「新型複合不況、中小企業を存亡の危機へ 」http://www.doyu.jp/research/dor/2008/dor_84.pdfより引用しました。興味をお持ちの方はこのホームページをご覧ください。
このレポートの最後のまとめを読み、経営は当たり前のことが実現しうるように、トップが腹を決め、社員と協働して歩むものと再確認しました。具体策には個々の企業の個別事情があるはずですが、これも参考に歯を喰いしばって来年への道筋をつけましょう。
以下は上記からの引用文です。
1990年代の長期不況に続く、長期の不況局面に入りつつあるようだ。不況長期化を覚悟し、いかに対応するのか。会員が打っている戦略・戦術を整理すると次のようになる。
①自己資本の充実で「不況持久力」をつける
「資金調達や取引先との信用に直接的に影響する『キャッシュフロー』経営が求められています。…資金繰りが資金残高を管理していく事であるのに対して、キャッシュフローは、資金の増減を背景にした経営であるという認識のもと、自己資本比率の増加に努め、不況持久力を増進して行きます」(熊本、輸送用冷凍装置・販売・メンテ、一般自動車整備業)。
②良い仕入先、良い販売先、良い金融機関との取引へ
「農業法人等の生産者との取引拡大による仕入ルートの確立が功を奏して来ました。取引先の見直しにより、内容のある取引が確立しつつあり、良い仕入先、良い販売先への戦略が企業体質を変化させ、職務強化されつつあります」(宮城、米穀小売卸)。「特定不況業種の認定を受け、セーフティネット借り換えで、長期安定資金を導入しようとしている。金利交渉がカギ」(埼玉、建築材料卸売)。
③価格転嫁とコスト削減の工夫と努力
「材料費が半月単価で高騰する中、見積もりの有効期限を短くし、また再見積りの徹底を図った。実作業より見積り、価格決定の時間が長くなり、設計積算の残業時間が多くなり、増員したいが経費に転嫁できないので悩んでいる」(北海道、金属製品製造、一般産業機械)。「販売価格への価格転嫁をお願いした。又、価格転嫁が難しいところは、発注形態を変え、まとめて発注、数をまとめる等、生産性を上げる事でコストを抑える努力をした」(長野、精密板金加工及び電気組配)。「紹介料、保険料など全諸経費の節減の見直し、グループ会社でまとめての仕入れなど工夫している」(宮城、自動車教習所)。
④社員の雇用を守るための付加価値創造と商品細部の造り込み
「現市場の深耕と新市場開拓準備を着々と進めています。経済の激変が起こっても、直接社員の雇用を守り続ける経営体力を強化すべく、日々、付加価値創造に努めています」(千葉、ビル賃貸業)。「売上げを伸ばす事に力を入れるのではなく、付加価値を追求し社内でのスキルアップに努め、利益率を上げて行く」(愛知、機械製造業)。「従業員と話す機会をできるだけ増やした。不安をどう取り除くかとか、自信を植え付けるかを心掛けた。より細かい所まで気を付け、顧客の動きや要望を捉えようとし、商品の細部に反映させようとしている」(和歌山、清酒製造)。まさに、「真理は細部に宿る」のである。
⑤新しい力を引き出し、人間力を高める
「社員教育、社員一人ひとりがお客様の方向を向いて仕事をする様に。来年は、大卒3名が入社予定となっている。新しい若い力を駆使して会社を変革させ、時代の要求を満たす会社にして行きたいと思っている」(新潟、自動車部品用プレス金型製造)。「環境がだんだん厳しくなって来ている事を全社員に繰り返し伝え、商品力の他に金のかからない差別化である人間力を高める必要性を説いた」(山形、食品卸)。
⑥自分の仕事は自分で創り出す
「自社のオリジナルブランドを立ち上げ、自ら売る努力をして来た。成果が上がりつつある。…下請けではあるが、提案型営業で努力して来た土台の上に、今日の成果は産まれており、今後もお客様への積極的な提案が出来る社員一人ひとりの専門的な力量のアップが課題である」(大阪、ニット衣料品製造)。「昨年よりスタートした本業周辺の新規事業が、導入期から成長期へさしかかる。原価が上昇するが、その分を新規事業の粗利で何とかカバーしている」(沖縄、清掃用品レンタル他)。
危機の時代―「何のために経営するのか」の原点に立ち返る
経済の専門家も予測できない「先の見えない時代」になった。しかし、経営者は「うろたえる」ことは許されない。まず、マクロ(世界)とミクロ(地域・自社)の視点を交差させながら、社員と共に考えることが大切。「アメリカ型競争資本主義の終りの始まりであり、日本型の経営(人、技術、地域を共に)に戻る。中小企業の特徴を生かす」(茨城、建設業)。「こんな時だからこそ、改めて世界の情勢を学び、自社の経営課題について社員と共に考えて行きたい。そこで、幹部社員講座を討論主体に開き『グローバリゼーション』についてやったら、結構乗ってくれた。…ちょっと面白くなってきた」(神奈川、精密機械部品製造)。
今こそ、社員と現状認識を共有し、「何のために経営するのか」という経営の原点に立ち返り、「危機の時代」を乗り越えていく武器となる経営指針・ビジョンを具体化することが求められている。「経営指針検討会で、社員と共に今の時代に求められるサービス(商品力)の学びを深める。経営者自身が後ろ向き発想を一掃し、何のために経営するかの原点に立ち返る」(奈良、会計事務所)。「長期ビジョンと経営指針の見直しをはかり、5年後、10年後の自社の姿を社員と共に考え、行動計画の策定をして、輝ける会社、地元から頼まれる会社として付加価値を高めて行きたい」(宮崎、水道コンサルタント業、漏水調査等)。
同友__
[ 更新:2008-11-20 08:35:27 ]