来られて赤字の止まらない企業では、取引先に出向かないし、取引先の意見に心を込めて耳を傾けないし、定期的な見直しがされないし、赤字に対する反省がない。私は、「赤字に陥った原因を冷静に、客観的に分析して、赤字から抜け出す上で何をどのように変えていくと良いのか、一緒に考えましょう。」と提案するが、「いまの話だけで導いて欲しい」「感覚的でいいから教えて欲しい」という人までいる。「現場や事実が分からないと具体策が考えられないから、その調査のための日にちを決めましょう。」と申し出るが、「後で連絡をします。」と言われてそのような人から連絡が来ることはない。そして「せっかく相談に行ったのに、何も教えてもらえなかった。」と言っている。
意思疎通の基本は相手の話を聞くことであり、それは自分が相手を受け止め、受け容れることだ。自分は分かっている、他人の話を聞くまでもない、部下が上司の話を聞かない、上司も部下の話に聞く耳を持たない組織風土では、お客様や株主、金融機関などの利害関係人の言うことも耳を貸さないだろう。それでは業績が下がるのは当然の結果だ。
また、業績は悪くないし、他人の言うことを拒絶しているわけではないのだが、お客様の会議の場で「そんなことは吉見に言われなくとも分かっている。」という反応をされることがある。有能な人材に恵まれる技術系、理系の企業に多い反応だ。何か意見を言うと、「吉見さんが分かっていないだけで、私達はとうの前からそんなことは思っているし、やってもいますよ。ただうまくいかないことが今月に限って目立つだけですよ。」と返ってくる。お客様や社会の変化が大きい今、このような姿勢の会社が競合他社に先駆けて、新たなニーズに対応した製品・技術・サービスの開発ができるのか気になっている。厳しい経営環境だからこそ、原理原則、定石をもとに経営管理を行いたい。
[ 更新:2009-07-01 11:32:38 ]