終身雇用制度が崩壊とか言われるが、中小企業は実力に見合った給与による終身雇用が基本と思っている。転職や退職は本人の自由意志もあるが、経営のスタンスとしては長期間一緒に働くことを目標とするようにお願いしている。特に決算書分析レポートで、社員の定着率をコメントする際は、その姿勢を貫くようにしている。
年功給与で単純に評価されないとなると、毎年あるレベルまで自分の資産価値を高める必要がある。資産価値を高められない人は、@指示待ち社員、A指示されたことも満足にできない社員、B羊の群れの一員のような社員、C成長したくない社員、D挑戦しない社員だろう。
私自身もトヨタのセールスマンから社会人生活が始まっている。若い時にどうも馴染めないというか、受け入れたくなかったものに、「モーレツ社員」や「24時間戦えますか」のように、気合を入れてさあ頑張れスタイルがある。仕事だから、やらねばならぬ時は徹底し、時間も採算も度外視はするが、気合と根性スタイルは今も好まない。
自分を振り返ると、次のようなことを考えながら、歳月を重ねてきている。
@若い時は、仕事の社会的意義や貢献などあまり考えたことはなかったが、漠然とだが誰かの役に立っていると感じるときは仕事の意欲が高まった。
A常に成長したい、実力を高めたいとは思っていたので、新しいノウハウやスキルを習得し、それを常に仕事の場で試していた。
B 漠然とだが、仕事に自分らしい工夫をしたい、自分の個性が出る仕事がしたいと思っていた。
C関わる人に感謝される仕事、認められる仕事をしたいと思っていた。
D会社の仕事と家庭の仕事のバランスを取りたいと思っていた。
サラリーマン時代に手に入れたものもあるし、独立してやっと手に入ったものもあるが、逆に前にありながら今は失ったものもある
自分一人で生きているわけでもないし、一人で仕事が完結しているわけでもない。常に関わる相手との関係性の中にいる。関わりの基本にコミュニケーションがある。自分が相手の話を聞きながら無意識に評価しているように、自分の話も相手によって多様に評価されている。そのやり取りの繰返しを通じ、人に言いたいことを伝える楽しさも感じるし、逆に簡単伝わらぬ難しさも感じるものだ。
このことから、自分資産価値を高めるものの一つに「聴く能力」と「相手が分かるように話す能力」が含まれる。私も定期的にこの点に不足の注意を受けている。この力も磨き続けよう。