感謝は人間関係の潤滑油

感謝は有難いと思うこと、有難いと思ってお礼を言うこと。人とのかかわりで感謝の言葉をさりげなく投げかけて下さる方には温もりを感じるし、時には癒される。自分がされて嬉しいことは、関わる相手にもさせていただきたいものだ。

 故河合隼雄さんは、著書(こころの処方箋:新潮社)に次のようなことを書いていた。「強い人が感謝をできる。というのは、感謝するには自分が他人から何らかの援助や恩恵を受けた事実を認める必要がある。弱い人はそのような現実把握ができないし、目の前のできごとに追われ、他人のことを考える余裕がない。中には、自分は理不尽な不幸や苦しみの中にあり、自分にはある程度の助けがあって当たり前、当然という気持ちの人もいる。このような人は、助けも感謝するほどのものではなく、まだ足りないくらいと思っている。その一方、援助を『重荷』と感じ、受け取らない人もいる。」こう説明されると、納得できなかった振る舞いや言葉の意味が少し分かった気がする。良いと悪いではなく、人間はそのような反応をするものだという認識を持ち、自分にそのような要素があるのなら修正していきたい。

 河合さんは、現在家族関係が難しくなった理由として次の点を指摘している。これはとても参考になった。「@現在は社会の変化が非常に早い。変化が速い社会では両親は子供に対し優位性を保つことが難しい。子供の知識が両親のそれを上回るし、子供が親の生き方を見習って安心と思えないからだ。Aネット社会になり、他の文化の影響を受けることが大きくなっており、伝統的な決まり事で事が運べなくなってきた。」というものだ。

 私たちは各世代ともに難しくなった関係性の中で生きていることを理解し、分かり合う努力、折り合う努力、譲り合う努力、聞く努力、認める努力、分かち合う努力もしていかなくてはいけない時代にいる。

[ 2009-01-18 15:47:06 ]


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