有限会社ミック研究所 佐藤茂則所長から頂いたものです。時間と感情についての記事が、私のお客様にも好評ですので、多くの方に読んでいただければと思い、掲載します。〒365-0064埼玉県鴻巣市赤見台1-3-8-201 TEL048-596-7831
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今回は「時間」について考えてみる
「仕事は忙しい人に任せろ」とよく言います。なぜだろう?
これは時間に対する感じ方の問題と使い方の問題があるからだ。
時間、1日24時間、1時間60分、こうした時間の中で経済行為が行われ、一人ひとりの生活が営まれている。「測定できる時間」は過去も現在も同じだ。1時間は70分になったわけではなく、1日も24時間のままだ。
しかし、「活用時間」については、たとえば、従来1時間かけてやってきたことを30分でやることを求めているのが現代社会である。この時間を短縮しながら社会が発展してきた。この流れを止めることはできないだろう。
「限られた時間」の中で速く考えて、速く動くことを求められている。これが出来ないとあっというまに格差社会の波に飲み込まれてしまう。生き残るためには、この習慣づけが個人、企業に要求されている!!
ある企業での実験的検証を行った。あるテーマ、さほど難しいテーマではない。例えばリーダーシップはなぜ大事かというようなもので、ひとつのグループは6分から8分で集中討議、別なグループは30分程度で行ってみた。メンバーは5年から10年の勤続を持つ社員の集まりである。出てきた答えはほぼ一緒だった。
「先生、30分かけても5分で皆なで考えて出した答えが一緒なんで驚きですね!」これが出席者の感想である。
どうだろう、時間をかけてやる内容ももちろんあるが、6分から8分という時間制限の中で人は集中して考える、考える回転が速くなるということだ。
競争の激しい経済社会の中で勝ち残っている企業は、早く考える、考える回転を速くすることで勝ち残ってきたことがこうしたことでも証明できる。
今、これをある企業の新入社員の継続研修のなかで行い始めている。言わば「時間制限思考法」だ。テーマをだして「5分で考え答えを出す」このことは、個人の能力開発にもつながるはずだ。限られた時間を有効に使い成果を出すためには能力が必要だ、その能力開発のためにも「速く考える」「考える回転を早くする」ことが必要だ。
人間の感じる時間
前項では測定する時間が早くなったことと、速く考えることで企業は成長してきていることを述べた。しかし、現代社会の難しさは、人の心が感じる時間は個々まちまちだということ。ねずみのように速く考え、速く動く人もいる一歩で、像のようにゆっくりと考えゆったりと動く人もいる。この差がさまざまな問題を起こしているということだ。
親は子どもに期待をかけ、塾に通わせ、家庭教師をつける。それ以外にも習い事を進めたりして存分の教育環境をつくろうとする。つまり、親の意識は早くなっている。その一方で子どもの意識は、「今」が楽しいことを選択しようと動く。この時間意識の差は、双方に苛立ちを生み感情が固まってくる。そして、我慢し切れなくなった方が問題行動を起こすことになる。
人の心の機能は「考える」、「感じる」、「動く・働く」、の3つ。このうち、考えることと、動く・働くことの寿命は短い。それに対して「感じる」ことは、胎内に居るときに芽生え、死ぬ直前まで活発に動いている。考える、動く・働く機能に比べるとべらぼうに寿命が長い。しかも、考えることと動く・働くことを裏側からコントロール(規制)している。心の中の3つの働きをエネルギーとするなら「感じる」エネルギーはとてつもないエネルギーを持っていると考えるべき。人が人を殺すことはいけないことだと教えられ、そう考えることが習慣化されている。にもかかわらず、人が人を殺害する行為にまで結びつける局面が生じることがあるのだから、理性(考える)を超えた感情エネルギーは相当のエネルギーを溜める力がある。
人の感情は時間をかけて育てるもの。それが時代の速い流れについていけないところに現代社会の問題があるのかもしれない。ビジネス現場で、コミュニケーションスキル、最近ではコーチングが流行っているが、流行る背景にはこうした考えることと、感じることのギャップがあるからだ。
[ 更新:2007-10-02 13:26:39 ]