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経営コンサルタント吉見からのお知らせ

吉見事務所通信2008年8月号(57号)より

【趣味:音楽】【原点:創業者】【トップの仕事】【組織:管理者】【原油200ドル時代?】【自己改善】

*ご注意:文中の企業事例は、社名のないものは事実に創作を加えてのご紹介です。守秘義務の関係で100%事実ではありませんことを踏まえてお読みください。なお、経営相談は無料でお受けしています。

【趣味:音楽】
 ここしばらく音楽に関する表現は控えておりました。本当に人の受け取り方は実に様々です。
生きていくには働かなくてはなりません。働く場は人と人の関わりの中にあります。人によるでしょうが、楽しいこともありますが、思うに任せぬことの方が多いものです。その中で、折り合いを見つけながら、お互いが納得をし、成果を生み出していかねばなりません。一方趣味はおもむきであり、個人の好みです。仕事の緊張感から自分を解き放し、明日からの仕事への充電です。ですからレクリエーションも大事です。私はアウトドア派ではないし、ゴルフもやらないし、接待飲食もごく稀です。普段は仕事中心のタイプですから、定期的に夫婦で音楽を楽しみます。皆様も多分自分らしい趣味で、気分転換をなさり、その上で良い仕事をなさっていると思います。
私は普段クラシックとジャズを聴くことが多いのですが、今年に入り日本のポップス系の実力派歌手(私がそう思うだけかもしれません…)のコンサートに出かけました。本当に久しぶりでした。3月にアルベルト・城間(この日はパパイヤ鈴木と一緒、沖縄のラテンバンドのヴォーカリスト)、6月に大橋純子(夕張出身、この日は松崎しげると一緒)、7月に布施明でした。コンサートの内容には今回触れませんが、コンサートはショーとして演出がなされ、特に舞台照明の繊細さと華やかさには、成長と進化を感じました。最近はステージの上だけでなく客席も照明の対象にしているのですね。非日常の世界、幻想的でもあり、フアンにはたまらないですね。照らしかたで、しんみりも、ノリノリにもさせてくれます。照明の世界も日々進化していることを実感致しました。
もう一つ、バックバンドの演奏スキルの高さです。ピアノないしシンセサイザー担当のバンドマスターを中心に7~8人編成ですが、どのグループもいい音を出していました。若い頃聴きに行くと、バックバンドの演奏スキルは結構差があったものですが、今回は「みんなさすがにプロ!」と感心しました。
翻って、私たちの仕事はどうでしょう。お得意先が毎回満足して下さっているでしょうか、久し振りの取引の方が感激して下さる商製品やサービスを、プロとして提供し続けているでしょうか。ライブでは、その時間の楽しさはとても大きいのですが、自分はもっといい仕事に挑戦し、どんどん満足いただけるものを提供していかなくてはという気づきも与えてくれます。自戒も含め私にはプラスが多いのです。

【原点:創業者】
 創業者は大きなエネルギーを持っています。私が新入社員で入社した車のディーラーは故岩澤靖氏の創業でした。四国から札幌へ来られ、次々と事業を創業し、株の仕手戦が原因かどうかわ分かりませんが、私の入社4年目で会社更生法の申請となりました。その後転職した税理士事務所ではT所長先生に指導を受け、私は多くの学ぶ場を与えられ、T市で一番の規模の税理士事務所となって行きました。各々に創業の精神を持たれ、それを育んで行かれましたが、片やトヨタ自動車の完全子会社に、片や御長男が継承という歩みです。
振り返ると、創業者は、創業当時の社会環境の中にあっては、かなり進歩的であり、かつ柔軟だったのではないでしょうか。ソニーの創業者である盛田・井深両氏も、次のことを言い続けていたそうです。①利益の出ない事業は処分すべき、②生き残るために戦う、会社の存続のために戦い続ける、③何事も当たり前と思ってはならない、というものです。今の経営環境にもぴったり当てはまる言葉ではないでしょうか。
 自分の足元、原点は両親、祖父母であるように、働く会社の足元、原点は創業の精神です。定期的に振り返り、確認し、その心を感じ、大切にしていきましょう。

【トップの仕事】
 私の関与先の最近の決算は、一部の企業を除き黒字で終えています。トップはじめ、社員の方々の創意工夫・努力の積み重ねの結果ですから頭が下がります。新年度に入り、石油関連品目の持続的価格上昇、仕入原材料のアップ、取引先の購買意欲の減退、消費の緊縮と、昨年以上の厳しさとなっています。前期は黒字でも、今期は赤字転落で、どう挽回するか知恵を絞り、いろいろ試す企業もあれば、減益ながら確実に黒字基調の企業もあります。同じ地域で同じ環境にあっても差が出ています。
 私が感じている違いの原因は次の3つです。①この厳しい環境にあっても絶対黒字にするという信念の有無、②今の環境に合う販売政策を打ち出し、意志を持って攻めるのか(あくまでも身の丈に応じて、無理はしていない)、受け身であきらめムードか、③新商品、製品企画をこれまでトップ主導で継続しておりその芽が出て伸びているのか、受注・下請け体質で企画提案力が不足している。外部取引先に向かっての行動には、このような違いがあります。
 一方社内に向いては、過去の延長で利益が生まれないのですから、会社全体をトップの意図した方向へリードしなければなりません。(ただトップに意図がなければ困ったものですが…)黒字を維持しているトップの手法は、①ワンマン型のトップダウンに徹する、あるいは②自分の意図を理解して行動してもらうために、あの手この手、いろいろな場で管理者と一般社員を上手に説得し納得させる、関係する部署の根回しにトップが骨身を惜しまない(正直、実に根気強いとは思いますが…)という特徴があります。難しいこと、面倒なことにトップがきっちり向き合っているから黒字基調なのです。

【組織:管理者】
 あなたの部下は今何人ですか。自信を持って統制できるのは何人ですか。私の経験から、まず5人の部下としっかり向き合いましょう。①まず5人それぞれの人柄や性格を理解します。②次に仕事ぶりを観察し、個別面談も行い、個々の能力を理解しましょう。③その上で、半年後、1年後の部下の仕事の目標を明らかにします。④部下が仕事をこなせない時には、自分が代わってやるのです。このように腹をくくって、正面から部下と向き合えば、多くは(部下全員ではありませんでしたが…)年々成長し、成果も出ます。
 ある関与先では、トップは社員時代からこのような仕事をなさり、結果として社長に昇進されました。現在管理者に自分の歩みと同じことを求めるのですが、トップの指示を無視して自分の世界で働く管理者がいます。そのトップは苦しんでいます。悩んでいます。何とかこの管理者をもっと伸ばしたいからです。
 しかし、この管理者のもとで働く職歴の短い若い部下社員は、自分を理解してもらえず、成長目標も示されず、場当たり的な指示の毎日なのです。管理者の仕事のカバーは道具としてさせられるのですが、自分の仕事のカバーはしてもらえないとなると、彼らはどうなっていくでしょう。数年後、さらにその先の組織力の低下を想像すると恐ろしいものがあります。
 管理者の仕事は、受注(売上達成)責任、利益責任、部下育成責任の3つです。これらを果たして本物の管理者です。トップの願いを無視し、裏切るあなたの将来は? 厳しく言うなら、5人の部下の統率ができない人は、それ以上の組織管理はまったく期待できません。

【原油200ドル時代?】
 数年前に関わった企業では、その当時法律の改正や業界規制強化の流れがマスコミで取り上げられていました。責任感いっぱいで、危機意識を持った中堅管理者数人が、経営者に対し「万が一の時の対策をシミュレーションすべきでは? 自分達に対策を考えさせて欲しい、そうでなければ経営者の具体的な考えを聞かせて欲しい。」と具申しました。勇気ある行動で立派です。この時の経営者の回答は、「まだ決まったわけではない。お前たちは言われたことに専念していろ!経営判断は俺の仕事だ。」というものでした。その後この会社は万事後手、後手の対応となり、現在中堅管理者達が必死の思いで努力されていると聞いています。彼らの気持ちを考えると、私の心も痛みます。
原油200ドル時代が来るのか、それが続くのかどうかは分かりません。いろいろな予測や評論は巷にもあふれています。実務の中にいる私たちは、起きてからジタバタしても始まりません。「まさかこうなるとは思わなかった。」と言ったところで事態が好転するわけもありません。
 製造業であるなら、上がった原材料費と運送費を前に、「どのような機能と品質の製品ならこの価額に耐えられるのか? いくらなら消費者は受け入れてくれるのか? 何を製品開発すべきか? 目標を具体的にして、優先順位をつけて、実直に取組むしかないのです。
会計のスキルが弱いと不採算事業や製品が個別に分かりません。帳簿をつける経理力ではなく、経営会計の力をつけ、どうやっても採算に合わないものは止めましょう。注意点は、撤退して生産量が減れば、工場の稼働率は下がります。工場の製造固定費が他の製品グループの利益で吸収できなければ、全体の収益は悪化します。
▼対応策の事例
(1)生産(製造)・物流(輸送)・販売(営業)などすべてゼロ・ベース(既存の枠組みにとらわれず、目的に対して白紙の段階から考えようとする考え方)で見直す。
(2)例えば「1部品1円コストダウン(低減)、1部品1グラム軽減」活動を行う。
(3)物流では、製品貨物の容積の減量、積載率の向上、簡易包装への変更、相積みの促進など、現状分析から改善目標数値を具体的に設定して、現場改善をする。
(4)燃料費・動力費の節約とその実績の見える管理(単価と使用数量の推移と費用合計が見える)。
(5)製品ポートフォリオ(PPMマネジメント)の考え方を自社製品に当てはめてみる。
(6)部品点数の削減運動、集中購買体制は効果が出ているか。
(7)館内照明を白熱球から蛍光灯へ、室内空気対流機(エコシルフィ)などの検討等々。

【自己改善】
 「自己改善」と言っても人が変わることは難しいことです。時間がかかり、簡単ではないけれど、人は変わらなければならない時があるから、昔の人はいろいろな儀礼を作り、それらを受け継いできました。儀礼をきっかけに変わろうとしたのです。何かきっかけがあると、背中を押してもらえると、人は変わり易いということでしょう。小さなものとして服装や髪形の外観の変化(イメージチェンジ)、そして転居、転職なども変わるきっかけとなります。
 私達は変わるきっかけの場や仕組みを定期的に自分からしかけ、年齢相応の生き方・働き方をしましょう。自分が担う階層に応じて、環境変化に対応できるようにしましょう。そのような変わるきっかけとなる「儀礼」が、自分の周りにどれだけあるのかチェックしてみましょう。

[ 更新:2008-08-01 12:34:35 ]

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