「教育」には即効性はないが、漢方薬のようなもので5年後10年後に効いてくる。ある経営者には「創造経営の教育は、ドクダミのようだ。」と言われたことを思い出す。
個人の能力が優れているなら個人に任せていても良い。しかし、個人の力が明らかに劣っている時は、戦略や戦術で補わないといけない。自分に力がないことも分からず優秀なつもりでいる社員や、勉強も努力も嫌いな社員を相手にするならなおさらと思う。
戦略や戦術という言葉が中小企業になじまないというなら、トップの望む結果が得られるように枠にはめる、仕組み(システム)に乗せるとなるだろう。やらざるを得ないように仕向けるということだ。個人の力がつくのを待つのではなく、その代わりに知恵を絞って戦略を付加しよう。そうして会社全体のチーム力を高めよう。状況を見極めず「個人が勝手にやるのが我社の伝統だ」とか、できの悪い子供を溺愛する親ばかのようにやっていると、激変する経営環境に対応はできない。
組織は個人の集まりだから、理想は個人の力が伸びるようにすることである。そのためには、どうやったら力がつくのか。自分自身で幼い頃から自分を伸ばすことをやっていれば一番良い。ただ中小企業で働く人で、このような資質を持った人は少数だ。
大手企業は個人ごとにスキルアップ・プログラムを作って育てるところもあるようだ。この個人の力を底上げするやり方は、個人が戦力化するまで時間がかかる。年数がかかる。長期戦を覚悟して、創造経営本部ではペアシステムによる補完(サポート)が有効と薦めている。
本人が自分の長所を生かして仕事に自信を持つと、多くの人は欠点を補おう、少しでも直そうという意欲を出す。こうなるとその人は伸びが一段と速くなる。普通の上司は、悪い所を指摘して「ここを直せ」と言うが、そう簡単に直るものではないし、言われた方も自主的に努力はしないものだ。改まりにくいから欠点として残るとも言える。
社内外の研修も大事だが、仕事の場でのOJTを有効に機能させることがもっと大事だろう。「教育」には即効性はないが、漢方薬のようなもので5年後10年後に効いてくる。ある経営者には「創造経営の教育は、ドクダミのようだ。」と言われたことを思い出す。人材育成と組織全体のやる気を引き出す仕組みを企業風土として持つことが重要だ。