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経営コンサルタント吉見からのお知らせ

吉見事務所通信 2008年3月号より(第52号)

【東京足止め】 【伝統の力と知恵に学ぶ時:東京大学教授 松井 彰彦氏】(日本経済新聞2008.1.27. P23から引用) 【ミドルへの対応】 【リーダーへ一言】 【学び】 仏教的な表現

【東京足止め】
2月23~24日と暴風雪で北海道も交通機関はストップしましたね。私は21日から東京出張でしたが、23日に乗る予定の飛行機が欠航で、翌々日の25日にやっと北海道に帰って来ました。25日予定の訪問先には日程変更をお願いするしかなく、誠に申し訳なく思っていますが、2社とも快く応じて下さり感謝しています。有難うございます。
23日茨城県大洗町の叔父の墓参を終え、水戸から上野へ向かう特急は強風で2度も緊急停車。上野には40分遅れ、山手線も強風の影響で遅れ、何だか悪い予感。羽田にぎりぎりと思いながら着き、搭乗口に進むと「機材繰りで2時間遅れ」の表示。待つうちに日本海側と東北以北は天候調査のアナウンスが続々、そうしているうちに札幌行きは全便欠航とのアナウンス。翌日は飛ぶだろうと安易に思い、翌朝午前5時前にホテルをチェックアウトし羽田へ、函館便に乗ろうと並ぶものの私の10人前で満席。(乗れたとしても函館からJRで移動できなかったようなので、結果としては良かったと後から思いました。)札幌行きキャンセル待ちの長蛇の列に並ぶものの、3時間並ぶうちに続々午前中の便の欠航のアナウンス。翌日25日の昼前の予約を何とか取り浜松町へ移動しJRの緑の窓口へ。北海道行の切符を依頼するも、「強風で東北新幹線も在来線も現在不通で、北海道行は運行が保証できないので、風が落ちついてからお越しください。」とのこと。その間仙台始発便の札幌行きの飛行機の予約ができたので、遅くとも今日の夕方には仙台までは行けるだろうと考えて東京駅へ移動。新幹線改札口は入場制限中、新幹線切符売り場は当然長蛇の列。あきらめて並ぶものの、私の番には指定席は午後8時以降しか空きがなく、仙台行きも断念。こんなに長時間並ぶのは初めてでした。
自然には逆らえませんし、緊急対応のいい経験と思うしかありません。でも疲れました。その後の訪問先では、このようなケースの対処法の情報交換をしています。

【伝統の力と知恵に学ぶ時:東京大学教授 松井 彰彦氏】(日本経済新聞2008.1.27. P23から引用)
拓殖大学教授の西村進氏(現代2月号)によると、日本は世界有数の老舗社会で、社歴200年を超える会社や商店は約3千件あるそうです。それに対し中国は9社、インド3社、韓国ゼロ、ヨーロッパで一番多いドイツでも800社を超えるに過ぎないというから驚きです。西村氏は、老舗の強さの秘訣として①適応力、②本業力、③許容力を挙げます。適応力とは、時代の要請に応じて新しいものを作り出す能力といいます。「日本にはたとえ他人でも、これと見込んだ人を引き上げる許容力があり、その結果老舗が残った」と見立てています。
これに対し松井氏は、「その許容力を支えたのが職人気質であり、血のつながりのない弟子をわが子同様に育み、血縁にとらわれずに評価する職人気質風土が日本やドイツには伝統的にあり、それが老舗を支える力となったのでは」と推測します。「人は一人では生きられないからこそ、個人主義の下では個々人が自分に責任を持つだけでなく、人々がバラバラにならないための努力と工夫が必要」と説きます。創造経営では6種の利害関係人といいますが、企業の経営者は、従業員、顧客、商売敵、金融機関、株主、行政といった世間全般によって支えられ、かつ鍛えられています。人と社会のつながりを作る力を維持し、そのネットワークを構築し、長期的な関係を維持して行こうと示します。加えて一橋大学名誉教授野中郁次郎氏の週刊東洋経済1月12日号の「創業以来実践してきた理念、歴史や伝統を絶えず遡りながら、社会との関係性の中で企業として何が良いことなのかを常に考えていかねばなりません」と述べていることを紹介しています。

【ミドルへの対応】
 あなたの職場のミドル社員は光っていますか。現場のリーダーとして、頼もしいミドル社員がいますか。変わることが嫌い、勉強嫌い、若者を伸ばさない、あるはつぶす、中間に居ながらコミュニケーションを目詰まりさせるミドル社員はいませんか。厳しい今の時代、顧客と企業の接点にあたる部署に優れ者が欲しいですね。その部署のリーダー(ミドル層)にかかる期待は大きいものがあります。営業職でも技術職でも、中小企業ではプレイングマネージャーとして、個人業績も上げつつ、同時に組織業績も上げるパワーが期待されます。スーパーマンが欲しいですね。部下とは定期的な面談を用い、成長支援と育成責任も持って欲しいですね。日々の仕事をこなしながら、次の仕事の芽を、種を見つけて欲しいですね。倫理感、道徳観も持って働いて欲しいですね。経営者はいい意味の欲張りです。
 しかし、期待されたからと言って、ミドル社員がみなスーパーマンになれない現実があります。「難易度が高すぎる、先輩や上司で見本になる人がいない。」と言われたらどうしましょう。バブル崩壊後、部下も与えられず、経費も使えぬまま教育チャンスも与えられず、新規事業担当の経験もないまま、期待ばかり膨らんで、挙句のはて「期待外れ・・・」と言われるミドル社員も結構大変です。
 画期的な解決策があるとは思えませんが、中小企業はプロの職人作りを目指し、個々の社員も自分ならではの専門分野をしっかり持って、生涯専門技術や専門知識を高めるという行動見本と職場風土を築くしかないと思います。経営(マネジメント)のプロ、特定分野(販売・生産)のエキスパート、新規事業開発のプロ、総務・経理のプロ等々、磨くスキルや必要な知識は無尽蔵です。プロとしての誇りと自覚があれば、倫理感も高まっていくことでしょう。
 現実に中小企業は兼務が避けられませんが、極力担当に絞り込みをかけられるように工夫をしましょう。どうしても次世代のリーダーに選ばれない人、おちこぼれる人も出てくるでしょう。その人達にも、その人なりの企業への貢献の仕方があることを示しましょう。場合によっては「独立契約事業者」の道が適している人もいるでしょう。ミドル年代でモチベーションを下げ、働く意欲を失ったままの人が生れ、かつ増え、その後20年も会社に依存するだけの人となっては大変です。相互に不幸です。給与もそれなりで、意欲を失ったまま会社に依存する姿は、若者にいい見本となりません。ミスや不祥事が加わると本当に最悪です。大変ですがミドルが活性化して、生産性のアップに寄与する仕組みにチャレンジしましょう。

【リーダーへ一言】
 北海道の一番寒い時期が過ぎようとしています。原油の高騰から、昨年暮れ近くから多く物の値段が上がり始め、この春以降も続きそうです。しかし不況感が強く、価格転嫁や給与のアップは断片的な話題にとどまり、競争の激しさに埋没している感じがします。このような環境で着実に成果を上げるには、ピンチはチャンスとして競争を成長・発展の原動力に転化するしかないでしょう。辛く苦しいけれど、他に特別な方法があるだろうか。企業が提供するすべてのサービスのレベルを見直し、常にアップするべく地道な努力を積み重ねて行きましょう。現状維持は衰退の始まりと思いましょう。
 競争は今年もさらに激しさが続くでしょう。資本力のないところは耐えきれない可能性がありますし、技術力や現場力も含め、総合力が試されます。弱いところがあり、分かっていながら放置したままですと、そこからほころび始めるでしょう。厳しいからこそ、人材の教育と相互啓発のいい教材や場ができたと受け止めて、実力を高めようと社員に働きかけましょう。
 私のお客様のある経営者は、数年前から「人間力のアップ」を社員に訴え続けています。立派です。その方の人間力の定義は詳しく分りませんが、私は①自分のことは自分でできる(する)、②他人に甘えない(必要以上に当てにしない、依存しない)、③状況が悪い,世の中や時代が悪いとまわりのせいにしない、④自分が当事者となり、課題を克服する人と思います。
 社内外の人との関わりにおいては、自分の気持ちを声に出し、自分の目で見たことをベースにコミュニケーションを取りましょう。生きていくには、人と関わりあって働かねばなりません。必ず相手がありますから、楽なことばかりではないのです。その中で、肯定的に、前向きに自分の職業スキルと人間力を磨き続けましょう。
 牛丼の吉野家の安部修仁社長は、優れた経営幹部の資質として①顧客、従業員、人間に対する理解、②自己客観視、③一貫性を上げていました。逆にダメなのは尊大で自己中心的な人とのことです。

【学び】
 仏教的な表現ですが、昨年1月に印象に残って手帳に書き留めた言葉は、「すべては縁によって生じ、縁によって滅びる」でした。解説をインターネットで探していたら、次のものが見つかりました。
以下http://www2.saganet.ne.jp/namo/sub9373husiginatunagari.htmの引用です。
ホテルに泊まられたとき、そのホテルの案内の冊子とともに、赤い表紙の仏教書があったことがありませんか。この本は仏教伝道協会というところが設置しているものだそうです。キリスト教の聖書を置くホテルは多いものの、仏教書を置くことがないので、昭和40年から一人の実業家、沼田さんという方が私財をなげうって発足された機関とのことです。その本の中に、次の説明です。
「人びとの苦しみには原因があり、人びとのさとりには道があるように、すべてのものは、みな縁(条件)によって生まれ、縁によって滅びる。雨が降るのも、風の吹くのも、花の咲くのも、葉の散るのも、すべて縁によって生じ、縁によって滅びる。
 この身は父母を縁として生まれ、食物によって維持され、また、この心も経験と知識とによって育ったものである。だから、この身も、この心も、縁によって変わるといわなければならない。
網の目が、互いにつながりあって網を作っているように、すべてのものは、つながりあってできている。一つの網の目が、それだけで網の目であると考えるならば、大きな誤りである。網の目は、ほかの網の目とかかわりあって、一つの網の目といわれる。網の目は、それぞれ、ほかの網が成り立つために、役立っている。
花は咲く縁が集まって咲き、葉は散る縁が集まって散る。ひとり咲きひとり散るのではない。縁によって咲き、縁によって散るのであるからどんなものも、みなうつり変わる。
 ひとりで存在するものも、常にとどまるものもない。すべてのものが、縁によって生じ、縁によって滅びるのは永遠不変の道理である。だから、うつり変わり、常にとどまらないということは、天地の間に動くことのないまことの道理であり、これだけは永久に変わらない。」とあります。
私たちは、一つの原因で一つの結果が出るような錯覚をもっています。勝手に自分で条件を決めてそれさえ実行すれば、希望どおりの結果が得られると思いがちです。
 しかし、あらゆる縁がととのったときはじめて、結果が出るのです
仏教聖典(仏教伝道協会)おしえ 第二章 因縁 第二節 不思議なつながり p41~ 一部引用

[ 更新:2008-03-01 16:22:09 ]

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