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経営コンサルタント吉見からのお知らせ

【組織 人材育成は採用から!】

 コンサルタント業務をしていて思う事、「本当に困らないと改善ができない、本気にならないと改善はできない」ということです。債務超過になろうと、赤字が続こうと、経営者が本気で「本当にこれは大変な事態だ!何とかしなくては!」という気持ちにならないと変わらないということです。幹部社員が、一般社員がいくら言ってもそう簡単に変わらないし、例え変わってもすぐ元に戻ります。

 最近の中小企業の7割が赤字といわれますが、「我々経営者は目の前の売上を上げる事で精一杯で、先のことを考える余裕なんてない!」とも言われます。過去―現在―未来と連続しており、現在の延長線が未来であるなら、今の目先しか見えなければ、目的地が定まらなければ実に危険な航海です。
 最近関わる企業では、せっかく採用した人材が数年で辞めてしまうケースがあります。「人は財産」といいながら、古参の年齢50歳前後の社員の中には、現在求められる業務能力(保有し発揮することが期待される職務能力)と、実際に保有し発揮している職務能力とのミスマッチ社員が目立つケースも多々あります。時には、変わりたくない中高年ばかりの集団という会社もあります。「自分は十分努力をし、もう精一杯だから、若手が頑張ればいいだろう!」と古株社員に言われた場合、その会社に若い社員が残って頑張るでしょうか。なぜ自分がそんな役割を担うのか理不尽に思うはずです。将来の夢や希望が無ければ退職はある意味当然ではないでしょうか。
 若手社員は将来会社の中核を担う存在です。ですから採用・入社段階からトップが我社のビジョン、考え方、夢を語り、それに共鳴して入ってくれないといけないと考えます。「お互いを理解し合おう」という人たちの集団が必要です。自分は自分、相手は相手という関係ではなく、相互補完の関係を作る必要があります。それには、関わる人の作る努力と意思が必要です。なんとなく、ではあいまいにしかなりません。それにはまず、素直な人を採用しましょう。
 採用後は、育てること育つことが重要です。育てる土壌のある会社とその土壌の無い会社の差はとても大きいものです。特に40歳以上の社員レベルには、専門能力と管理能力に段違いの差があります。自己啓発は勿論重要ですが、育てる仕組、研修の仕組を長期的に大きく育てようという観点で構築して欲しいのです。その前提に、前段階に、「喜んで入ってもらえる会社つくり」「恥ずかしくない体制、仕組の会社」「ビジョンと理念と夢のある会社」にしていく必要があります。まず先に、今いる社員の満足度を高めましょう。会社の環境を整え、そのうえで教育体制を整えていきましょう。そうすると既存社員のモチベーションも上がりますし、社内の雰囲気も明るく変わります。このプロセスを経ることにより、採用力が高まります。人を見る目ができると、変な人、うわべだけの人を採用しなくなります。
 人財とは「数」ではなく「質」です。質により人の働きは、成果は2倍どころか数倍にも十倍にもなります。

【組織 社員教育の効果】
 社員は教育により必然的に育つものでしょうか。ここでは逆説的な視点を入れて書きます。サラリーマン時代の私は、人の能力に差はないはずだから、適切な教育機会があり、良き指導者がいれば、人は必ず成長して企業の戦力となりうる、と信じて部下と仕事をしておりました。そして必ずしもそのようにならぬ部下の育成を担当するとき、理想と現実のギャップの大きさ、気持ちの伝わらぬ現実にイライラしてもいました。それを定期的に繰り返してもおりました。
 独立して5年が経ち、専業コンサルタントとして企業の組織つくり、社員育成・幹部育成に関わり、人は良い資質(素材)に良い教育が組み合わされることにより期待以上の結果が得られるものと、改めて思います。極論するなら、「良い人材が悪くなることはあっても、悪い人材が良くなることはない」ということでしょうか。料理に例えるなら、優れた腕を持つシェフであっても、腐った食材で美味しい料理はできないということです。私のように、料理の腕がなくとも食材が新鮮で良質であれば、手を加えなくとも素材の質で美味しく食べることができるということになりましょう。ですからいい食材を見極める目を持ちましょう。企業では良い資質を持った人を見る目を養いましょう、ということになります。
 社内にできる人、有能な人が多いかどうかは、ある意味社長ご自身の経営観、従業員観、人生観によって決まるようにも見えます。仕事で訪問する企業での社長の嘆きは、「同じ事を何度も言わせるな!」「ダラダラするな! やる気を見せろ!」「お客様の気持ちになって考えろ!」というものがあります。それだけ、社長の目からは、指示・命令・説明を聞いていると思えない社員、働く意欲の見えない社員、自分本位の社員の言動が目に付いて仕方がないということでしょう。社員に面接をしますと、違った意見が出てくることが多いものですが、それだけトップ層―管理者層-一般社員層の意識差が大きいということでもありますし、簡単に埋まらないものでもあります。かといって、放置しておいていいわけはありません。
 ここから組織において大事なことは、「価値観の共有」であり「コミュニケーション能力」であるといえます。企業性格テストの得点が伸びない企業のリーダークラスの社員面接を行うと、一部の社員からやる気の起きない理由をとうとうと説明されることがあります。その時私の方から、「あなたがやる気が起きないといわれた原因の改善、例えば給料が上がる、賞与査定が高くなる、嫌な上司が交代する・・・ということが現実に行われたら、あなたは今の何倍頑張り、具体的にどんな成果を出し、それはいつまで続くのか?」と質問します(ただし面接者全員ではありません)。そうしますと大半は無回答です。黙ってしまいます。
 このような経験の繰り返しからから、やる気や意欲というのは働く環境(条件)により単純に増幅するものではなさそうだ、という思いを抱きました。しかし、やる気や意欲は、働く環境(条件)により下げることは簡単にできるというのは事実であり、私の経験でもあります。働く人の意欲の高さは、人個々人の持つ価値観(労働観・人生観・自己実現への思い等々)により、かなり決定されているように感じます。ですから、採用する企業側、トップと採用される社員側の価値観、方向性、イメージ、存在価値等々を共有すること(「創造経営では双方の共通目的の共有」と表現していますが)、これが個人と組織の達成意欲や成長意欲の持続力の源であり、経営成果を産み出すものではないでしょうか。

【組織 即戦力について】
 ワイキューブの村上隆行北海道支社長のお話を聞く機会がありました。その時の内容をご紹介します。経営者は即戦力を欲しがるのだけれど、現実にはほとんど採用できないとして、次の3つの理由をあげました。①できる人材は少ない(確かにそう思います、何をもってできる人材とするかという定義も大事です:吉見所感、以下同じ)、②できる人材は会社を辞めない(できる人材も辞めることはあります、企業側には大変もったいないことですね)、③できる人材は、退職時点には転職先が既に決まっていることが多く、中途採用市場には現れない(若い年齢はそうでしょうが、中高年は労働仲介市場で拒否されている印象も受けます)。
 能力とキャリアの相関分類では、次のように例示説明され、中小企業の採用時のチェックポイントに使えると思います。①能力が高くキャリアも高い人は使える経験者であり、即戦力といえる人、②能力が低くキャリアだけが高い人は「即害力」となり採用してはいけない人、③能力が高いけれどもキャリアの乏しい人は使える未経験者=戦力、④能力もキャリアも低い人は使いない未経験者、戦力外と判断しよう。
 中小企業で当てはまるか疑問ですが、ワイキューブの経験では、新卒者は企業に就職した後どんなキャリアを身につけられるのか、誰と(どんな人と)働けるのか気にしているというのです。彼らなりに自分に合う社風を見る術として、会社説明会などでパンフレットを渡されるときの、その渡す社員のかもし出すもの(雰囲気)から、自分が入社していい企業か否か見極めようとしているとのことでした。
 創造経営本部でも訴えていることなのですが、「いい人を採用しようと思うのなら、いい人(できる人)が集まる会社にすること!そのためには、既に働いている社員に投資をする=大事にする。そのことで既存社員の満足度が高まる。それを見て入社希望者が増える。良い人材を選んで採用できる。」という善循環が生じます。この善循環に乗ると業績はアップし、再び投資ができるという次の善循環につながっていきます。「満足した社員は、満足した顧客を生み、ひいては会社の成長を生む」という考えです。
 人を信ずる経営をしましょう、相互信頼ができる経営組織を作っていきませんか。

[ 更新:2006-06-11 09:08:28 ]

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