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経営コンサルタント吉見からのお知らせ

吉見事務所の今年の支援業務から

事業継承に関わる支援

 今年継続的に取組ませていただく仕事の多くが、事業継承を踏まえての支援となっています。この傾向は来年も続くものと思われます。この一年間の成果は、当然ながら各社各様です。言えることは、課題としっかり向き合ったところは前進しました。譲る経営者と譲り受けようとする次世代とが、しっかり向き合って何とかしたいと取り組んだころは、方向性を誤ることなく進んでいます。譲る経営者と譲り受けようとする次世代との、進捗にあたってのスピード感が一致していくと、もっと加速していきそうです。事業継承に関しては、譲る経営者にも譲り受けようとする次世代にも、当事者意識というのか、覚悟の定まった人がいないところは、残念ながら足踏みです。
 譲り受けようとする次世代ですが、譲る経営者と年齢は親子ほど違いますが、若くともとてもよく勉強されていてかなりのマネジメント知識はお持ちです。彼らなりの構想も持っており、とても立派であると思います。同業他社との競争の挑む武器(商品やマネジメントスキル)も、彼らなりによく研究しています。正直頼もしいと思います。
 創業者の引っ張る企業は、長年にわたる創業者のエネルギーと個性で形つくられています。この企業を継承する次世代は、例え創業者の子息であっても、あるいは社長の片腕として長らく一緒に仕事をしてきたとしても、また現在経営実務はそのような継承者が仕切っていると思っていても、創業者や先代経営者とは全くの別人格です。創業者や先代経営者が会社を育んだ時代とは異なる時代に育ち、当然ながら人格の異なる継承者が、創業者や先代経営者の造り上げた組織の中で、最初から求心力を発揮できるものではありません。組織メンバーが変わらぬ状態での継承者は、自分のリーダーシップが発揮できるように今ある組織風土に自分もなじみ、その中から協力を得て組織風土の改善をしてく必要があります。(少数ですが、次世代の年齢と個性に合わせて組織メンバーを意図的に交代させていく経営者もいらっしゃいます。この場合は、後継者のリーダーシップの発揮はかなりスムーズです。)
 ある後継者を見ていて、彼の気持は分かるのですが、組織メンバーの信頼を得ようとして、誰もが納得する実績を出すことに力ずくで挑戦する人がいます。自分の能力を示そうと新しいことを導入したり、根回しを十分せずにトップダウンで改革を急ぎ過ぎて、なかなか成果を出せずにいる人もいます。組織メンバーも傍観者が多くなり、結果として孤立がち(独り相撲となっている)になる継承者も出ています。
私自身は経営コンサルタントですから、データや理論を使って、客観的かつ合理的に判断し改善提案をしますが、どうもそれだけでは上手くいきません。経営コンサルティングも継承者の経営も、年齢に見合った人間的な魅力が伴わぬと人は動いてくれないようです。
 私が創造経営の学びを始めた頃、「経営者は部下を知るのに歳月がかかるが、部下はトップを三日で知る。」と教わりました。人の上に立つ人は、全人格を全社員から評価されるということですね。実に怖いものがあります。継承者は、社員を説得できる能力(豊富な知識や経営理論)だけでなく、継承者のために働こう(助けよう)と思わせる人柄(情熱や優しさや安心感)を育む努力は欠かせないということになります。
継承者にいかに優れた能力があろうとも、継承者の気持ちをくみ取って、継承者と一緒にやろうという組織の土壌がなければ、経営意思決定事項は浸透していかないし、組織的な成果には至りません。
 数年前から新たに仕事をさせていただく会社に対し、私が最初に申し上げることは、「長期で見るなら、自分の仕事はすべて譲っていくものであり、上司や先輩の仕事はすべて自分たちが譲り受けるものです。そう考えて、今から中長期の感覚を持って、仕事の譲り渡し方、そのための部下の育て方、譲り受け方と自分の能力開発に継続して取組みましょう。」ということです。
 継承はトップだけではなく、各階層(部長・課長・チームリーダー)においても行われます。それぞれの場で、時期が来た時に、順次人の上に立ち部下から自分の人格を問われものです。その時どのような自分を見せられるのか、早めにしっかり考えて、自分なりの精進を重ねてその時を迎えましょう。

[ 更新:2013-12-04 16:36:28 ]

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