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経営コンサルタント吉見からのお知らせ

吉見事務所通信 2007年6月号より(第43号)

事務所通信以外でも書き込みで情報発信したいのですが、5月まで追われてしまいました。6月は段落の月となりそうな予感もありますので、中旬くらいに発信させていただきます。
【人を活かし、人が育つ経営】【家としての企業】【快眠】【TDKの事例から】【同志社大学教授 太田 肇氏】

*注意:文中の企業事例は、社名のないものは事実に創作を加えてのご紹介です。私には守秘義務がありますので100%事実ではありませんことを踏まえてお読みください。
【6月:水無月】
 6月に入りました。早いもので今年の折り返しの月です。前にある小学校では運動会が行われています。一ヶ月前から、毎日練習に励んでいました。親子3代で関わる運動会、教職員の方の運営努力は仕事とはいえ大変ですね。
 先日久しぶりにコンサートに出かけました、ヴァイオリンの川畠成道さんです。実に心温まる音色で、眠いわけではないのに、ついうとうとしてしまう心地よさでした。聴いていて初めての経験です。川畠さんは8歳のときにアメリカでアクシデントにより視覚障害を負い、10歳でヴァイオリンを始めたそうです。パンフレットの記事から、川畠さんの言葉をご紹介します。自分の人生をしっかり受け止め、感謝をし、使命感を持って生きる姿を学びたいものです。
 「異国の地で受けた暖かい看護を一瞬たりとも忘れたことはありません。あのアクシデントがなかったら、ぼくはヴァイオリニストになっていなかった。今ではこれは神が自分に与えた運命だと思うようになりました。」「ぼくの目指しているのは美しい音。人の心に響く美しい音を出したいんです。そしてその音を聴いてくださる方と対話したい。夢は1小節弾いたら、ぼくの音だと分かる音を出すヴァイオリニストになること。そんな個性的な音が出せる音楽家になれたらいいですね。その夢のために毎日練習しているのです。」

【人を活かし、人が育つ経営】
 私が加入している中小企業家同友会(苫小牧支部)でも「人を活かし、人が育つ経営」をキーワードにしています。我社にあう、経営者にあった社員の参加意欲を引き出す方法、やる気を引き出す方法を見つけるのは根気のいることです。経営者と社員との距離を近づける方法として、経営者がある程度オープンに情報を発信する、経営者と社員とのグループ懇談会を定期的に行う、経営者と社員との個人面談では「自分が何のために努力しているか」を理解させることなどを愚直に継続することです。その目的は、社員一人ひとりがモチベーションを高め、それぞれが1件でも注文を多く取ることの積み重ねで全社の売上が伸びる事を実感してもらうことです。社員が満足し、その勢いでお客様の満足度が上がる手法を一緒に探していきましょう。

【家としての企業】
 コミュニケーション能力が求められています。人は一人では生きていけません。職場でも家庭でも、安定した生活を営む上でコミュニケーション能力は必要です。職場や家庭という場を共有するには、ほど良い関わりを創り出す能力が要ります。一方的に与えられるものはないでしょう。これまでの経験では、人は皆その人なりの苦労をなさっています。何の苦労もしていない経営者もいません。
仕事で関わる経営者を見て感ずることは、経営という現実の中で目指す結果を生み出すには「勝ちたい、結果を生み出したい」という強い意欲、エネルギーを持ち続ける人が強いということです。このパワーは私に不足していますので、毎月このパワーを維持している経営者にお会いすると素直に敬服します。「勝ちたい、結果を生み出したい」と言っても必ず相手がありますから、「負けることもある、結果が出ない時もある」こともよくご存知です。負けや結果の出ないときを経験しつつ、取引相手や社員たちを、自分が勝ちたい方向、生み出したい結果に向かうよう訴え続ける姿勢には感服します。ベースにあるのは、企業は社会的な組織であり集合体であるのだけれど、「一つの家」のようにとらえています。取引先も一つの家と考えると、家と家のお付き合いをスムーズに進めるには、相手を理解し尊敬するという姿勢が貫かれています。お取引いただく相手先企業の経営者だけでなく、その従業員も信頼し、彼らの立場を尊重する気配りがありますから、お伺いする私にも同様の気配りをなさって下さいます。ご自分の会社では「従業員の暮らしを守る」ことを重要としていますから、そのためには「利益を上げる」という位置づけです。利益を上げることが目標ではなく、「従業員の暮らしを守る」には利益は絶対必要とうスタンスです。家という企業を築いていくには、従業員を理解し信頼し連帯感を高める「自分流」をお持ちです。時には離職者が出ることも恐れません。その一方で、業界の推移を見通す努力も欠かしていません。海外の動向と国内動向にアンテナを張っています。

【快眠(日本経済新聞2004年12月18日)】
 前の手帳に次のようなメモが出てきました。南オーストラリア大学の調査によると、15時間眠らずにいる人の意識レベルは日本でいう酒気帯び運転と同等であったというのです。起き続ける時間が18時間では、酒酔い運転並になるというから驚きです。適度な睡眠をとらないと仕事の能率は落ちるばかりで「残業で徹夜」は逆効果、徹夜でますます元気、一気呵成と言うのは本人の錯覚のようです。
 人間の体内時計は1日を25時間でとらえており、漫然と過ごせばリズムは毎日1時間ずつずれるので、そのずれを調整するのが「朝の光」「朝食」「朝、昼、夜の区別」「運動」「人との接触」の5条件。この5条件をビジネス生活に適応させる工夫が快眠の鍵となります。早起きと太陽に感謝が重要なことが分かります。
 また、昼寝は午後の眠気を除き、仕事のミスを避ける対策になるそうです。椅子に座り目をつぶるだけで良いといいます。コツは最大15分で午後3時までに起きること。私のお客様でも、この昼寝を欠かさない方もおられます。自分に合う、時間の活かし方を見出し、実行していきたいですね。

【TDKの事例から(2005.1.24.日経ビジネスより)】
社長が自らの甘い経営判断を悔い、改革を断行し社風を変えることにより、企業は再生したという記事がありました。普遍性のあると思うものをお知らせします。
格言:レベルの低い新参者から取引を切られるのは当たり前。
自らの強みは何か、そして投資収益性は本当に高いのか、この重要な2点の見極めをしっかり行うこと。ある製品を見る際、黒字か赤字かという今の損益だけ見るのではなく、将来どれくらいの利益を生むかを予測し、これまでの累積投資をちゃんと回収できるか、事前に計算するもの。そして、正しい投資判断をするには、製品ごとの細かな収益管理が不可欠。その上で、向こう3年以内で黒字化できない製品からは、原則撤退する。
製品開発では、設計、開発、製造、営業などが共同で取り組む。こうすることにより、顧客ニーズを常に反映させながら、生産効率の高い製品を設計、開発できる。製品ライフサイクルが短く、競争が激しく、現状維持では単価が下がる一方の製品は、それを食い止めるべく開発スピードを上げることと新製品比率を高めることしかない。当然、生産工程も見直し、生産能力もアップさせる。投資回収の意識を徹底したことにより、知恵を出し以前出来なかったことができるようになった。今では、担当分野で持つ設備の簿価などを頭に入れ、常に回収を意識するようになった。加えていざという時の設備を他の生産に転用できるか、設備の汎用性も常に考えるようになった。
格言:社員一人一人が自分の価値を高め、自己成長力を強化して欲しい。それが会社全体の成長の源泉だ。
コンサルタントとして私が経験することは、いつ潰れてもおかしくない企業ほど、経営者や社員にとって楽になる方、穏便な方を選択しようとすることです。ですから業績はますます悪化していきます。中小企業はまず「経営者も社員も、給料分はみっちり働く」ことが当たり前のことです。この「給料分はみっちり働く」ことが実行されないのが、慢性的赤字企業です。一部の人が疲労こんぱいで努力するも、過半数は驚くほど働いていません。時間も短く密度も薄いのです。それを指摘すると、「こんなに頑張っているのに・・・」「労働強化だ・・・」とブーイングです。日本的な「和」を保つということは、時間がかかるものですが、その時間とはコストそのものです。赤字企業にそんな余裕はないのです。ですから、この会社を絶対良くしてやろうという情熱と執念と持続力を持った経営者が必要となります。企業が弱いから、経営者が弱いから皆が不幸になっているのです。強くなるためには、辛いことも我慢しなければいけないでしょう。赤字を出し続けている企業は、潰すか身売りすべきかどちらかの決断を早くするべきです。経営者から社員まで、一つ間違ったら潰れるぞという危機感が大きな違いを生むのです。企業経営は競争であり、戦いですから、中小企業の戦の鉄則はエネルギーを一点に集中することであり、一番ダメなやり方が兵力の逐次投入です。「もうこれでよい」と安心したら終わりです。明日はもっとうまくやろう、何故ならここがまだダメだから、と常に考えましょう。常に不安感を持つのも、正しい現状認識をするためです。
新聞や業界紙を丹念に読み、関わりの中で常に情報収集をし、自分に考える時間さえあれば、誰でも先は読めるようになります。実際多くの人が予測しています。自分の予測を信じ、実行できるかどうかが大きな分かれ目になるのです。

【同志社大学教授 太田 肇氏(2005.2.11.日経新聞より)】
 欧米の伝統的大企業にほぼ共通するシステムの特徴は、少品種大量生産の時代に構築された官僚制組織と科学的管理法の考え方を受け継いでいることです。個人の職務が厳格に定義される職務主義の他、全社目標が事業部→部→課→個人へとブレイクダウンして割り当てられる目標管理、高い業績を上げている社員の行動特性を抽出し評価や訓練の基準(ベンチマーク)として用いるコンピテンシーなどがそうです。要するに、欧米型システムの原型は、組織内部での最適化を追求する工業社会の産物であり、それをマイナーチェンジしながら今日に至っているのです。
 ハードよりもソフトが価値の源泉になり情報技術がビジネスや仕事を大きく変えるこれからのポスト工業化社会では、ネットワークで緩やかに結びついている個人個人が、市場・顧客や社会の要求に柔軟に適応し、その適応の度合いによって有形無形の報酬を得るようなシステムが必要になるでしょう。こうしたシステム、並びにそれを追求する考え方を「適応主義」と呼びます。
 優れた経営者は優れた人材を発掘し登用しなければいけないし、又、会社があらかじめ人を選別するのではなく、実際に仕事をさせて見て、高い業績をあげた者に正しく報いる必要もあります。

[ 更新:2007-06-03 16:59:41 ]

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