農事組合法人 伊賀の里モクモク手作りファーム(三重県)
専務理事 吉田 修氏~第22回全道経営者“共育”研究集会記念講演より抜粋
これから企業が生き残るために必要な要素は、①価格的にどこよりも有利であるか、②独自性があるか、③便利性があるか、④地域密着性はあるか、とういう4要素。これらの各要素がなければ存続は難しい時代に入った。
これからは大衆から分衆の時代になり、価値観が多様化するという「分衆の時代」という本に感銘を受ける。地元の原料を使い、新鮮で、安全な食品を作りながら当初はぜんぜん売れなかった。知名度がなく、価値が理解してもらえない状況から挑戦が始まった。原点は、自分たちで価格を決定するシステムを構築するという意志だった。商品の価格決定権・商品開発権・流通選択権を自分たちが持つために集客する施設をつくろうとなった。
客単価=滞在時間と考え、客単価を3,000円に設定し、3,000円を使ってもらえる施設をどのように造るかを考えた。
1.三つの力
①売上は、情報発信量によって決まる。消費者は、認知して、理解して、共感して、反復する行動をとる。したがって、認知してもらうことが最大のテーマ。情報発信も相手により内容を変える。
②組織力。IT化は愛が低下することと思うので、IT化による効率主義に頼らない、人と人を繋ぐ取り組みを通じてこそ、組織力が維持できる。
③企画力。問題意識をもてる若い人の育成のため、企画塾を立ち上げた。「問題意識がないと発想や企画は出てこない」問題意識を持ちそれを解決するためには、人の話を聞くか、本やインターネットを見るか、先輩の所を見に行くしかない。
2.五つの視点
①女性の視点。飛びつきは夫人、継続は子供、旦那は運転手。
②本物の視点。本物を、自然や人々への優しさのために作り手の苦労が結集したものと定義した。
③農業者の視点。翻って、経営者本来の姿を問い掛ける。
④生活者の視点。物やサービスの価値を分かり、実際に買ってくださる理想的な消費者層(全体の1割)=親戚付き合いをする。価値は十分理解しているとは言えないが、買って下さる層(全体の2割)=友達付き合いが必要。価値は分かっているが、農業・健康にお金を掛けない相対的貧困層(全体の約3割)=理解をしてもらうよう働きかける。価値も分からないし、お金も払わない層=大企業がターゲットにする層。
*長期滞在型の食育教育のファーム造りに投資計画。
⑤運動の視点。私達が事業をして、何を世の中に生み出すかが、中小企業に絶対必要な視点。
大切なのは過去ではなく、現在と未来と考える。普通の商品より2割高い商品を作る。大衆商品も高級商品も作らない。「中途半端だと愚痴が出る、いい加減だと言い訳ばかり、真剣だと知恵が出る。」これからは大も小も関係なく、スピードで勝負がつく時代に入った。
デフレ不況に負けない中小企業の経営戦略
専修大学商学部 教授 黒瀬 直宏氏
自分の仕事は自分で作り出すしかない。市場創造は難しいができないことではない。
前川製作所では「顧客が言い表せないことを提案しよう」となっている。顧客との接触の記録をデータ―ベース化してカルテを作り、設計技術者が欲しいと思うものを提案し販売する。すぐれた経験や技術を持っている企業の特色は現場主義。変化は現場で起きる。意思決定に役立つものが真の情報。
中小企業の利点は、フェイス・ツー・フェイス。①同時に多様な情報表現ができる、②素早くフィードバックできる、③個人に焦点を当てられる。
全社員で考え実行する経営指針
㈲布部運輸 社長 藤田 均氏
計画を立てる基本は「情報分析」。自社の売上・利益分析は勿論で、世界の流れや地域の情報についても「自社にどう関連するか」を追及する。「欠点の分析」も重要。弱みを冷静に分析し、克服してこそ企業の体力が増す。すぐ対処することも常に心掛ける。
我社の情報提案力を頼って次次に新しいお客様を紹介いただいている。
社員教育の基本は「マナー」の徹底。単に物を運ぶ発想ではダメで、荷主様、エンドユーザーの“心”を運んでいるという自覚が大切。
会社を変えるのは誰か
㈱ユタカ商会(札幌)社長 本郷 利武氏
生まれてから学校に入学するまでは家風で育ち、学校に行くと校風で育つ。会社に入ると社風で育つ。加えて地域でどのように支えられて育ってきたかという地域の風、さらには時代の風の中で育つ。
人材育成の認識基準、①どこに行っても通用する社会人として育とう、②一人一人の技術や技能を高める、③豊かな人間性を高める。成長を促す刺激は必要。
「第2創業」への挑戦
㈱タム(帯広) 専務取締役 松原 雅人氏
本当に大切なものは目には見えない、情報、信用、信頼、経験である。会社を受け継ぐ事とは、目に見えるもの、目に見えないもの全てを引き継ぐこと。
☆企業性格(企業風土)の調査は如何ですか?☆
現在経営改善支援契約を頂いております会社の場合、決算期が到来するたび必ず「決算分析報告書」の提供させて頂いております。同様に定期的に「企業性格(企業風土)の調査」も実施させて頂いております。
人に性格があるように、企業にも性格があります。自己中心性企業・自立準備性企業・自立性企業・開拓性企業などと名を付け分類評価します。この調査は、全社員を対象に約10分のアンケートテストを行うものです。これは社員の知識や能力を判断するものではなく、どのような気持で働いているかという潜在意識=本心を見るものですから、組織を構成する社員全体の意識の分布が分かります。編集により、部門別・階層別・年齢別・勤続年数別・担当職種別などで長所や改善すべき点が一目で分かります。
「経営の改善は人の改善、人の改善は人の心の改善」が創造経営の基本的な考えです。月次や日時決算による迅速なチェックも当然重要ですが、経営者の願いを理解し、上司・部下とのコミュニケーションを良く取り、お客様のニーズを汲み取って創造的に仕事に携わる社員の育成と組織の活性化が企業の成長を促します。
あなたの会社でも、企業性格(企業風土)の調査を行って見ませんか。調査報酬は個別に弾力的に対応させていただきますので、お知らせ下さい。
【日経ビジネス他の印象記事・言葉】
*悲観主義は単なる気分にすぎないが、楽観主義は意志である。
*聞くということは吸収すること。
*どの人材に何を期待して経営監視を任せ、それがどんな結果を生んだかという個別具体的運営を行う。
*会社を良くするにはどうしたら良いか、ハッキリした見解を持つことが必要。
*サービスの提供を行う専門家は、信任関係の義務を履行し、期待に応えねばならない。
*キャリアは経験の集積といえる。人生は、生い立ち・出会い・出来事を通じ価値観が形成されていく。今の時代、コミュニケーション能力と教養はとても大切となった。
*ベラの法則=見つめるだけで多くのことが見えてくる。
◆ヤマザキマザック会長 山崎 照幸氏◆
良いときも悪いときも、体質改善を怠らなかった。
①どんなに苦しくても新しい技術開発に努力と投資を惜しまない。
②生産設備に対しても投資を惜しまず、最新の設備を整える。
③きちんとアフターサービスのできる販売網を築く。
④社員を大切にする。人材は帳簿外の最大資産。
◇ウォルター・リップマン◇(米国のジャーナリスト 1889-1974)
ニュースは一つの出来事が起こったことを知らせる合図。真実は隠された事実を表面に出し、それらを相互に関連付けて人間がそれに基づいて行動できるように現実の情景をつくること。
[ 更新:2006-05-24 06:29:40 ]