野球では、「名選手は必ずしも名監督にはなれない」と言われます。野球に限らず、サッカーや他のスポーツでもそういう事例はたくさん見かけます。営業の現場でも、トップセールスが全員名マネージャー(支店長や拠点長)になっていません。私の最初の勤務先であるトヨタの新車販売会社を振り返っても、優秀な営業マン=優秀な管理職ではありませんでした。
私の最初のトヨタの新車販売会社を振り返っても、優秀な営業マン=優秀な管理職ではありませんでした。
このことは、@人にいろいろなことを指導できる人と、A人に指導はできないけれど、自分
でかなりの仕事ができる人の2つのタイプがあることを教えてくれています。
ですから、上司には向かない人を、勤続年数や階層の順送りで上司(管理職)にしてはいけません。ベテランだがマネジメントできないという人は、スタッフ(専門職・スペシャリスト)にしましょう。スタッフとして優秀な人は、部下を持たせず、その人の得意な仕事に専念させるのです。
部下を持っても仕事がうまく行く人と、部下が居ることによってかえって精神的負担が大きく、その重みに潰れてしまう人が居ます。あるいは、部下にイヤなことを言えないのは、上司も部下もどちらもかわいそうなのです。その組織は、仕事が中途半端やあいまいになりがちです。
私のあるお客様は、30歳代で開業しました。当時社員たちとの年齢差が少なく、サークル仲間のように接しているうちに主客転倒し、経営者夫妻が、社員の顔色を伺うことが当たり前となり、自分の会社への出勤が苦痛で苦痛で仕方がない時期があったと振り返ります。
トップでさえそうなのですから、一般社員はその人の適性に合った仕事に変えていく(はめていく)ことがとても大切なのです。
上司になっていつまでも部下に正しいことだが部下がイヤがることが言えない人は、上司をやらせていてはいけません。上司が単に部下にとって良い人だと、長い目で見てその部下は最悪です。甘い上司の下で自分に甘い部下は立派に育ちませんから、歳月を経て本人も会社も困ることが多くなります。
部下は、上司が自分にとってイヤなことを言わなければ、気楽で良いでしょう。言うべきことを言わない上司は、実は最悪人なのです。続いて悪いのが自分に甘く、他人に厳しい上司です。
とにかく最悪なのが、自分に甘く、他人にも甘い上司です。職場には組織としての規律と倫理が必要です。お客様のニーズにはこたえ続けなくてはいけません。内部事情やわがままや自分勝手が優先しては、企業は生き残れません。
部下がミスをしたら、間違えた仕事のやり方を注意をした上で、もう一度同じ事をやり直させましょう。できるまで何度も何度も繰り返し、辛抱強くやり直させて、その結果人は育ちます。インスタント食品のように、簡単に、手軽に人は育ちません。
管理職ができる人も必要、スタッフも必要、アルバイト・パートも皆必要です。何と言っても社員の適性を見極めるのが社長の仕事です。それを経営者の人事権と言います。