終身雇用体制が崩れてから人材の流動化は毎年進んでいる。職種によっても異なるだろうが、企業の3割から4割の人材が流動化しているといわれるが、お客様企業を見ても確かにそう思う。診断や、営業会議などに参加しても、新卒から現在まで継続勤務する人の割合が少なくなっている。時として、参加メンバー全員が転職者ということもある。
結果として最近は格差社会が生まれてしまったと報道されるが、残念ながらこの流れはまだ止まりそうにない。ただ、定着率の高さが優良企業の特徴だった一昔前の社会とは違うだけに、流動化することに一喜一憂する必要はないのだろう。今も昔も、人は流動化しながら、自分が定着する場(今より良い居場所)を求めている。企業も同じ環境にいるのだから、人材が入れ替わりながらも、より良い人材を選択する目をしっかり持つ必要がある。人が入れ替わるたびに、質が落ちてはお客様が離れていく。競争相手が喜ぶだけだ。
家族でさえ離合集散を繰り返しながら変遷している(北海道は離婚率が高いといつも言われている)。他人の集まる企業では、尚更のことであろう。
この中にあって企業として生き残っていくために何が必要だろうか。人(組織)の面から考えてみると、堅実に人材を育成する仕組みとして次のようなものが上げられる。
@ 「人を育てる、人は育つ」という強い意思を持つこと。それは育てようとする人に対し、「期待」(是非こうなって欲しい)を明示することでもある。
A 独自性、個別性を重視し、流動化の中で入ってくる人材に対する評価システムを構築すること。納得されなければ、とどまってくれないのが流動化社会。異質人材を受け容れる職場風土が求められている。
B 個々人に直接働きかけるコミュニケーション・システムとコミュニケーション・スキルを身につけること。新聞で読む範囲だが、大企業や人事院では「メンター制度」導入しようとしているが、これは個別対応を意味している。(※メンターとは相談相手の意味である。)
では、個々の人材の立場ではどう考えるか。そのポイントとして4点にまとめた。
@安易に流動人材にならないこと(転職市場の現実はやはり厳しい。自分の価値を値引きされて当たり前の転職市場で、自分の誇りや自信を失って労働市場を流転、埋没してしまう可能性がある。)
A新人、中途人材係わらず、自分は何をもって会社に貢献するのか(成果を提供するのか)。その根拠(知識・スキル・資格・経験・実績)を明確にし、企業(職場)の期待と一致させること。
B長い職業生活期間を、発展的、計画的に過ごそう。それには自分の職業生活をビジュアルにデザインすることを忘れない。常になりたい自分のイメージ(夢)を持とう。
C自分が属する経営者とのマッチング。経営者の考え方、人柄、生き方との相性(適合性)は大事だ。
最後に「自分の人生は一度きり」、これを忘れずに歩もう!