人の遺伝子は99.9%同じ遺伝情報を持っていますが、大半は眠ったままで使われていません。オフになっています。オンにする方法がわかれば、「親の遺伝だから」という受身ではなく、積極的に人生を切り開いていくことができます。
世の中には不思議なことがあります。無意識の力、偶然の一致など、日本の心が見直される時代になるでしょう。「おかげさま」、何のお陰か問わずに感謝する日本人固有の心の働きです。
創造経営では、家系調査と分析をしっかり行ない、自分の生きることの意味、働くことの意味を見つめなおし、使命感を持って色々な場で貢献していくことを勧めています。
【技術の継承(バトンタッチ)】
野球評論家の豊田泰光氏が、「良い監督より、良いコーチのほうが世の中に少ない」とコラムに書かれていました。「良い経営者と良い管理者(幹部)」に置き換えても通用しそうですね。人に教え育てる部下育成は管理者の大事な業務の一つですが、自分だけうまくても育成は務まりません。仕事においても多種多様な技(匠)が存在します。それらが蓄積、伝承されていますか。担当者が辞めるとぶつ切り状態になることはありませんか。技術の受け渡しは人をつなぐこと、継承が自然な社風を作りたいですね。
【部下への信頼】
あなたには信じて頼りにできる部下は何人いるでしょうか。「信頼」、わずか二文字ですが、重い内容です。創造経営では「問題は下から、責任は上に」という表現があります。上司の役目は部下の失敗の責任をとることですが、この機能をしっかり果たす上司に恵まれているでしょうか。「権限を委譲したのだから、責任も一緒にとるのが理屈だ。」という意見も聞きます。確かに分業、分権という組織運営では権限に責任は伴うものと経営の教科書には書かれています。視点を「権限を委譲した責任」というように変えてみると同じ答えになるでしょか。部下のモチベーションを考えるとどうでしょう。
役職と仕事振りのミスマッチ問題をお客様の企業でよく見かけるのですが、経営する上での人事権の行使の責任を強く自覚して、事業が発展するような人事システムの運営がない場合、部下は上司を信頼しないものと思います。
【老害?】
かつて伊庭貞剛氏は、雑誌「実業の日本」に「事業の進歩発達に最も害をなすものは、青年の過失ではなくて老人のばっこ跋扈(思うままに振舞うこと)」と書かれたそうですが、今でも通用しますね。経験豊かな人生の先輩達は、経験がある代わりに保守的で安全策をとりがちです。仕事上、50歳以上の経営者には、そのような発言をされる方が増える傾向を感じます。
一方若者、青年の良さは、何事も積極的、失敗を恐れずに挑戦する点と言われていますが、無理をしたくない人、自分のやりたいことしか興味を示さない人が最近増えていることも気にかかります。
どっちもどっちと切り捨てるわけに参りませんが、部下が40歳以上になっても、「まだまだ・・・」と言う役員や部長さんが現在の地位や職務を担当された年代をうかがうと、多くが30歳くらいです。自分は能力と努力があったが、部下にはそれがないというのでしょうか。任せず、機会を与えず、指導せずに業務を自分で囲って、「辞めるに辞められない」はないでしょうという企業が時々あります。
★仕事のやる気を高める★
やる気が起こらない原因は様々です。ただ、仕事をこなすのに十分知識や技術(スキル)がなければ、やる気は持続しないでしょう。理系や技術系の企業が文系の人材を採用し、不適合となるケースも時々見かけます。採用時点での保有能力と発揮能力の見極めの甘さと、育成の不備が数年後表面化します。また、社内の人間関係の要因も、やる気には強い影響があるでしょう。タイミングの良いアドバイスがある職場と妥当な評価が得られなければ、ドンドン自己中心となっていきます。
以下経済新聞 BUSINESS BASICS やる気を阻害する10の要因とその対策(図解ビジネス心理学モチベーション:総合法例からの抜粋)から
①知識・技術:仕事をこなせる能力が欠けている・・・自分への投資を惜しまず、新しい知識や技術を身につける。
②人間関係:周囲とのコミュニケーションが希薄・・・声や表情を意識し、周囲に良い印象を与える。
③評価・承認:周囲が自分の存在や価値を認めない・・・小さな仕事も大切にし、任せてくれた人に結果報告をする。
④コントロール:仕事の進め方など他者が主導している・・・かつての仕事の成功体験をリストアップする。
⑤自己表現:個性を発揮できない・・・どんな小さな事でも良いから他者に負けない専門分野を持つ。
⑥価値:何のための仕事か、その価値を見出せない・・・自分の仕事が人や社会にどう役立っているか思い起こす。⑦適職:今の仕事が好きではない・・・周りの人が喜んでくれる仕事をする。
⑧他者期待:幸福感を共有できる人がいない・・・家族や友人に仕事のことを話してみる。
⑨情動:仕事に対する刺激が感じられない・・・リスクのある仕事に挑戦する。
⑩成長:成長している実感が持てない・・・少しレベルが上の目標を立てる。
【今の時代に生きる】
私の子供の頃を思い出すと、当時の両親や大人たちは自分達が我慢をして、私たちという次の世代が良くなるように願って努力していました。そのような価値観が薄れてきているのでしょうか、まず自分たちの利益や儲けが優先する風潮が強くなっています。確かに一人では何もできないかもしれませんが、一人ひとりが動かなければ何事も変わっていかないことも事実です。自分のやりたいことを見つけ、夢を持って、仕事を通して自己実現して行きましょう。
私達は、謙虚さを持ち、自分の得意技・得意分野には絶対の自信を持って、それをメッセージとしてドンドン発信していきましょう。
成功する人事評価*不満を生まない5つのコツ*(米ビジネスウィーク誌から日経ビジネス2006.1.23.p131)
①面談は頻繁に・・・経済情勢はめまぐるしく変わる。期中に目標が変わることも普通にあるから、有能なトップや管理職は、途中経過の確認を含めて、年3~4回は面接を行なっている。
②リスクをとる余地を設ける・・・イノベーション(技術革新)は効率に勝る。人事考課に一定のクッションを設ける。
③評価だけでなく目標も調整する・・・管理職の評価のバラツキをなくすための調整と、目標の合目的性も調整する。
④言葉を賢く選ぶ・・・言葉は言霊、相手の立場を考えて話す。
⑤信頼を築く・・・人は機械ではない。「対話」と評価の本人の納得が信頼につながる。
【雑感・・・】
l会社に対する責任感・使命感、会社を仕事に置き換えてもいいのだけれど、希薄になっているというか、自己中心になっている気がします。確かに私も若い頃はお世辞にも十分とはいえませんでした。辞書では、「責任とは引き受けてなすべき任務を果たすこと」とありますが、果たさないのか果たせないのか社員の結果無責任の後始末に追われる経営者を見ると胸が痛みます。経営者の心を分かろうとする社員が一人でも増えて欲しいものです。
l情熱を持って経営に挑む経営者がいる一方、自分の地位と報酬のために役員に居続ける経営者もいます。経営者が社員の言葉に耳を貸さない、社員はあきらめ気分でほどほどの仕事しかしないという会社に、お客様は魅力をもって取引を続けるのでしょうか。社内の雰囲気は外部に伝わるものではないでしょうか。隠し事を持ちながら、長期に元気に仕事はできないと思います。
l社員を認めること、具体的にどのようにしているでしょう。会議で個々人に発言さていますか、その意見を最後まで聞いていますか、稚拙でもアイデアを吸い上げて活かそうとしていますか、気にかけていますか、すべてが教育の場としていますか。
l「会社を変えるには、経営者がまず変わらなければいけない。」と言います。交替するもよし、考え方を変え、心を入れ替えるのも良いでしょう。でもポーズだけ、人の言葉の受け売り、本音はマイナス思考、自分の言葉で社員に思いを伝えない、経営の方向性が見えない経営者に率いられる社員はつくづくお気の毒と思います。経営者自身が私欲を離れ、本気で取組み、根気強く継続し、決してあきらめなければ、社員は協力してくれるものです。
l循環型社会、循環型企業、ネットワークが最近のキーワードです。その前提は、当たり前のことを当たり前にできる人づくりと最近つくづく思います。家族のコミュニケーション、助け合い、連携、健康管理、家の維持と発展のベース(土台)がないところに、会社内でのコミュニケーション、補完、協力、業務管理、企業の維持と成長はありえないことを、創造経営コンサルタント部会のMSC-NETで再度学ばせていただきました。家族との一体感、地域の一員としての生活、会社のメンバーとしての当事者感覚はとても大切な心ではないでしょうか。自分を含め、関わるそれぞれが幸福になるように気づきを働かせ、自分への期待を素直に受けとめ、真摯に行動するなら、必ず良いことが起きるように思います。
l言われなくてもやる人、言われたらできる人、言われてもできない人がいます。社員を見るとき、そのような評価とともに、その原因を追求し、変えていく仕組がつくれなければ同じことを繰り返します。説得ではなく納得、合意、同調が大事なのですが、時折社長や幹部から「これは業務命令だ!」と一括され、場がしらけた経験はないでしょうか。なぜそのようになるか、しっかり掘り下げなければ、また同じ場面が・・・
[ 更新:2006-06-15 10:04:58 ]