講師は毎年おなじみで、北海道にフアンも増えている ㈱創造経営センター 社長 森田雅美先生です。以下今回の勉強会の要約をお伝えします。
(1)問題となる事業継承のケース
① 親子対立のケース
経営者親子が対立する家を見ていくと、個人の能力の高いことが多い。個人の能力が高いから創業ができ、継承できるまでに経営を続けてきたといえる。しかし、親子ともに能力が高いがゆえに対立を繰り返すケースである。この場合、京都の老舗のような家業的経営は難しい。そして代々、対立が多い家系であることも多い。
創造経営本部の指導経験では、対立のない家系や対立の少ない家系もある。そこに共通するのは、祭祀に厚く、家の文化や秩序を大切に守り伝える努力がなされている。日本古来の文化である、子供に願いをかけ大切にし、年長者をねぎらい尊重する姿がある。
② 事業衰退のケース
衰退していく企業では、経営者自身の経営環境の変化の洞察力や環境適応力が弱いことが多い。経営者が謙虚さを持ち、素直に教わる恩師を持ち、お手本や目標にする企業を持ち、学びながら追いつこうとしてこなかった結果、衰退に歯止めがかからない。
③ 後継者が不在のケース
後継者を育成する力がなく、後継者を育む力がなく経営をし、また後継者を育成するという気づきもないまま経営を続けたため、肝心な継承時期に委ねる人材が全く見当たらない。
④ 後継者に能力が不足するケース
後継者の経営能力が不足するケースと後継者の人格面での問題が出るケースである。この場合、後継者が腹をくくり、使命感を持って目の前の課題に真正面から向き合って、解決に取組むことで活路が開けることもある。
(2)事業継承の外せない重要ポイント
① 会社の財務面と組織面に現れる経営の実態を知り、後継者とその補完者が中心となり中期経営計画を立てる。
② 現在の経営者から後継者へ「願い」を示す。「願い」の内容は、してはいけないこと、守って欲しいこと、人として生きていく上での基本、得意先・仕入れ外注先・従業員に対しての姿勢などである。
③ 後継者は継承にあたっての「誓い」(約束)を示す。「誓い」(約束)の内容は、自分の元(根源・中心・原点)へのつながりであり、先代やその前から自分が間違いなく継承するものであり、得意先・仕入れ外注先・従業員に対しての自分の向き合い方などである。
[ 更新:2014-07-19 16:04:31 ]