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経営コンサルタント吉見からのお知らせ

吉見事務所通信 12月号から

【斎藤茂太氏の言う「理想の上司4原則」】【経営計画】【実行力と成果】【実行力と成果】【営業マン】【リーダーシップ】

【斎藤茂太氏の言う「理想の上司4原則」】
斎藤茂太氏がお亡くなりになられました。ご冥福をお祈りいたします。前にも紹介しましたが、心理学者の立場からの「理想の上司4原則」をここに改めてお知らせします。
①部下に対して偏愛がないこと。
人の好き嫌いはあって当たり前だが、その感情を抑制できる理性は必要。えこひいきはしてはいけないということ。
②仕事を全部自分で片づけようとせず、ある程度まで部下に任せられること。
上に立つ人ほど、部下に仕事を任せられる度量を持たねばならない。よく仕事を一人で抱え込む管理者がいるが、これでは本人もきついし下の人間も育たない。上司は部下を信用するというところを見せよ。
③感情に左右されないこと。
すぐ感情的になる人は上司として失格。
④自分の非を認めることができ、それを素直に謝ることができること。

自分が平社員のときは、上司の悪い面はよく見えるものであるが、いざ自分が人の上に立つ立場になると、結局自分の欠点が出てしまっていることに気づかないことがよくある。
親近感が大事といっても、いつもスキだらけでは部下から馬鹿にされてしまう。

【経営計画】
 私が毎月訪問する企業では、必ず予算実績検討会議が行なわれています。時々、「自分の頭の中にあるから、経営計画や予算は要らないよ。」という方や「作ったところで、どうせ作ったようになんていかないんだから、作るだけ無駄さ。」という方もいます。確かに経営計画や予算を、文書や数値の羅列として「作ることが目標」となっては、実効性は薄くなってしまいます。でも、せっかく事業活動を行い、毎年決算を迎えるわけですから、スタートとゴールはハッキリした方がいいと思いませんか。旅行に例えるなら目的地を明確にすることです。旅行の楽しいイメージを思い浮かべながら、幹事役、移動の交通手段、旅行の目的や時期、参加人数、宿泊地、部屋割り、観光地、宴会、お土産、リスクの回避(悪天候や事故)の保険等々を決めていきませんと、楽しい旅行は実現しませんね。企業経営も同じではないですか。1年後の到達する経営目標を掲げ、その理由を説明し、計数で表現し(予想損益・予想貸借・予想資金繰り計算書)、全社及び各部署の方針を決め、実現のための施策(具体策)を考え、社員個人別に目標や課題を設定し、成果配分を約束し、新年度をスタートしましょう。
 確かに現在は経営環境の変化が激しく、当初の予想通りには行かないことが普通にあります。そのときに、どれだけギャップが出ているのか早くつかみ、早く対策を打たなければ、ますます深みにはまります。ギャップが出ることは病気の予兆ですから、放置して本当に病気になり、それが重病になり、手術が必要になっては当の本人も周囲も大変な負担です。そうならないために、軌道修正をできるだけ早く行なう必要があります。ですから必ず年計画・予算を立案し、毎月遅くとも中旬までに予算実績検討会議を行なっています。当然、月次決算は、早いところは翌月5日くらいに、私の関わる企業の多くは翌月10日くらいに出来上がっています。トップが本当にこの日程で月次決算をやろうと思うと、確実にこの日程でできるようになります。
 これを5年後、10年後の伸ばしていくと、中期や長期の経営計画となります。これを、働く社員個々人の5年後、10年後の成長計画と絡めて組織力や職務能力の開発計画として組上げると、意欲ある社員達は、自分は5年後や10年後にこうなりたいし、なることを期待されているんだから、今年はこれをするんだ!しなくちゃいけないんだ!という動機付けになっていきます。夢を与えることになっていきます。私は19年勤務した税理士事務所のT所長先生に、30歳前後そのように環境整備していただき、学び努力してきました。今と比較すると若い時分ですから、体力的にも無理は結構できましたから、今振り返ってもいい経験でした。皆様も是非そのような夢や希望を社員に与えていただきたいものです。

【実行力と成果】
 「知っていること」と「できること」は必ずしも一致するわけではありません。働く場において「やりたいこと」と「やって欲しいこと」も、時として不一致のときが出てきます。以前は一致していて、今も同じことをしているはずでも、お客様(市場)のニーズが変化すると、これらを変化させていかなくてはいけません。そうすると、今までと違ったことをやるための、知識やスキルを身につけなくてはいけません。20年前に特殊(?)能力であった、ワープロ・エクセル・電子メールは、今や普通に保有しなければいけないスキルになっています。40歳以上の社員を見て下さい。役職(肩書き)があっても、新しい知識やスキルを身につくまでやり遂げる力、やりきる力の有る人と無い人の格差がジワジワと広がっていませんか。部下の上司を見る目はどうでしょう。
 大学受験も制度上の問題はあるでしょうが、私自身は高校受験や大学受験の経験は良かったと思います。記憶力の一番豊かなときに、ここまで学ぶとこのように記憶ができる、分からなかったことが分かるようになる、人以上に努力するということは、このようなことなんだ、ということの実体験でした。とは言っても大学も第一希望には失敗し、その後、公務員試験も司法試験も税理士試験も中小企業診断士試験も、私は失敗の連続でした。しかし、失敗しても努力を続けたことで「学ぶ」という実行力は鍛え続けられたと思います。企業にあっては、この鍛えられた「実行力」のある社員が多数いる企業が、企業価値(競争力)を高めていっていると思いませんか。

【実行力と成果】
 経営目標や計画が実行されない理由を考えてみると、次のような体験があります。
①トップが決めたからといって、社員は必ず実行するわけではない。(トップはどうせ言うだけで、トップがやらないものを、部下の自分達がやる必要はない。いつものように、そのうちトップは計画を忘れる、と思われている。)
②社員が計画立案に参加せず、自分の目標に対し真剣に考え抜かない目標は、他人事になっているから、覚えないし、指示されてもすぐ忘れられる。
③目標の表現が横文字、カタカナ言葉、抽象表現、専門語で、難しく理解できずにいる。(この点は、私が提案書を書く場合の注意点でもあります)
④実行と成果にタイムラグがある、即効性が無い、努力が報われない、要領のいい奴が評価されると社員が思っている。(努力が正当に評価されないと感じている職場の改善は難しいものがあります。コンサルタントも不信の対象とされる経験が、何度もあります。)
⑤計画を作ることにエネルギーを使いすぎ、計画書の完成ですべて終わったような錯覚を抱く。(実行計画が十分吟味されて、具体的に明示されていない場合、このようになりやすいものです。)
⑥進捗管理、フォローアップが形式的に過ぎ、成果を生むようにするにはどうするかが欠落した単なる報告会の会議運営となる。(結果無責任の管理者が多いとこうなりやすく、コンサルタントの指導が悪いと糾弾されます。事業年度終了3ヶ月前くらいで、自部門の目標未達が確定しそうなところで責任転嫁されるケースが時々あります。もっと現場に入るべきだったと、自分自身のやってきたことに虚しさを感じるときです。)
⑦トップが、実行して失敗した人を責めて、何もやらず失敗もしない人を不問にする。特に「前向きの失敗は許される。」と言っておきながら、「この赤字の責任は誰が取るんだ!」と感情を爆発させると、人はますます実行しなくなります。

【営業マン】
営業担当は自動販売機ではありませんから、お客様の数だけ売り方があると思いたいですね。それが営業マンのノウハウの蓄積です。私自身、経営コンサルタントとしてお客様を訪問し、同じケースは一つもありません。類似性はあるものの、実務で深く入ると改善への持って行き方は、人の数だけ違いがあります。ですから営業マンは、相手を訪問する都度違う話題や情報を持っていくという心構えは必要です。常識としてのセールスマナー、自分の商品に自信を持った明るい声、お客様の話は腰を折らずにしっかり聞き、納得いただけるまできちんと説明するというベースは、新人時代に教育を済ませましょう。自分の癖がつく入社3年以上経過してから教育をしなおすのは、実に大変です。私の経験上、30年前であってもトヨタの新人セールスマン教育は、この点実にしっかりしていました。そのベースの上に、「心の声を聞き」相手の悩みや希望を自分も共有すると、固定フアンの多い営業マンとなっていくはずです。
それから大切なのは言うまでもなく「商品知識」です。商品により必要な商品知識は違うと思いますが、訪問先で性能の比較、機能性、注意点、楽しみ方等々最低限これがなくては訪問先で十分なコミュニケーションは取れないでしょう。十分なコミュニケーションが取れないということは、客単価は上がっていかないと思いませんか。ここの注意点としては、営業マンの個人任せにせず、営業活動での成功体験や失敗体験を話し合う「場」(名前は「情報交換会」でも「セールスミーティング」でも良いでしょう)をつくり、運用していくことです。経験の共有化は、コミュニケーション活動の重要な要素です。誰が売るかによって売れ行きは違うのが現実です。この違い、差異を、良い意味で伸ばせる人は伸ばし、縮められる人は縮められるようにコントロールするのがマーケティングマネージャー(営業管理職)の仕事です。「売れた」ではなく「売る」ための明確な意思を持って、売れる可能性を膨らませていっていただきたいものです。

【リーダーシップ】
 時々この通信の中で取り上げているのですが、過去3年の診断企業に共通するのが「実力のある中間管理者不在」です。リーダーシップを取れる人材の不足です。時には部下の信頼に値しない人が、部課長のポストにつき、長期化し、部下の意欲を年々失わせている会社もありました。その場合、その上司の管理部署の収益性や生産性とKDテスト結果なども元に、必ず適正人事評価と適材適所を提案します。しかし、そのような企業は「以後提案書を十分検討させていただき、善処いたします。」といわれて業務終了です。私の力不足ですが、何かの折その企業の中堅社員と偶然すれ違うとき、「その後の変化は?」と尋ねますと、皆さん同じ返事です。「全然何にも変わっていません。期待した分、落胆がいっそう大きくなりました・・・」関わらない方が良かったのかなと反省するときです。
 肩書きをいただいた方は、偉いから肩書きがついたのではく、発揮する能力を期待されて肩書きが与えられているのですから、誠実に、部下に対し良い影響力を与えていただきたいものです。

[ 更新:2006-12-02 16:06:10 ]

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