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経営コンサルタント吉見からのお知らせ

吉見事務所通信2008年7月号(56号)より

【開業8年のご挨拶】 【時代:少子高齢化】 【組織:人】 【歪んだ組織に居ると・・・】 【企業の継続・持続】

【ご挨拶】
お陰さまでサラリーマンを卒業して満8年が経過した。サラリーマン時代、独立・創業など考えておらず、その分試行錯誤の連続で浮き沈みを繰り返してきたが、最近やっと方向性が定まってきた。多くの方々のご支援のお陰と、心からお礼を申し上げたい。自力ではなく、人によって生かされていることを本当に教えられた8年間である。この体験から、これから独立・開業をされる方には、計画をしっかり立て、成長のイメージをビジュアルに抱いて進まれることを強くお勧めする。
6月は創造経営本部の総会とMSC-NET(コンサルタント部会夏期研修と一部合同)参加のため二度上京した。総会で磯部代表は、「これまで日本は安い資源に高い技術力を加えて、良質な製品を造ることで成長してきた。今後は資源高が続くだけに、ぎりぎりまで知恵を絞り、付加価値を高める努力が実を結ばなければ、中小企業は生き残ることが難しい時代になっている。」加えて、「後継問題もあり、これは10年のスパンで親(社長)がしっかり取り組む必要がある。」と言われた。肝に命じたい。
「創造経営協会のグループ企業の厳しい取り組み姿勢を参考にして、皆も切磋琢磨していこう」とのお話だったが、参加される企業経営者は皆明るく元気。決して楽ではない経営環境なのだが、「自分たちは必ず乗り越えることができる」という確信を持っていることがすごい。その方たちに多くのエネルギーをいただいてきた。そのエッセンスを少しでもお伝えする場として、今年の4月から少人数の学びの月例会が始まっている。札幌では創造経営協会北海道支部の活動として、創造経営ガイドを実務的に活用する学びの場があり、私も事務局として支援している。最近は「予算実績検討会議の質を上げること」をテーマに取組んでいる。かたや苫小牧では、「創造経営吉見ゼミ」と称して私が1時間ほどこれまで実体験した経営管理手法を説明し、その後参加者の意見交換が行われる。毎月貴重な体験や意見が飛び交う。普段は聞くことのできない厳しい環境の苦労話なのだが、さわやかに、クールに語られる姿に、我々もさらに頑張ろうという刺激をいただいている。どちらも1回千円の会費、自由意思でご参加いただいている。無理なお誘いは一切しない。自分がその気にならなければ、いくら学んだ所で実行されることは少ないからだ。興味のある方は是非足を運んでいただき、共に成長していただきたい(お問い合わせは吉見事務所まで)。

【時代:少子高齢化】
 経営コンサルタントとして初めて関わる企業に情報収集に行き、社員の平均年齢と勤続年数を尋ねてすぐ答えが返ってくることは半分以下。退職者数は答えられても、離職率は?となると一瞬沈黙となることが多い。私のお客様を見ても「平均的中小企業」などなく、高齢化企業と比較的若い企業に見事に二分される。社会の高齢化の流れはもう避けられないから、社員の年齢が高齢化する中で企業の活力(バイタリティ)を維持する方法を見出し、企業の中に注ぎ入れ続けることが必要となった。中高年でもしっかり働き続けるという意思を持ち、少なくとも自分の仕事の能力を、今の時代の顧客ニーズと使う技術・スキルに合わせて保持しなければふるい落とされる厳しい流れがある。本音を言えば、中高年でも仕事力はアップして欲しいのだが、残念ながら皆それが出来るとは限らない。過去の人となった中高年がいるとしても、簡単に切り捨てるわけにもいかない現実がある。日々成長の社風、組織風土の有無が大きな組織力の差となって現れている。

【組織:人】
 人の個性は様々だ。強く自己主張する性格の人もいるが、自己主張をしない人・出来ない人もいる。回りについていく人もいるし、その方が楽かもしれない。学生時代はそれで良いだろう。人が成長し、卒業し、就職し、社会人となり、経済社会の一員として生きていく段階では、自分の意思で選択(チョイス)しなければいけないことは増えていく。
 自分の生い立ちや経験から振り返ると、自分に自信が持てないと、どうやら自主的な、積極的な選択が出来ないようだ。その様子を周りの人(友人・知人・職場仲間)にとがめられ、あるいはからかわれると、言われた本人はプライドが傷つく。傷ついたから、痛みがあるからそう言う人とは一緒に居たくない、あるいは居られない。それが引きこもりとなるのかは、私には分からない。
 私の子供時代は、父は仕事中心、子育ては(子供心には)母に任せきりに見えた。父親が子供と遊んでくれない、子供と一緒に出かけることがない、口を開くとお説教や訓戒ばかりとなると、子供は父親が疎ましい、そばに居たくない、距離を置くから親子の会話がなくなる(なお、私の父はここまで強烈ではなかった)。父との交流に欠け、加えて母親が子供に対し、将来大人になり、自立していくものとして躾、育てていかなければどうなるだろう。自分の子供時代と、自分の子育てを振り返ってみよう。どういう過去の姿が浮かぶだろうか。
 心理学の専門家は、「思春期の子供は、今まで教えられてきた親の価値観や生き方を、子どもなりに再検討して、これからの人生に立ち向かう勇気や希望、責任を身につける」という。新入社員を迎えるたびに、まるで若者たたきのように①規範意識が低い、②コミュニケーションスキルが低い、③勤労意欲が低いと言われることに接するが、その若者の親の世代の私達大人が、個々の家庭で、職場で、どういう生活と立ち居振る舞いをしていたのか、胸に手を当てて考えてみる必要はないだろうか。

【歪んだ組織に居ると・・・】
 家庭・学校・地域社会・職場と、人はそれぞれの年齢で何らかの組織に帰属している。毎日その組織に出入りするわけだから、年齢に関係なく強く影響を受ける。歪んだ組織が内内の小さな集まり程度であれば、その歪みの事実や害は隠されることが多いだろう。小さな集まりであるがゆえに、歪みの被害者は傷つけられたとしても無視され放置される。たまたま正義感の強い人が出てきて、その組織の現状に疑問や反論を投げかけるが、多くは「わが組織の常識」の名の下に、正義感の強いその人は、わが組織にとって「非常識な変わり者」と組織メンバーよりレッテルを貼られ、時としては悪者としても扱われる。個人がいくらがんばったところで、組織の多数のメンバーから無神経に乱暴に扱われ、無視され、それが延々と続くとするなら、私なら自分に自信がなくなり、自分のプライドもズタズタになってしまうだろう。今となれば私の若さ、未熟さだったと振り返られるが、実際これに近い職場経験もあった。
 今、このような経験をしている人がいるなら、外部の信頼できる誰かに相談しよう。この組織に自分が残り続ける価値があるのか、辛抱と我慢に値する場であるのか冷静に考えて欲しい。自分の心に反し、組織にいつも気を使い、出る杭とならぬように仮面をつけて現状維持の姿勢を無理に続けると、疲労は蓄積し、心も蝕まれていく。病気にもなる。自分にわがままや、甘えがないとするなら、自分で自分を守り、自分の意志を貫く「勇気ある撤退」も長い人生にはあっていい。努力と無理は違う。頑張り過ぎがいつもいいわけでもないだろう。人生は誰にも一度しかない。

【企業の継続・持続】
 4月の日本経済新聞に載っていたが、日本にある創業200年以上の企業は3113社という。ドイツの1500社超、フランスの300社超と比べてとても多いと感じて記事を読みメモを取った。同新聞では「200年企業~成長と持続の条件」と題して毎週水曜日あたりに特集記事が連載されている。そこでは、「長寿企業の歩みは壊して創る歴史であり、環境変化やリスクに挑む非連続の革新がなければ時代の波を乗り越えられない。祖業で生きる伝統業種でも、販売や組織にイノベーションがあって生き永らえる。人事も実力本位。創業家には特有の力がある。伝統を革新のバネとする。」という内容が書かれていた。
 現在大手製造業で生き残る企業は、①技術と設備が良好で、労働生産性が高い、②将来性のある成長分野を伸ばしているという。中小企業であっても業界の競合他社と比較し、わが社の技術水準と設備の状態の順位を把握し、稼働率や生産性の位置を客観的に計数評価し、その上で何時までに、どのレベルに、何のために、どのように持っていくのか目標設定をし、実現できるように行動することが必要だ。そのベースが有って、右肩上がり(成長)ができる得意先、商品・製品を絞り込んでいく。そうして共に伸ばしていく人材に恵まれて、持続的に結果が生まれる。
 ビジネスモデルを見出すのも人、製品のデザインやブランドを創るのも人、市場情報を収集し、管理し今後どうするか意思決定していくのも人の知恵と力による。運もツキもあるだろうが、それも生かす人があって初めて生きる。共に働く仲間、関わる人を成長させよう。まず自己成長に淡々と取り組もう。創造経営教室はそのために活用して欲しい。

[ 更新:2008-07-01 16:32:58 ]

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