人を育てる:リーダーシップ

日本が豊かになり、若者の気質や他人との付き合い方が本当に変わってきた。「自分のやりたい仕事をしたい」と言う自己実現意識はいいことと思うが、人によってはそれが強すぎて、却って視野が狭まっている若者もいる。

 自己主張が自由にできるだけ幸せな世の中になったとも言えるが、時として現実感覚をしっかり持って欲しいと思ってしまう。この現象を前に、過去のやり方では難しいとつくづく思う。外部環境が大きく変化しているのだから、新しい考え方を導入しなければいけないが、そう簡単に画期的な方法は見つからないしスムーズに運用もできない。悶々とする。
 強い組織作りには、秩序と規律順守、約束厳守は重要だ。今期中にやると約束した内容については、きちんと成果として出さないといけない。例えば経費はいくらと予算で決めたら、1円たりともオーバーしないという意識だ。そのためにはリーダーが、どれだけ目標を具体的に握って、本気で部下を評価するかが問われる。失敗を攻撃しすぎてチャレンジ精神が失われるとか、失敗を恐れ保身に走ることは避けなければいけない。一方個人の自己満足的な目標に焦点を当て過ぎて、全体に目線が行かなくなることも絶対に避けよう。ここでも難しい統制が求められる。

 これからのリーダーシップには、部下の多様性を受け入れられるキャパシティーや寛容性が一層求められている。異質を平気で認めて受け入れる器の大きい人だ。関わる人に妬みや恨みは持ってはいけないし持たれてもいけない。対立をしたところでいいことは少ない。
 それに一昔前のように単純なやり方や精神論では競争に勝てなくなっている。目標を達成するには、客観的に物事を見て、一番正しい解決策を見出し、実行担当の社員に提示しなければならない。いくら社員に抽象論を言ったところで、スキルやサービス力がすぐアップするわけではない。抽象論を具体論に置き換えられる能力を持つ社員は、中小企業には極めて少ない。(ここが分からず、私は過去にずいぶん失敗した。)一番正しい解決策を具体化するためのプロセスに社員を深く関わらせると人は成長する。他人事で済まされないから真剣に取組む。個々の職場で人が育つための仕組みを作るのが管理職の仕事、管理職をそこまで仕向けるのが社長の仕事でもある。

[ 2008-11-19 13:00:39 ]


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