ご存命のころは一冊も読んだことがありませんでした。
ノーベル文学賞に、一番近い作家と言われていた時期もあったとか。
今回、いくつかの作品を読んで、古さを感じさせず、ビックリ!
長編の「第四間氷期」はまさにSF、現在の地球温暖化を見通した未来小説。
短編も、一気に読ませる作品ばかり。私が読んだのは「無関係な死」「赤い繭」「魔法のチョーク」など。
長編の「他人の顔」では、国家の暴力構造を次のように書いていました(安部氏は国家の暴力構造という表現は使っていません)
引用開始>個人は、死に対して、つねに被害者だが、完ぺきな集団にとっては、死は単なる属性にしか過ぎないのだ。完璧な集団とは、本来的には加害者的な性格をおびるものである。完璧な集団の例としては、軍隊を。究極の匿名性の例としては兵隊を。それをあげれば、まず理解には事欠くまい。<引用終了
あと記憶に残ったのは「欲望というやつは、論じて理解したりするものではなく、ただ感じさえすればそれでいいものだ。」というもの。
これまで長らく仕事に関する読書ばかりで、小説はほとんど読まずに来たけれど、最近意識して小説を読むと、ビジネス書と全く違った学びがあります。
[ 更新:2017-06-07 09:49:20 ]