人材育成

人材育成と簡単に言うけれど、人材は企業が育成可能なのだろうか。企業は人が育つ環境整備は十分できるけれど、環境整備をいくらしても全社員が一律に伸びることはない。

 「人材」について考えてみよう。私の使う辞書には、人材とは「才能があり、役に立つ人(man of talent)」とある。では才能はというと、「才知と芸能、才能の働き(talent)」、才知とは「心の働き、知恵(intelligence)」とある。私は一緒にいて有難い人、共に働いてくれることに感謝できる人のことだと思う。
 人材育成と簡単に言うけれど、人材は企業が育成可能なのだろうか。企業は人が育つ環境整備は十分できるけれど、環境整備をいくらしても全社員が一律に伸びることはない。個々の社員自らが、自分の意志で育っていくというのが経営コンサルタントとしての実感である。自分で伸びたい、成長したい、誰かの役に立ちたい、恩返しをしたいという心のある人は、時間がかかっても着実に伸びるが、このような気持ちのない人は、いくら場を与えられてもその場限りに終わっている。本気で自分のものにしようと努力しないからだろう。
 今はどの経営者もいい人材を本当に熱望している。時に我社の人材(能力)不足を嘆く人もいるが、正直中小零細企業にピカピカに輝く人材が来ることは稀だ。小さくとも、少しでも競合他社より魅力的な会社となり、今より一段レベルアップする可能性のある人が、次の募集の時に集まってくるように、経営者は努力している。それが王道だろう。
 当然働く個々人にも自立することが求められる。しかし、自分のことは棚に上げて、会社が自分に何をしてくれるのか(給与・休暇・教育・福利厚生など)、多くを求め過ぎる人がいる。未熟で社会経験が乏しい20代は仕方ないが、40歳を過ぎてこのような言葉が先に出る社員は正直不愉快だ。権利と義務には同じ質と量があるからだ。求めることは与えることでもある。大人社会に年だけとった子供社員は足引っ張りになる。社員を大切にすることと、甘やかすことは違う。

 そんなことを思っていたら、ミック研究所の佐藤茂則先生から次のコメントが来た。
 「企業内の教育ははじめたら継続することだと思っています。もし、途中で止めたら再開することに実に困難が伴います。どのような不況下でも、方法内容を変えて継続する事が必要ですね。 逃げず、めげず、なげず、あきらめずに行かないと人は育ちません。」

 本当に人を育てるのは厳しい。 私も根性を入れて再度向き合うこととしよう。


[ 2008-08-07 17:26:07 ]


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